中国、驚異の情報革命
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
戦後日本の名経営者たちを彷彿させる現代中国の起業家精神
中国、驚異の情報革命(7)中国の可能性と課題
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
中国の現状を概観すると、日本との違いが浮き彫りになる。猛烈な起業家精神と激しい企業間戦争、膨大な人口がそのまま資源になるデジタル・トランスフォーメーション、さらに国家による強力な戦略樹立と、その推進。われわれは中国の優れた点を素直に学び、注視していく時期に入ったのではないだろうか。(全7話中第7話)
時間:5分17秒
収録日:2019年11月11日
追加日:2020年1月5日
カテゴリー:
≪全文≫

●中国の起業家精神と激しい企業間競争


 さて、6回にわたって中国の変化を勉強したところで、皆さんと一緒にいくつか考えてみたいと思います。

 一つは、中国の特徴である起業家精神と激しい企業間競争についてです。華為の創始者、任生非、アリババの馬雲(ジャック・マー), テンセントの馬化騰(ポニー・マー)。この人たちに共通するのは、自立心の強い起業家精神です。これは敗戦後、日本の焼け野原から立ち上がった松下電器の松下幸之助、Sonyの井深大、ホンダの本田宗一郎、そしてすでに確立していた織機を脱却して自動車をめざして命を落としていった豊田喜一郎らを彷彿させます。

 もう一つの企業間競争の激しさも、特に注目です。華為は、国家の支持と支援を受ける国有企業との熾烈な戦いのなかから生き残って浮上しました。アリババとテンセントをめぐるモバイル決済事業の激しい戦いは、どちらが死ぬかという戦いでした。また、滴滴出行とUberの戦いも大変です。これらは枚挙にいとまがありません。

 国家は、こうした民間活力を、規制するよりもむしろ横や後ろで見ていて、後で利用するということのようです。世界の一部では、よくこれらの企業について「国家主導で、国家の支援を受け、共産党の支援で成長したのではないか」という批判がありますが、今回の話をしっかり聞かれた皆さんには、それが全く的外れであることがお分かりになると思います。政府はむしろこうした民間活力を事後的に利用してきたと言えると思うのです。


●デジタル革命の潮流に乗る中国のデジタル・トランスフォーメーション


 もう一つは、中国のデジタル・トランスフォーメーションについてです。創造的な企業群を追って次のベンチャー企業群がどんどん生まれており、ユニコーン企業が陸続と成長しています。彼らは中国全体のデジタル革命の潮流に乗っています。

 中国にはおよそ14億人という巨大な人口があります。それは、超ビッグデータを生む基盤です。この点、中国は他の諸国を全く圧倒しています。ビッグデータはディープラーニングを可能にし、AIによるその分析から次のイノベーションや新産業が発芽するからです。

 そうしたビッグデータの有利性をあますところなく利用して、多くのプラットフォーム企業が多様なサービスを繰り広げ、それがデータ革命をさらに促進するという循環が起きているということを、...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
日本の財政政策の効果を評価する(1)「高齢化」による効果の低下
高齢化で財政政策の有効性が低下…財政乗数に与える影響
宮本弘曉
クーデターの条件~台湾を事例に考える(1)クーデターとは何か
台湾でクーデターは起きるのか?想定シナリオとその可能性
上杉勇司
台湾有事を考える(1)中国の核心的利益と太平洋覇権構想
習近平政権の野望とそのカギを握る台湾の地理的条件
島田晴雄
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
「中華民族の偉大な復興」と中国外交(1)外交姿勢・前編
四字熟語で見る中国外交の変化
小原雅博
お金の回し方…日本の死蔵マネー活用法(1)銀行がお金を生む仕組み
信用創造・預金創造とは?社会でお金が流通する仕組み
養田功一郎

人気の講義ランキングTOP10
インテリジェンス・ヒストリー入門(1)情報収集と行動
日本の外交には「インテリジェンス」が足りない
中西輝政
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(1)史実としての豊臣兄弟と秀長の役割
豊臣兄弟の謎…明らかになった秀吉政権での秀長の役割
黒田基樹
編集部ラジオ2025(31)絵で語る葛飾北斎と応為
葛飾北斎と応為の見事な「画狂人生」を絵と解説で辿る
テンミニッツ・アカデミー編集部
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(4)葛飾応為の芸術と人生
親娘で進歩させた芸術…葛飾応為の絵の特徴と北斎との比較
堀口茉純
平和の追求~哲学者たちの構想(4)ルソーが考える平和と自由
ルソーの「コスモポリタニズム批判」…分権的連邦国家構想
川出良枝
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(2)バイアスの正体と情報の抑制
『100万回死んだねこ』って…!?記憶の限界とバイアスの役割
今井むつみ
熟睡できる環境・習慣とは(4)起きているときを充実させるために
夜まとめて寝なくてもいい!?「分割睡眠」という方法とは
西野精治
お金の回し方…日本の死蔵マネー活用法(1)銀行がお金を生む仕組み
信用創造・預金創造とは?社会でお金が流通する仕組み
養田功一郎
死と宗教~教養としての「死の講義」(1)「自分が死ぬ」ということ
世界の宗教は死をどう考えるか…科学では死はわからない
橋爪大三郎