●民主主義は、民主主義の中から考えていても決してわからない
―― 執行先生、本日はよろしくお願いいたします。
執行 よろしくお願いします。
―― 今日は「民主主義を考えるための十二の根本原理」と、かなり大きなテーマです。
執行 今の民主主義社会は非常に重要で、この民主主義社会を本当の意味でよくしなければいけない。本当の意味で考えていかなければいけない。そのためには民主主義の中から考えていても決してわからない。これが、私がずっと歴史を研究してきた中で得た結論です。
―― 民主主義の中から考えてはいけないとは、どういう意味でしょう。
執行 民主主義は極めて簡単に言うと、政治が作り上げた一つの人民統治のシステムです。(人民統治のシステムには)封建主義をはじめいろいろありますが、全部方法です。どのように人間を統治するのがいいのかということです。そのうちの一つが民主主義なのです。
民主主義にも直接民主主義や間接民主主義など、いろいろあります。われわれは間接民主主義をとっていますが、全部、統治方法です。そして統治方法とは、人間という動物が考え出した哲学というか思想です。この哲学や思想がどうして生まれたかを把握していないと、民主主義について考えられません。
だから、民主主義の中に入ってしまうと考えられない。この民主主義という政治手法が、どういうところから生まれたのかを考えることが重要ということです。
―― その前の時代とか、いろいろな時代から照らし出すことによって、よく見えてくるということですか。
執行 そういうことです。だから結局は歴史を知らなければいけないということです。歴史の中でも、特に政治思想がどうして生まれたかを知ることが重要です。だから今回、民主主義を知るための12か条を挙げました。
このシリーズを真面目に聞いてくださっている人々が、(12か条を通じて)民主主義のどこが重要なのかわかるようになると、それこそ古代帝国において重要なことは何か、中世の封建社会は何が重要なのかといったことがわかるようになります。つまり、全部人間が織りなしている一つの文明の中から生まれてきた政治手法なのです。
われわれは今、民主主義を与えられているので「民主主義社会」と言っています。若い人と喋ったり、テレビなどを見ていると、みんな民主主義を「神」と思っています。
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