江戸とローマ~娼婦と遊女
この講義シリーズは第2話まで
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
キリスト教以前はおおらかだった…古代ローマの遊女文化
江戸とローマ~娼婦と遊女(3)娼婦のインテリジェンスとキリスト教の影響
本村凌二(東京大学名誉教授/文学博士)
ローマ遺跡に娼家の痕跡はないが、後代のルネッサンス期イタリアではインテリジェンスが高く知的な高級売春婦が、貴族を顧客としていたことが分かっている。ローマ時代にはおおらかだった活動が、キリスト教支配を経て変化していったのである。キリスト教徒である西洋人が江戸末期の幕末から明治初期に日本を訪れて吉原を見たとき、日本の遊女文化をどう感じたのだろうか。(全4話中第3話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:6分40秒
収録日:2021年8月20日
追加日:2023年5月1日
≪全文≫

●インテリジェンスが高かったルネッサンス期イタリアの娼婦


―― 日本の場合は、文化の裏付けとなる経済、すなわちお金の部分でも吉原というのは大変な世界で、指名料だけで(現在のお金にすると)10万円ぐらいかかったそうです。また、この本(『吉原はスゴイ 江戸文化を育んだ魅惑の遊郭』(堀口茉純著、PHP新書))によると、3回目で馴染になるときには、車が1台買えるぐらいのお金を、周りのみんなにご祝儀のような形で出さなければならない。そういうことで回っていく社会だったとあります。

 そういう豊潤なお金を使って、一種文化的なものをつくりあげていくところがあったのだろうと思いますが、金回りも含めて、非常に独特の世界だったのだろうという感じがいたします。

本村 古代のローマではないけれども、イタリアのルネッサンス期などを見ると、いわゆる高級売春婦というものがいて、その人たちは個別に行動しています。だから非常にインテリジェンスも高いし、一般の人は滅多なことではお近づきになれないけれども、陰では「彼女はそういう人だ」とささやかれている。そういう人たちと付き合うには、貴族たちのようにお金の面でも相当豊かでなければいけなかった。だから、ローマの場合も痕跡は残っていないけれども、個別にはそういう人たちの存在はあり得たかもしれません。ルネッサンス期にそういうことがあったというのは分かっているのです。

―― やはりそれは貴族制だと、そういう要素が出てくるのでしょうか。

本村 そうでしょうね。それから一つには、もしかしたらキリスト教社会というものをくぐり抜けたから(かもしれません)。古代であればもっと露骨にやってもよかったことが、キリスト教社会の中では表立ってできない。そういう時代を1000年ほども続けてきた中で、高級売春婦のようなものが出てきたのかもしれません。

 古代については、そこのところは確かめようがないのですが、そういう人たちはインテリジェンスがあるし、ふさわしい話ができて初めて成り立つ。いずれにせよ、非常に即物的なところはあるのではないかという気がします。


●キリスト教以前の道徳価値


―― 「キリスト教の社会をくぐり抜けて」というところでいうと、例えばワーグナーが書いた『タンホイザー』というオペラがあります。あれはタンホイザーがヴェヌスベルクという淫靡な場所に行ったのがばれてし...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
徳川将軍と江戸幕府~井伊直弼編(1)桜田門外の変と井伊直弼の人物像
「桜田門外の変」の謎…井伊直弼の警護に問題はなかったのか
山内昌之
家康の人間成長~戦略性をいかに培ったか(1)今川「人質」時代と今川義元の思惑
徳川家康の秘密…「辛抱」イメージとは異なる自由奔放な人質時代
小和田哲男
豊臣政権に学ぶ「リーダーと補佐役」の関係(1)話し上手な天下人
織田信長と豊臣秀吉の関係…信長が評価した二つの才覚とは
小和田哲男
『三国志』から見た卑弥呼(1)『魏志倭人伝』の邪馬台国
異民族の記述としては異例な『魏志倭人伝』と邪馬台国
渡邉義浩
「満洲」から考える日本とアジア(1)「満洲」を知る意義とは
「満洲史」はなぜ現代日本でタブー視されるのか?…王道楽土の夢とアヘンなどの裏面から見えてくる現代への教訓
宮脇淳子
概説・縄文時代~その最新常識(1)縄文時代のイメージと新たな発見
高校日本史で学んだ縄文時代のイメージが最新の研究で変化
山田康弘

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(35)鶴見太郎先生の公開収録を振り返る
【10min紹介】鶴見太郎先生の公開収録を振り返る・・・お寄せいただいた声
テンミニッツ・アカデミー編集部
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
プラトン『ポリテイア(国家)』を読む(1)史上最大の問題作
全米TOP10大学の必読書1位が『ポリテイア(国家)』
納富信留
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(4)認知症と共生社会の実現に向けた対策
その物忘れ、認知症かも…加齢による物忘れとの違いと一番大事なこと
小川純人
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
「満洲」から考える日本とアジア(8)日貨排斥と満洲事変の原因
なぜ満洲事変が起きたか…激烈な日本排斥と朝鮮人迫害、さらに一方的な条約無効化に直面した日本人の決断と失敗
宮脇淳子
現代人に必要な「教養」とは?(1)そもそも教養とは何か
教養とは…本質を捉える知、他者を感じる力、先頭に立つ勇気
小宮山宏
現在の宇宙の姿(2)太陽系から星の世界へ
太陽系とその外に広がる星の世界との関係
岡村定矩
50代からの親の介護~その課題と準備(2)マネジメントとしての介護
介護を「プロジェクト」と捉え、マネジャーに徹すべし
太田差惠子