「新しい資本主義」の本質と課題
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
課題がデータで「見える化」できる時代…企業のあり方は?
「新しい資本主義」の本質と課題(4)社会課題の変化と「見える化」
柳川範之(東京大学大学院経済学研究科・経済学部 教授)
以前は消費者の望む課題解決が、そのまま企業の課題解決でもあった。しかし、現在は消費者の課題が企業の課題に直結しなくなっている。そのような社会課題の変化が起きている時代において、企業はどのようにして自社の評価を得ていけばいいのか。ポイントは「見える化」にある。(全6話中4話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:14分15秒
収録日:2021年11月22日
追加日:2022年2月3日
カテゴリー:
≪全文≫

●直面する課題の「見える化」が進んできた


―― そうした中、今回ずっとお話を伺ってきましたが、ある意味では例えば「市場の失敗」や「分配」は、先生がおっしゃるように経済学の教科書の最初に載っていることです。ですが、いろいろな技術革新が起き、それによって労働環境も変わってきているし、これまでの雇用のあり方、あるいは会社のあり方も変わってきています。ここで、「新しい資本主義」という、「新しい」を付けることの意味ですが、資本主義はこの後、どのように動いていくのでしょうか。

柳川 何が今、新しいのかということは、人によって意見が違うと思います。私が考えるところでは2つあります。1つは、前回申し上げてきたこと(第3話)と関係するのですが、「社会課題」といわれているものがかなり大きな問題になってきており、その中の多くは経済学の「市場の失敗」に依拠するものです。

―― 社会課題とは、例えば気候変動の問題などでしょうか。

柳川 そうです。気候変動でいえば現在、CO2削減など、広い意味での環境問題がずいぶんと叫ばれるようになってきました。このような問題は、今までであれば、どちらかといえば資本主義が悪者とされてきた、つまり資本主義がそういった問題を生み出している原因と言われていました。

 それから格差の問題、人権問題、あるいは貧困の問題といったものも、やはり社会課題として取り上げられるようになり、このような問題に対して多くの人が放置できない課題ではないかと考えるようになりました。そういった意味で、資本主義にある種の限界があるのではないか、ということが言われるようになったのが現在の大きなポイントです。

 もう1つの大きなポイントは、技術革新が進み、いろいろなところでデータがとれるようになってきたというのが非常に大きな変化だと思います。分かりやすい例でいえば、新型コロナウイルス感染拡大時、人流(人の流れ)についてずいぶんと話題になったと思います。例えば「渋谷駅前の人流が先週に比べてどのくらい増えました」「減りました」などという話がニュースになりました。

 あのようなものは、昔はデータとして取ることができませんでした。なんとなくカメラで映して、「今日は人が多いですね」「少ないですね」程度はいえたのですが、具体的に数値化して測ることはできなかった。

 ですが、今はわれわれのスマホ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
日本の財政政策の効果を評価する(1)「高齢化」による効果の低下
高齢化で財政政策の有効性が低下…財政乗数に与える影響
宮本弘曉
産業イニシアティブでつくるプラチナ社会(1)「プラチナ社会」構想と2050年問題
5つの産業で「資源自給・人財成長・住民出資」国家を実現
小宮山宏
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
松下幸之助の人づくり≪3≫理想の政治(1)国家に経営理念があれば、もっと日本は発展する
無限の可能性に挑め…国家経営を創造し、新時代の憲法を!
松下幸之助
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(1)著書『外交とは何か』に込めた思い
外交とは何か…いかに軍事・内政と連動し国益を最大化するか
小原雅博
マルクス入門と資本主義の未来(1)マルクスとはどんな人物なのか
マルクスを理解するための4つの重要ポイント
橋爪大三郎

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2025(26)ソニー流!多角化経営と人材論
ソニー流「人材の活かし方」「多角化経営の秘密」を学ぶ
テンミニッツ・アカデミー編集部
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(3)未解決のユダヤ問題
「白人vsユダヤ人」という未解決問題とトランプ政権の行方
東秀敏
徳と仏教の人生論(1)経営者の条件と50年間悩み続けた命題
宇宙の理法――松下幸之助からの命題が50年後に解けた理由
田口佳史
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
エンタテインメントビジネスと人的資本経営(1)ソニー流の多角化経営の真髄
ソニー流「多角化経営」と「人的資本経営」の成功法とは?
水野道訓
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
今井むつみ
組織心理学~「不満」を生かす(1)不満・相談・予防
職場への不満は6割以上~ポイントは隠蔽、心理的安全性…
山浦一保
『還暦からの底力』に学ぶ人生100年時代の生き方(2)60歳は折り返し地点
「悠々自適」は定年を正当化するための神話にすぎない
出口治明