江戸とローマ~娼婦と遊女
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花魁は日本独特――洗練された吉原の遊女文化
江戸とローマ~娼婦と遊女(2)遊女の「道」と吉原の文化
本村凌二(東京大学名誉教授/文学博士)
江戸の遊郭・吉原において、花魁はトップスターである。遊女たちの住む吉原は厳然たる秩序がある一方、女性や子どもが訪れるエンタメ・スポットでもあったという。ここで育まれた遊女文化は日本独特ともいえる遊女の「道」を究めるものであり、ローマをはじめ前近代のどの社会にも、そのような文化は生じなかったようだ。(全4話中第2話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:9分51秒
収録日:2021年8月20日
追加日:2023年4月24日
≪全文≫

●商人にも遊女にも「道」がある


―― (前回)日本における士農工商ということばがありましたが、日本の場合さらに独特なものに、例えば石田梅岩の開いた「心学」があります。これは商人にも「商人道(商いの道)」を説くわけで、要するにみんな道にしてしまう。武士は武士道、農民は農民道(百姓道)、商人の場合は商道ということで、それに向かって一生懸命(活動して)社会的に利益をもたらしていくのはいいことだという独特の「道」の観念を日本人は発想していきました。

 今回のお話でいうと、遊女の世界においても「道」的なものがあり、その社会にはその社会なりの秩序がある。トップスターから下位の人までいる中で、それぞれの秩序ができてくるというのは、非常に独特な社会構造になっていたのかという気がするのですが、ここはローマと比較すると、どうでしょうか。

本村 そういうふうに言われてみると、確かに日本は武士道であったり商人道であったりという方向に持っていく。何か一本筋の通った面があって、いろいろな例を挙げることができるし、野球選手だってイチローや大谷を見ていると、やはりどこかそういうところがあるのではないかという(笑)。

―― 職人的に突き詰める(ということでしょうか)。

本村 うん。体力面で言うと、あれぐらいの人はメジャーリーグの中で他にもいっぱいいるはずです。その中で、なぜイチローや大谷が突出した存在になるのか。何かその原因が、日本の中にあるのではないかという気が確かにします。

 だから、ローマとの比較といわれますが、ローマには、何度も言ったように「父祖の遺風」というものがあり、祖先の行いを大事にして、それに負けないようにするということは確かにありました。しかし、農民は農民としての道を究めるというような意識は、ローマに限らず、前近代社会全体にあまりないのではないかという気がします。


●花魁が文化をリードした吉原の独特な洗練


―― 日本独特の面白さとして、先生のおっしゃる「遊び」をも含めて文化にしていくところがあるような気がしております。例えば遊女の世界でいうと、日本では「吉原」が一番中心になる場所かと思います。その吉原は、いわゆる公認された場所として存在していますが、その中で独特な文化が培われてきます。このあたりの文化性については、どのようにお考えですか。

本村 文化性という...

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