不安定化したアフガン、ウイグル、中国
この講義は登録不要で無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
ワハン回廊を介して中国と接するアフガンの地政学的重要性
不安定化したアフガン、ウイグル、中国(2)アフガニスタンの地政学的特徴
山内昌之(東京大学名誉教授/歴史学者/武蔵野大学国際総合研究所客員教授)
南アジアと中央アジアの交差点に位置するアフガニスタンは、その地政学的特徴から、歴史的に長らく注目を集めてきた。東西の交通路として豊かな文明を築く一方で、戦略的要衝として、イギリス・ロシアの勢力争いに巻き込まれ、翻弄されてきたのである。その混乱は今なお続いている。(全4話中第2話)
時間:10分37秒
収録日:2021年11月12日
追加日:2021年12月25日
カテゴリー:
≪全文≫

●アフガニスタンが地政学的重要性を持つ理由


 皆さん、こんにちは。

 アフガニスタンは、パキスタンに同じエスニック集団が住むパシュトゥン人や、シーア派であるハザラ人、ウズベク人やタジク人など4つの大きなエスニック集団によって構成されていることを前回はお話ししました。

 これらの民族はいずれも、アフガニスタン国内で他の集団と近い関係を意識するよりも、むしろ国外にいる同じ名前を持つ、パキスタン、あるいはウズベク共和国、タジク共和国といった中央アジアの国とのほうが、近い関係性を感じていました。そして、シーア派のハザラ人は、普段からイランの庇護を求めてきました。

 したがって、アフガニスタンの政治力学には、常にイランなどの中東の利害や、ウズベキスタンやタジキスタンといった中央アジアの利益、あるいは中央アジアの背後に現前としてそびえているロシアの圧力があります。さらに、パキスタンの向こうには、パキスタンの敵性国家であるインドの野心がちらつきます。

 さらに重要なことは、日本ではあまり知られていませんが、アフガニスタンは中国と国境を接している国だということです。人工的に作られた、パミール高原を東西に貫く「ワハン回廊」と呼ばれる回廊があります。このワハン回廊で、中国の新疆ウイグル自治区と接しています。

 皆さんもうだいたいお気づきのように、現在の中国の内政外交において、大変重要な問題になっているのが、人権の問題、民族自決・民族自治の問題です。出生率や人口に関わるような圧迫行為などが行われているのが中華人民共和国の中の新疆ウイグル自治区です。そして、その安全保障に関しては、もろにアフガニスタンを介して出てくることには注意深く見ていなければいけないと思います。

 こうしたことが、まさに「地政学的重要性」です。「ジオポリティクス」、あるいは「ジオポリティーク」という言葉でもよく使われます。この言葉は意外と平凡な言い方です。地球は丸いので、見方によっては、「俺のところこそ、地政学的重要性を持っている」や「いや、あそこは地政学的重要性を持っているね」など、結構どこの地域についても出てくる言い方です。地政学的重要性が、本当の把握力を持つという意味でいえば、アフガニスタンこそが地球上において本当に地政学的重要性を持つ国だといっていいかと思います。

 もう一回さらってい...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
地政学入門 歴史と理論編(1)地政学とは何か
地政学をわかりやすく解説…地政学の「3つの柱」とは?
小原雅博
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
トランプの誤謬…米国製造業を壊した犯人は米国の経営者
島田晴雄
ハーディングとトランプ~100年前の米大統領選を読む(1)米国第一主義の台頭
1920年のアメリカファースト…ハーディング大統領の勝利
東秀敏
イラン戦争とトランプ大統領の戦争指導(1)米軍式戦略リーダーシップによる評価
イラン戦争…トランプ大統領の戦争指導のどこが問題なのか?
東秀敏
日本のエネルギー&デジタル戦略の未来像(1)電動化で起こる「カンブリア爆発」
日本のエネルギー政策を「デジタル戦略」で大転換しよう
岡本浩

人気の講義ランキングTOP10
ロシア人の見る「ロシアの歴史」(3)ヴァイキング招致説とキエフ・ルーシ
ロシアの起源はヴァイキング?…キエフ・ルーシの興亡と、ロシアとウクライナの決定的な「歴史的溝」
上月豊久
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
民主主義の本質(1)近代民主主義とキリスト教
なぜ民主主義が「最善」か…法の支配とキリスト教的背景
橋爪大三郎
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(4)認知症と共生社会の実現に向けた対策
その物忘れ、認知症かも…加齢による物忘れとの違いと一番大事なこと
小川純人
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
『万葉集』と律令社会~官僚の心得と歌宴(4)郡家の発掘と新田山を詠んだ東歌
「東歌」に刻印された奈良時代の真実とは?…地方に気をつかい地方のパワーを取り込んで中央政権はできていた
上野誠
文明語としての日本語の登場(1)古代日本語の復元
なぜ「てふてふ」が蝶々?日本語の変遷を追う…まずは万葉仮名から
釘貫亨
プラトン『ポリテイア(国家)』を読む(14)ポリスと魂の堕落過程〈下〉僭主の末路
僭主制は欲望の奴隷…過度の自由が過度の隷属に転換する
納富信留
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
第2次トランプ政権の危険性と本質(1)実は「経済重視」ではない?
トランプ政権の極右ポピュリズム…文化戦争を重視し経済軽視
柿埜真吾