江戸とローマ~アッピア街道と東海道
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
江戸時代、参勤交代が果たした役割とその基礎としての五街道
江戸とローマ~アッピア街道と東海道(3)近代に通じる道
本村凌二(東京大学名誉教授/文学博士)
日本の街道はまっすぐな道が続くローマの街道とは異なり、防御を優先とした設計思想のもと発達してきたが、特に近代化に向かう時代、重要な役割を担った。「参勤交代」を研究した書籍には、「江戸における各藩の交流が、武士階級の文化的一体化を促進した」とも書かれている。それは江戸の権威のみならず、藩の権威をも高めたのである。(全3話中第3話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:9分28秒
収録日:2021年8月20日
追加日:2023年7月19日
≪全文≫

●ローマとは設計思想が違う「日本の道」


本村 日本における権威を江戸時代に限ると、徳川の将軍が権力であり、あるいは権威も持っていた。しかし、徳川の将軍というのは、もしかしたらどこか「権威においては京都の天子様のほうにある」と感じているふしがあったから、最後までそこには手を触れないで、結局最後は徳川慶喜が天子様に自分の政権を全部委ねるわけです。

 そこに権力と権威の分離があるところが、やはり日本的な特殊なところなのだろうと思います。人によって「天皇なんかいらない」という人は別ですが、外国の人たちから見ると、権力と権威をうまく分離している日本というのは、非常にうまくやっているように見えるらしいです。

―― そういう意味では、例えば東海道などのいわゆる日本の主要街道の起源として「五畿七道」というものが決められたのが、一般には天武天皇の時代だといわれています。ですから、ちょうど600年代ということになってくると思いますが、そういうものの積み重ねが、天皇における「権威」として残ってくるところもあるでしょう。その後、鎌倉幕府は幕府なりに(各地の)鎌倉街道を整備していきますし、(徳川幕府は)五街道を整備していくという形になります。

 先ほど先生がご指摘になった設計思想は、ローマとはちょっと違う形でした。ローマの場合はとにかくまっすぐ相手のところにすぐ行けるようにする整備ですが、徳川幕府の場合は大きな川に橋を架けることを禁じて、架橋した者には極めて重い咎を科すようなことがあったり、旧街道も結構クネクネしていたりしました。これは、昔ながらの道を生かしたところもあるのでしょうが、どちらかというと防御を優先に考えているところがありますね。

本村 そうですよね。箱根の関所をはじめ、非常に防御中心というのが日本的な設計だということはあります。


●日本の道における「参勤交代」の役割


本村 でも、やはりそこを中心にして、権力者が権威を見せる。単に便利だから道をつくるわけではなく、そこを起点として全国に一つの道路網が発展している。道路は非常にビジュアルで分かりやすいわけですから、「権威」というものをつくりあげていく上で、非常に重要なのではないでしょうか。

 ローマの場合はそれが典型的に出てくるし、日本の江戸時代においても、ただ便利さのためだけではなく、やはり徳川幕府が権威を高...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
昭和の名将・樋口季一郎…キスカ・占守島編(1)キスカ島撤退作戦
5200人の将兵を救え…米軍も称賛した「キスカ島撤退作戦」の奇跡
門田隆将
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(1)ルーズベルトに与ふる書
奇跡の史実…硫黄島の戦いと「ルーズベルトに与ふる書」
門田隆将
天皇のあり方と近代日本(1)「人間宣言」から始まった戦後の皇室
皇室像の転換…戦後日本的な象徴天皇はいかに形成されたか
片山杜秀
戦前、陸軍は歴史をどう動かしたか(1)総力戦時代の到来
日英同盟の廃棄、総力戦…世界秩序の激変に翻弄された日本
中西輝政
織田信長と足利義昭~検証・本能寺の変(1)はじめに
新史料の発見で見直される「本能寺の変」
藤田達生

人気の講義ランキングTOP10
老子の神髄(7)『老子道徳経』「去用第四十」
緊張や怒りをコントロールするには?老子に学ぶ精神と肉体の関係
田口佳史
日本の財政の真実を検証する(4)日本の台所事情と財政の本義
「1秒間に41万円?」…この数字はいったい何を意味するか?
宮本弘曉
天皇のあり方と近代日本(1)「人間宣言」から始まった戦後の皇室
皇室像の転換…戦後日本的な象徴天皇はいかに形成されたか
片山杜秀
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
中国史概説~『皇帝たちの中国』を読む(3)全皇帝の4分の3は「非漢族」
6000万人の漢人が、三国志の戦乱後に400万人台に…衝撃の人口変動
宮脇淳子
AI大格差~最新研究による仕事と給料の未来(1)最新研究から見えてくる未来像
AI大格差…なぜ日本の雇用環境では「ショックが大きい」のか?
宮本弘曉
編集部ラジオ2026(22)「中国古代史」特集紹介!
【10min解説】「中国古代史という知の宝庫」特集の各話紹介
テンミニッツ・アカデミー編集部
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(2)翻訳に込めた日米の架け橋への夢
アメリカ人の心を震わせた20歳の日系二世・三上弘文の翻訳
門田隆将
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫