中国、驚異の情報革命
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国有企業にはないファーウェイの「戦略的人的資源管理」
中国、驚異の情報革命(4)ファーウェイ発展の背景
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
「ファーウェイ」(華為技術社)の成功は、初期では鄧小平の改革開放路線に引っ張られるかたちで始まったが、1990年代には巨大な国有企業に打ち勝ち、2000年代には世界との勝負に乗り出した。その最大の資源は、ソフトウェア技術者である。ファーウェイの「戦略的人的資源管理」が、彼らの能力と意欲を引き出し、現在の発展に至っている。(全7話中第4話)
時間:11分08秒
収録日:2019年11月11日
追加日:2019年12月15日
カテゴリー:
≪全文≫

●改革開放・高等教育制度改革が後押ししたファーウェイの発展


 情報産業の急激な発展の背景にどういうことがあったかを少し振り返っておきましょう。これには、鄧小平が始めた「改革開放」が非常に大きな影響力をもっています。

 鄧小平は1979年から改革開放を進めましたが、1989年の天安門事件で一時頓挫をします。それからしばらく様子を見て1992年、鄧小平は上海や深セン、武漢などで改革開放路線を説いて回ります。「南巡講話」として、たいへん有名です。深センでは人々とじっくりその問題を語り合い、「ここはモデル都市だ」とまで言っています。

 その頃の通信事業は、「郵電部」という昔の日本の郵政のようなところが運営していました。ところが、1978年以降、改革開放の動きで、権限を地方に移す分権運動が始められます。南巡講話の行われた1988~1991年頃には、電気通信産業に関する権限が全国2500箇所の電信局に移転されました。

 さらに、非常に重要なことですが、1985年の高等教育制度改革で、自主的職業選択制度が導入されます。これは何かというと、それまでの中国では、大学生の卒業後の職業に関しては政府が全部配置していて、自分では選べなかったのです。

 それが初めて選べるようになったので、あまり知られていない民間新興企業でもアプローチできるようになり、高度な産業に参入できる余地もあった。ある意味では、ファーウェイはぎりぎりのチャンスをつかんで飛び出したということです。


●弱小民間企業が巨大国有企業に勝てた理由


 1990年代は、世界的に通信自由化が非常に進んで、通信産業に多くの企業が参入していきます。中国では200ぐらいの企業が参入したそうですが、デジタル交換機自主開発に成功して存続したのは、たった5企業だったようです。

 まず、国有の巨龍(巨龍通信設備有限公司)、次に国有の金鵬(金鵬電子有限公司)、国有の大唐(大唐電信科技股有限公司)、それからファーウェイ、そしてZTEという名前で知られている中興通訊は半国有半民間です。

 こういう企業のなかで、なぜファーウェイが突出できたのでしょうか。その後、巨龍は消滅し、金鵬は主要5社から脱落します。大唐は低迷し、ZTEは存続したもののファーウェイのはるかに後塵を拝することになりました。

 なぜこうなったか。国有系の企業は、たくさんあった企業を政府の肝煎りで連合させて...

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