M&Aとは企業の存続と発展のための経営戦略ツール
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
M&Aは皆がプラスにならなければしてはいけない
M&Aとは企業の存続と発展のための経営戦略ツール
分林保弘(株式会社日本M&Aセンターホールディングス 名誉会長)
人口減少、市場縮小の逆風に加え、非上場の中小企業オーナーの多くが、後継者問題や資本金・担保負担に苦しんでいる。「M&Aがその救済手段となる」のはなぜなのか? 株式会社日本M&Aセンター名誉会長・分林保弘氏が、「中小企業をハッピーにするM&A」を語る。
時間:9分08秒
収録日:2014年6月23日
追加日:2015年8月3日
≪全文≫

●人口減少は経済の致命傷。「他力」が不可欠な時代


分林 今までの日本の戦後の発展とはまた違って、これからはやはり人口問題が経済の一番基本になると思います。私はもう10年前からその人口問題を講演でもずっと申し上げてきました。最近でこそ政府が取り上げていますが、はっきり言って遅いです。

 経済の発展というものは、やはり人口が増えることが大原則です。人口が減ってくことは、経済にとって最も根本的な問題なのです。

 先日も興味深いニュースがありました。コロンビアが今とても発展しているそうなのです。なぜなら「人口が増えているから」だというのです。それだけ大きな理由だということです。

── 分かりやすいですね。

分林 非常に分かりやすいと思います。ですから、やはり伸ばしたい企業を自力で伸ばせるのはおそらく1割程度が限度かと私は思うのです。私はM&Aのことを「他力」と呼んでいます。それは買い手にとって時間を買う、そして伸ばしていくということです。

 業界再編が進み、特に小売業では、先ほど(参照:企業の後継者問題・集約化とM&A)も話しましたように、今やもうコンビニは3社で占めていますし、百貨店も4社、スーパーも総合スーパーと言えば大きく言って2社と考えておかしくありません。

 また卸売業でも、例えば医薬品の卸などは、昔は350社あったのです。これが今は実質4社で90パーセント近いシェアを占めていますから、小売も卸も数社しか生き残れない、こういった時代にきているように思います。


●延長線上で物事を考えないほうがいい


── その統合と巨大化の動きが、ますます加速していくわけですね。

分林 そうです。そしてメーカーで言うならば、日本のマーケットは縮小する一方ですから、やはりグローバルマーケットに出るしかないわけです。例えば、自動車や一般の電気製品は、大体80パーセントが海外での売り上げです。また例えば、日本の醤油、いわば日本食品の代表たるキッコーマンでさえ、今や売り上げの50パーセント以上が海外なのです。

── なるほど。醤油でさえそうなのですね。

分林 もはや醤油ですらそうなのです。そういった時代ですから、やはり中小企業がこれから先を単独で生き残っていくのは難しい時代ではないかと思います。逆に言えば、生き残ったところが残存者利益を取るのだろうと。

 ですから、後継者がおられ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「経営ビジネス」でまず見るべき講義シリーズ
東洋の叡智に学ぶ経営の真髄(1)経営とは何かをひと言で?
経営をひと言で?…松下幸之助曰く「2つじゃいけないか」
田口佳史
キャリア転換で人生を成功させる方法(1)2つの大きな潮流
なぜ40歳でキャリアについて一度考え直す必要があるのか
為末大
オリエント 東西の戦略史と現代経営論に学ぶ(1)ビジネスのヒントは歴史にあり
『失敗の本質』、中国古典…ビジネスのヒントを歴史に学ぶ
三谷宏治
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
メンタルヘルスの現在地とこれから(1)「心を病む」とはどういうことか
なぜ「心の病」が増えている?メンタルヘルスの実態に迫る
斎藤環
ストーリーとしての競争戦略(1)当たり前の重要さ
柳井正氏の年度方針「儲ける」は商売の本筋
楠木建

人気の講義ランキングTOP10
平和の追求~哲学者たちの構想(5)カント『永遠平和のために』
カント『永遠平和のために』…国連やEUの起源とされる理由
川出良枝
戦争とディール~米露外交とロシア・ウクライナ戦争の行方
「武器商人」となったアメリカ…ディール至上主義は失敗!?
東秀敏
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境に対峙する哲学カフェ…西洋哲学×東洋哲学で問う矛盾
津崎良典
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(1)史実としての豊臣兄弟と秀長の役割
豊臣兄弟の謎…明らかになった秀吉政権での秀長の役割
黒田基樹
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
インテリジェンス・ヒストリー入門(1)情報収集と行動
日本の外交には「インテリジェンス」が足りない
中西輝政
渡部昇一の「わが体験的キリスト教論」(1)古き良きキリスト教社会
古き良きヨーロッパのキリスト教社会が克明にわかる名著
渡部玄一
キリスト教とは何か~愛と赦しといのち(1)「イエス」とは一体誰なのか
「イエス・キリスト」という名前の本当の意味は?
竹内修一
プロジェクトマネジメントの基本(1)国際標準とプロジェクトの定義
プロジェクトマネジメントとは?国際標準から考える特性
大塚有希子