江戸とローマ~アッピア街道と東海道
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江戸時代、参勤交代が果たした役割とその基礎としての五街道
江戸とローマ~アッピア街道と東海道(3)近代に通じる道
本村凌二(東京大学名誉教授/文学博士)
日本の街道はまっすぐな道が続くローマの街道とは異なり、防御を優先とした設計思想のもと発達してきたが、特に近代化に向かう時代、重要な役割を担った。「参勤交代」を研究した書籍には、「江戸における各藩の交流が、武士階級の文化的一体化を促進した」とも書かれている。それは江戸の権威のみならず、藩の権威をも高めたのである。(全3話中第3話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:9分28秒
収録日:2021年8月20日
追加日:2023年7月19日
≪全文≫

●ローマとは設計思想が違う「日本の道」


本村 日本における権威を江戸時代に限ると、徳川の将軍が権力であり、あるいは権威も持っていた。しかし、徳川の将軍というのは、もしかしたらどこか「権威においては京都の天子様のほうにある」と感じているふしがあったから、最後までそこには手を触れないで、結局最後は徳川慶喜が天子様に自分の政権を全部委ねるわけです。

 そこに権力と権威の分離があるところが、やはり日本的な特殊なところなのだろうと思います。人によって「天皇なんかいらない」という人は別ですが、外国の人たちから見ると、権力と権威をうまく分離している日本というのは、非常にうまくやっているように見えるらしいです。

―― そういう意味では、例えば東海道などのいわゆる日本の主要街道の起源として「五畿七道」というものが決められたのが、一般には天武天皇の時代だといわれています。ですから、ちょうど600年代ということになってくると思いますが、そういうものの積み重ねが、天皇における「権威」として残ってくるところもあるでしょう。その後、鎌倉幕府は幕府なりに(各地の)鎌倉街道を整備していきますし、(徳川幕府は)五街道を整備していくという形になります。

 先ほど先生がご指摘になった設計思想は、ローマとはちょっと違う形でした。ローマの場合はとにかくまっすぐ相手のところにすぐ行けるようにする整備ですが、徳川幕府の場合は大きな川に橋を架けることを禁じて、架橋した者には極めて重い咎を科すようなことがあったり、旧街道も結構クネクネしていたりしました。これは、昔ながらの道を生かしたところもあるのでしょうが、どちらかというと防御を優先に考えているところがありますね。

本村 そうですよね。箱根の関所をはじめ、非常に防御中心というのが日本的な設計だということはあります。


●日本の道における「参勤交代」の役割


本村 でも、やはりそこを中心にして、権力者が権威を見せる。単に便利だから道をつくるわけではなく、そこを起点として全国に一つの道路網が発展している。道路は非常にビジュアルで分かりやすいわけですから、「権威」というものをつくりあげていく上で、非常に重要なのではないでしょうか。

 ローマの場合はそれが典型的に出てくるし、日本の江戸時代においても、ただ便利さのためだけではなく、やはり徳川幕府が権威を高...

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