権力政治化する国際社会と国際協力
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
予算は半減したのに日本の開発援助に高い評価という皮肉
権力政治化する国際社会と国際協力(2)国際開発協力における日本の役割
高橋一生(元国際基督教大学教授/リベラルアーツ21代表幹事 )
現在、世界全体が権力政治を優位とする社会になっている。そんな中、国際協力における好材料として、環境と国際開発協力という二つの側面を提示した高橋一生氏。今回は、国際開発協力について、現在の世界状況を踏まえながら、日本が果たすべき役割とその可能性を語る。(後編)
時間:9分23秒
収録日:2014年10月28日
追加日:2015年2月10日
≪全文≫

●ブレトン・ウッズ体制に中国がチャレンジし、二項対立の国際協力システムに


 もう一つは、国際開発協力の分野なのですが、この分野は、伝統的には、IMF、世界銀行、それから、アジア開発銀行のような地域開発銀行を中心として、先進国の開発協力機関、日本でいえばJICA(国際協力機構)ですが、そのようなブレトン・ウッズ体制を中心としたものが一体として展開されてきました。これが、この70年近い歴史だったわけです。

 それに対して、中国がチャレンジしてきました。2014年になりまして、世界のBRICS開発銀行(新開発銀行)、それから、アジアインフラ投資銀行を立ち上げました。アジアに関しましてはつい最近で、内容は、原点を1955年のバンドン会議に求めています。バンドン会議の10大原則の一つに内政不干渉がありますが、それをベースに、新しい開発協力の体制を展開することを眼目にしているのです。

 ブレトン・ウッズ体制とは、開発協力を国際公益の増進といううたい文句で展開していますから、どうしても内政干渉、つまり、こういう開発政策がいいだろうと世界銀行が介入したり、IMFが介入したりして展開してきているわけですが、それに対して、中国中心の開発協力体制は、内政不干渉ということで、これから展開し始めようとしています。

 そうしますと、国際公益のための内政干渉対内政不干渉という、二項対立の国際協力システムができていくことになります。これは、そのまま行くと完全にお互いを相殺し合って、世界がぐちゃぐちゃになることは見え見えです。


●日本の開発協力の前提である要請主義に欧米諸国は批判してきた


 それに対して、日本は非常に大きな役割を果たすことができる状況にあると思います。日本の開発援助は、1954年から始まりまして2014年で60周年と言われていますけれど、特徴は、同じ1954年に始まりました第二次世界大戦の日本の賠償(支払い)と並行させて展開してきましたので、できるだけ相手国に判断を任せる、要請主義という形をとってきたことです。時には、それがお題目に過ぎなかったり、裏でいろいろ動いたりもしてきたことが現実であることは、皆知っているわけですが、少なくとも建前として、要請主義を日本の開発協力の前提にしてきました。

 それに対して、欧米諸国はずっと批判してきました。「そんなことでは...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
こどもと学ぶ戦争と平和(1)私たちに必要な想像力と戦争体験
なぜ戦争が起こるのだろう…大切なのは想像力と生の声
小原雅博
会計検査から見えてくる日本政治の実態(1)コロナ禍の会計検査
アベノマスク、ワクチン調達の決算は?驚きの会計検査結果
田中弥生
戦略的資本主義と日本~アメリカの復活に学ぶ5つの提言
戦略的資本主義とは?日本再生へアメリカに学ぶ5つの提言
片瀬裕文
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
お金の回し方…日本の死蔵マネー活用法(1)銀行がお金を生む仕組み
信用創造・預金創造とは?社会でお金が流通する仕組み
養田功一郎
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
トランプの誤謬…米国製造業を壊した犯人は米国の経営者
島田晴雄

人気の講義ランキングTOP10
ソニー流「人的資本経営と新規事業」成功論(1)人を真に活かす人事評価とは
ソニー流の「人材論」「新規ビジネス論」を具体的に語ろう
水野道訓
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
プロジェクトマネジメントの基本(10)大脳生理学によるモチベーション理論
論理的?計画的?社交的?冒険的?利き脳による4タイプ
大塚有希子
こどもと学ぶ戦争と平和(2)「本当の平和」とは何か
「平和」には2つある…今の日本は本当に平和なのか?
小原雅博
プラトン『ポリテイア(国家)』を読む(1)史上最大の問題作
全米TOP10大学の必読書1位が『ポリテイア(国家)』
納富信留
平和の追求~哲学者たちの構想(7)いかに平和を実現するか
国際機関やEUは、あまり欲張らないほうがいいのでは?
川出良枝
いま夏目漱石の前期三部作を読む(7)『門』に込められたメッセージ
『門』の主人公は神経衰弱…根拠を求める人の不幸とは
與那覇潤
「進化」への誤解…本当は何か?(1)進化の意味と生物学としての歴史
実は生物の「進化」とは「物事が良くなる」ことではない
長谷川眞理子
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(9)秀吉が作った公武統一政権と歴史のif
公武統一政権を作った秀吉の狙いとその歴史的意味
黒田基樹