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神武天皇が建国の詔で「正しさを養う」と述べたことの凄さ

民主主義を考えるための十二の根本原理(3)神武天皇の日本建国の詔「養正」

執行草舟
実業家/著述家/歌人
概要・テキスト
民主主義の根本原理の第2は「養正」である。これは、神武天皇が建国の詔で宣言した「正しさを養う」ということで、日本では国の中心である天皇が「みんなで考えながら正しさを養っていこう」と言ったのである。こんなことが言えたのは縄文時代の日本社会で、これが共通認識だったからである。これこそが本当の民主主義で、縄文時代に日本に民主主義が生まれたのは、日本が真の家族主義で、みんな人間として平等だったからである。同じことを言ったのがルソーで、「自然に帰れ」とは縄文時代のようなあり方を言っている。ただし西洋人はこのルソーの思想を間違って捉えた。そこから生まれたのが共産主義やフランス革命である。(全13話中第3話)
時間:10:12
収録日:2025/01/16
追加日:2025/03/28
カテゴリー:
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≪全文≫

●神武天皇による建国の詔、「養正」とは「正しさを養う」こと


 続いて民主主義の根本原理の第2に行きます。第2は「養正」です。「養正」は漢文で、日本語的に読むと「正しさを養う」となります。これは『日本書紀』に出ています。神武天皇が日本建国のときに出した詔の中の言葉です。神武天皇が日本を建国したときに「養正」という言葉を言っているのです。

 これから日本をどう治めていくかについて、神武天皇は「正しさを養っていこう」と人民に対して宣言したのです。

 これは大変なことです。これこそが本当の意味、いい意味での民主主義の始まりだと思います。そのくらい素晴らしいことです。「養正」とは、「正しさを養う」です。つまり日本は、「帝王」といわれ日本国の中心で頂点に立つ方が「俺が正しい」と言ってできた国ではないのです。

 どの国でも建国の詔は、みんな「自分が正しい」と言います。(例えば)共産党政府が立てば「共産党が正しい」「共産党は無謬だ」と言う。これが建国です。憲法です。でも日本だけは、日本国が建ったときに「これからみんなで考えながら、正しさを養っていこう」と神武天皇が言った。だから、いい意味で日本は最大の民主主義の国だと思うのです。

 では神武天皇がなぜ2600年前、紀元前6世紀頃にそうした宣言ができたのか。宣言できるということは、みんなの中に共通認識があるということです。例えば今、私が「奴隷を持っていいじゃないか」「殺人がなぜ悪いのか」と言っても、誰も受け入れません。これは共通認識がないからです。

 今の世の中で「殺人は悪い」と言えば、誰でもわかります。それと同じで、神武天皇が「正しさを養っていこう」と言ったということは、そのときの日本にそういう社会ができていたという意味です。

 この詔ができるのが弥生時代ですから、弥生以前の縄文時代に、この思想が日本を覆っていたということです。要するに全ての人にとって、「俺が正しい」という考え方が、ある意味ではなかったのです。

 だから、「みんなで話し合って、正しいものを決めていこうじゃないか」と。こういう社会が縄文です。科学的にも証明されてきましたが、1万何千年も大きな戦争がない社会が日本にはありました。あの状態が神武天皇の詔に表れているのです。それが「正しさを養う」という思想で、これはどういうことかいうと、全ての人が「どう生き...
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