中国、驚異の情報革命
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
ファーウェイとはどんな会社?なぜ短期間で世界トップに?
中国、驚異の情報革命(3)ファーウェイ発展の歴史
政治と経済
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
強力な国家戦略があるなか、実質的に中国の情報革命を推進してきたのは、意欲的な企業の数々である。その最も顕著な例として、今回から2話に分けて「ファーウェイ」(華為技術社)を取り上げる。任正非氏がほとんど「裸一貫」と呼んでもいい状況のなか1987年に創業して以来、今日までのファーウェイをどのように成長・発展させてきたのか。その発展史を概略することは、21世紀の道標になろう。(全7話中第3話)
時間:13分04秒
収録日:2019年11月11日
追加日:2019年12月8日
カテゴリー:
≪全文≫

●「わが国のために頑張る」という世界最大手の通信機器メーカー


 前回お話ししたような政府の方針があるとはいえ、実はそれ以前から中国には、たいへん意欲的な企業がたくさん出始めていて、経済を引っ張っています。政府は、それらの企業の発展を横や後ろから見ながら応援するというスタンスです。

 今回は、それらの企業のなかでも最も重要な企業として、世界最強ともいえる最大手で通信機器メーカーとして知られる「華為」について、皆さんと一緒に学べるよう、語りたいと思います。日本ではカタカナで「ファーウェイ」と記されていますが、中国読みでは「ファーウェイ」ではなく「ホワウェイ」です。「ホワ」が中華の「華」、「ウェイ」が「為」の字。つまり「わが国のために頑張る」という意味の名前を付けた会社です。

 この会社は、歴史的にはわずか30年ほどですが、世界のトップに立ちました。情報化のためのインフラである通信機器から、基地局、端末に至るまで、世界最強の企業です。19万人の従業員を擁し、うち8万人までが開発研究者です。売上は11兆円を超え、まさに「世界最強のイノベーション・カンパニー」といわれています。

 私はたまたまこの企業を訪ね、中身をじっくり見学させていただいたことがあります。また、企業の幹部の方と何回も話をして、ある程度の理解に至りました。その体験も踏まえて、皆さんにご紹介していきたいと思います。


●創業者任正非氏のプレ・ヒストリー


 まずは1987年に創業して、今日まで32年の歴史をざっと振り返ってみたいと思います。

 創業者は任正非(にんせいひ、レンツェンフェイ)氏です。1944年に貴州省安順市に生まれました。とても貧しい地域です。両親は学校教師でしたが、7人の子どもを学校に通わせるため、食事も満足にできない状態でした。そんな少年時代を過ごしたようですが、1963年に高校を卒業して、重慶建築工程学院(現・重慶大学)に進みました。

 ところが1966年に、皆さんご存じの文化大革命が起きます。文化大革命では、教育者が最初の標的だったようです。真面目な教師だった両親は、インテリということで「牛小屋」(反革命派を収容する牢獄)に投獄されます。両親は革命を支持していたにもかかわらず、教師だという経歴だけで理解されず、思想改造追及に遭います。三角帽を被せられて牢獄で吊し上げられ、10年間、悲惨な生活を...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
マルクス入門と資本主義の未来(1)マルクスとはどんな人物なのか
マルクスを理解するための4つの重要ポイント
橋爪大三郎
トランプ政権と「一寸先は闇」の国際秩序(1)国際秩序の転換点と既存秩序の崩壊
経済秩序や普遍的価値観を破壊し、軍事力行使も辞さぬ米国
佐橋亮
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(1)ポピュリズムの台頭と社会の分断化
デモクラシーは大丈夫か…ポピュリズムの「反多元性」問題
齋藤純一
トランプ・ドクトリンと米国第一主義外交(1)リヤド演説とトランプ・ドクトリン
トランプ・ドクトリンの衝撃――民主主義からの大転換へ
東秀敏
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(1)著書『外交とは何か』に込めた思い
外交とは何か…いかに軍事・内政と連動し国益を最大化するか
小原雅博
自民党総裁選~その真の意味と今後の展望
「マスコミ報道」では見えない自民党総裁選の深い意味
曽根泰教

人気の講義ランキングTOP10
「集権と分権」から考える日本の核心(5)島国という地理的条件と高い森林率
各々の地でそれぞれ勝手に…森林率が高い島国・日本の特徴
片山杜秀
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(2)外交と軍事のバランス
外政家・原敬とは違う…職業外交官・幣原喜重郎の評価は?
小原雅博
数学と音楽の不思議な関係(3)音と三角関数とフーリエ級数
フーリエ解析、三角関数…数学を使えば音の原材料が分かる
中島さち子
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
ヒトは共同保育~生物学から考える子育て(3)共同保育を現代社会に取り戻す
狩猟採集生活の知恵を生かせ!共同保育実現に向けた動き
長谷川眞理子
トランプ・ドクトリンと米国第一主義外交(1)リヤド演説とトランプ・ドクトリン
トランプ・ドクトリンの衝撃――民主主義からの大転換へ
東秀敏
『還暦からの底力』に学ぶ人生100年時代の生き方(1)定年制は要らない
日本の定年制はおかしい…ガラパゴス的で不幸を招く制度
出口治明
運と歴史~人は運で決まるか(1)ソクラテスが見舞われた「運」
歴史における「運」とは?ソクラテスの「運」から考える
山内昌之
50代からの親の介護~その課題と準備(1)突然やってくる介護の問題
「親の介護」の問題…優しさだけでは続かない
太田差惠子
第2の人生を明るくする労働市場改革(1)日本の労働市場が抱える問題
シニアの雇用、正規・非正規の格差…日本の労働市場の問題
宮本弘曉