本当によくわかる「量子コンピュータ入門」
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
量子コンピュータの転機となった1990年代の発見とは何か
本当によくわかる「量子コンピュータ入門」(2)コンピュータの歴史
武田俊太郎(東京大学大学院工学系研究科准教授)
量子コンピュータは1980年代まだ概念的なものであり、何の役に立つのかすらよく分かっていなかった。その後、1990年代に価値のあるものだという認識が広がり、2000年代以降、研究機関で基礎研究が本格化、さらには企業も開発に乗り出すことになった。今回はコンピュータの歴史をたどりながら、量子コンピュータの可能性に迫る。(全4話中第2話)
時間:12分38秒
収録日:2022年3月9日
追加日:2022年8月2日
カテゴリー:
≪全文≫

●そもそもコンピュータとは何か


 それではここからコンピュータの歴史の話をしていきたいと思います。まず量子コンピュータの話に入る前に、「そもそもコンピュータとは何か」を考えていきましょう。そのほうが、量子コンピュータをイメージしやすくなるからです。

 「コンピュータ」といったときに、皆さんは、スマートフォンだったり、タブレットだったり、普通のデスクトップのパソコン、そしてスーパーコンピュータといったものを思い浮かべるでしょう。皆さんが思い浮かべたコンピュータは、ある種の見方をすると、「人間がしたい計算を何らかの物理現象に置き換えて解く道具である」と考えることができます。「物理現象」というとなかなかピンと来ないと思いますが、具体例を見ていくと少しずつ分かるのではないかと思います。

 例えば、原理がもっとも分かりやすい、シンプルな計算機に「そろばん」があります。そろばんも、珠(たま)の配置で0から9という数字の情報を表している立派な計算機です。その珠を人間が一定のルールで弾いていくことで計算することができます。ある種、これも珠がある位置にいて、それをあるルールで物理的に動かしていくという方法で計算をしているデバイスになります。

 そろばんだとシンプルすぎるということで、もう少し後になると、歯車を使った機械式計算機が登場します。この計算機の内部では、歯車がたくさんかみ合っています。そろばんの珠の代わりに歯車を使っていると考えると分かりやすいでしょう。

 この場合も、歯車の回転の角度、すなわち「どういう角度にあるか」で0から9までの数字を表しています。歯車はかみ合っているため、1つを回すと他が連動する。この仕組みを使うと、そろばんでやっていた計算の一部が歯車によって自動化され、より簡単に計算ができます。結局、これも歯車に情報をのせて、歯車を回すという物理現象で計算をしている装置ということになります。


●コンピュータには10憶個のスイッチが備わっている


 ここから一気に、今皆さんが使っているような「電子計算機」(コンピュータ)に話が移りますが、電子計算機も本質は同じことです。スラ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
社会はAIでいかに読み解けるのか(1)経済学理論の役割
AIやディープラーニングによって社会分析の方法が変わる
柳川範之
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造
「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ
岡朋治
ヒトの性差とジェンダー論(1)「性」とは何か
MLBのスーパースターも一代限り…生物学から迫る性の実態
長谷川眞理子
生成AI・大規模言語モデルのしくみ(1)生成AIとは何か
10年で劇的な進歩を遂げた生成AIと日本の開発事情
岡野原大輔
本当によくわかる「量子コンピュータ入門」(1)量子コンピュータとは何か
「量子コンピュータ」はどういうもので、何に使えるのか
武田俊太郎
巨大地震予知の現在地と私たちにできること(1)地震予知研究と前兆すべり
地震予知に挑む!確かな前兆現象を捉える画期的手法とは
梅野健

人気の講義ランキングTOP10
平和の追求~哲学者たちの構想(3)サン=ピエールとモンテスキュー
「国連」の発想の源は?…一方、小共和国連合=連邦構想も
川出良枝
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(1)北斎の画狂人生と名作への進化
葛飾北斎と応為…画狂の親娘はいかに傑作へと進化したか
堀口茉純
熟睡できる環境・習慣とは(4)起きているときを充実させるために
夜まとめて寝なくてもいい!?「分割睡眠」という方法とは
西野精治
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
お金の回し方…日本の死蔵マネー活用法(1)銀行がお金を生む仕組み
信用創造・預金創造とは?社会でお金が流通する仕組み
養田功一郎
禅とは何か~禅と仏教の心(2)仏典漢訳から日本仏教へ
「ブッダに帰れ」――禅とは己事究明の道
藤田一照
インテリジェンス・ヒストリー入門(1)情報収集と行動
日本の外交には「インテリジェンス」が足りない
中西輝政
プロジェクトマネジメントの基本(1)国際標準とプロジェクトの定義
プロジェクトマネジメントとは?国際標準から考える特性
大塚有希子