中国、驚異の情報革命
この講義シリーズは第2話まで
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
国有企業にはないファーウェイの「戦略的人的資源管理」
中国、驚異の情報革命(4)ファーウェイ発展の背景
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
「ファーウェイ」(華為技術社)の成功は、初期では鄧小平の改革開放路線に引っ張られるかたちで始まったが、1990年代には巨大な国有企業に打ち勝ち、2000年代には世界との勝負に乗り出した。その最大の資源は、ソフトウェア技術者である。ファーウェイの「戦略的人的資源管理」が、彼らの能力と意欲を引き出し、現在の発展に至っている。(全7話中第4話)
時間:11分08秒
収録日:2019年11月11日
追加日:2019年12月15日
カテゴリー:
≪全文≫

●改革開放・高等教育制度改革が後押ししたファーウェイの発展


 情報産業の急激な発展の背景にどういうことがあったかを少し振り返っておきましょう。これには、鄧小平が始めた「改革開放」が非常に大きな影響力をもっています。

 鄧小平は1979年から改革開放を進めましたが、1989年の天安門事件で一時頓挫をします。それからしばらく様子を見て1992年、鄧小平は上海や深セン、武漢などで改革開放路線を説いて回ります。「南巡講話」として、たいへん有名です。深センでは人々とじっくりその問題を語り合い、「ここはモデル都市だ」とまで言っています。

 その頃の通信事業は、「郵電部」という昔の日本の郵政のようなところが運営していました。ところが、1978年以降、改革開放の動きで、権限を地方に移す分権運動が始められます。南巡講話の行われた1988~1991年頃には、電気通信産業に関する権限が全国2500箇所の電信局に移転されました。

 さらに、非常に重要なことですが、1985年の高等教育制度改革で、自主的職業選択制度が導入されます。これは何かというと、それまでの中国では、大学生の卒業後の職業に関しては政府が全部配置していて、自分では選べなかったのです。

 それが初めて選べるようになったので、あまり知られていない民間新興企業でもアプローチできるようになり、高度な産業に参入できる余地もあった。ある意味では、ファーウェイはぎりぎりのチャンスをつかんで飛び出したということです。


●弱小民間企業が巨大国有企業に勝てた理由


 1990年代は、世界的に通信自由化が非常に進んで、通信産業に多くの企業が参入していきます。中国では200ぐらいの企業が参入したそうですが、デジタル交換機自主開発に成功して存続したのは、たった5企業だったようです。

 まず、国有の巨龍(巨龍通信設備有限公司)、次に国有の金鵬(金鵬電子有限公司)、国有の大唐(大唐電信科技股有限公司)、それからファーウェイ、そしてZTEという名前で知られている中興通訊は半国有半民間です。

 こういう企業のなかで、なぜファーウェイが突出できたのでしょうか。その後、巨龍は消滅し、金鵬は主要5社から脱落します。大唐は低迷し、ZTEは存続したもののファーウェイのはるかに後塵を拝することになりました。

 なぜこうなったか。国有系の企業は、たくさんあった企業を政府の肝煎りで連合させて...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
クライン『ショック・ドクトリン』の真実(1)ショック・ドクトリンとは何か
100分de名著!?『ショック・ドクトリン』驚愕の印象操作
柿埜真吾
イラン戦争とトランプ大統領の戦争指導(1)米軍式戦略リーダーシップによる評価
イラン戦争…トランプ大統領の戦争指導のどこが問題なのか?
東秀敏
本当によくわかる経済学史(1)経済学史の概観
経済学史の基礎知識…大きな流れをいかに理解すべきか
柿埜真吾
地政学入門 ヨーロッパ編(1)地図で読むヨーロッパ
ヨーロッパとは?地図で読み解く地政学と国際政治の関係
小原雅博
お金とは何か?…金本位制とビットコイン(1)お金の機能とその要件
お金の「3大機能」とは何か? そしてお金のルーツとは?
養田功一郎

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(37)長谷川眞理子先生の公開収録!
【アンケート&公開収録】長谷川眞理子先生:男と女でどう違う?能力の高め方
テンミニッツ・アカデミー編集部
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(2)翻訳に込めた日米の架け橋への夢
アメリカ人の心を震わせた20歳の日系二世・三上弘文の翻訳
門田隆将
ロシア人の見る「ロシアの歴史」(2)タタールのくびきと「第三のローマ」
なぜロシアが「第三のローマ」なのか?…東ローマ帝国とモンゴル帝国の根深い影響を探る
上月豊久
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(1)老年病科と高齢者の疾患・病態の特徴
頻尿、低栄養、転倒、誤嚥、フレイル…増える老年症候群と高齢者の疾患・病態の特徴
小川純人
『「甘え」の構造』と現代日本(1)「甘え」のインパクト
「甘え」は現代においてダメなものなのか…名著『「甘え」の構造』への2種類の誤解とは?
與那覇潤
「満洲」から考える日本とアジア(1)「満洲」を知る意義とは
「満洲史」はなぜ現代日本でタブー視されるのか?…王道楽土の夢とアヘンなどの裏面から見えてくる現代への教訓
宮脇淳子
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
江戸とローマ~日本酒とワイン(2)ローマの酒文化とファストフード
ポンペイのファストフード店、遺跡が物語るローマの酒文化
本村凌二
近現代史に学ぶ、日本の成功・失敗の本質(6)東條内閣で行われた行政改革
悲惨な末路につながった東條英機内閣での兼職と省庁再編
片山杜秀