民主主義を考えるための十二の根本原理
この講義シリーズは第2話まで
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
厳格な道徳、そして権利よりも義務を重んずる思想
民主主義を考えるための十二の根本原理(11)アメリカ清教徒の思想
執行草舟(実業家/著述家/歌人)
民主主義社会の全ての根源は、アメリカの清教徒社会にある。当時のアメリカをひと言でいえば、「厳格な道徳と、権利よりも義務を重んずる思想」が社会を覆っていた。それをわかりやすく書いたのが、ナサニエル・ホーソンの小説『緋文字』である。主人公の女性は若い頃の一回の過ちで、一生涯軽蔑される人生を送った。そういう社会の中で民主主義が生まれ、選挙権も広まっていったのである。道徳で縛られていた点では日本も同じで、島崎藤村の小説を読むと、家制度によって締め上げられていたことがわかる。これは古い話ではなく、ケネディが大統領だった1960年代まで残っていた。(全13話中第11話)
時間:12分21秒
収録日:2025年1月16日
追加日:2025年5月23日
カテゴリー:
≪全文≫

●『緋文字』にみる一度の不倫で一生が終わる時代


 「民主主義を考えるための十二の根本原理」の第10です。これは前にも少し取り上げたことがありますが、もう一回、思い出すためにお話しします。

 アメリカの清教徒、つまりピューリタンは、今われわれが民主主義社会と言っているものを作った全ての根源です。間違っていたとしても、彼らの考え方の中に民主主義は全部ありました。したがってもう一回、アメリカの清教徒社会が何であったかを解説します。

 その頃をひと言でいえば、「厳格な道徳と、権利よりも義務を重んずる思想」が社会を覆っていました。これが当時のアメリカ社会を代表する考え方です。

 アメリカ社会が民主主義の世の中を作ろうと思ったときに、どういう社会を構成したか。これについて文学では、ナサニエル・ホーソンが書いた『緋文字』を読むと、当時のアメリカ社会がどのような社会だったかわかります。今やLGBTQなど、いろいろ何でもありの社会から見ると、最悪で信じられないでしょうが、当時のアメリカ社会の真実が一番描かれています。

 哲学などは社会思想の攻撃を避けるために遠慮しやすく、その時代の本当の真実が書かれているのは、その時代の文学です。文学は芸術としてみんなが甘く見るので、かえって真実が書けるのです。

 『緋文字』には、結婚後、今でいえば不倫のような愛におけるちょっとした過ちを犯した女性の人生を書かれています。当時はちょっとした恋愛でも、過ちを一回でも犯せば、その人間は胸に赤い星を貼られました。一生涯、赤い星のバッジを背負って、みんなから軽蔑されて生きる。そういう人生を送らされたのです。そのことがわかりやすく書かれているのが『緋文字』で、皆さんもぜひ読んでください。

 ひどいことだと思いますが、このくらい行き過ぎた深い道徳観念を持つところまで、人間はいい意味で文化を発展させたのです。アメリカ社会も英国もそうで、プロテスタンティズムはとんでもない道徳を押しつけるところまで人間を追い込んだのです。

 ここが重要で、われわれが今、民主主義だと思っているような政治形態や選挙権は、このくらい道徳的に追い込まれ、みんなが本当に苦しんだことにより初めて得られたのです。そういう人たちのもとで選挙制度が作られたことを思い出してもらいたいのです。

 ほんのちょっと道徳から外れただけで一生...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(36)宮脇淳子先生「満洲史」講義の要点
【10min解説】「満洲史」はタブー?…そこから見えてくる教訓とは?
テンミニッツ・アカデミー編集部
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(6)認知症予防と健康寿命の延伸に向けて
フレイル・サイクルは回り出したら抜けられない!?負のスパイラルへの対処法
小川純人
「満洲」から考える日本とアジア(1)「満洲」を知る意義とは
「満洲史」はなぜ現代日本でタブー視されるのか?…王道楽土の夢とアヘンなどの裏面から見えてくる現代への教訓
宮脇淳子
文明語としての日本語の登場(1)古代日本語の復元
なぜ「てふてふ」が蝶々?日本語の変遷を追う…まずは万葉仮名から
釘貫亨
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
優れた経営者の条件(1)スキルとセンスの違い
経営者のセンスは担当者のスキルとは全く違う
楠木建
今こそ問うべき「人間にとっての教養」(1)なぜ本を読むことが教養なのか
『人間にとって教養とはなにか』に学ぶ教養と本の関係
橋爪大三郎
中国春秋戦国時代と始皇帝(序)映画『キングダム』の中国史監修
中国古代史の真実と『キングダム』…史実がわかれば物語はもっと面白い
鶴間和幸
現代人に必要な「教養」とは?(1)そもそも教養とは何か
教養とは…本質を捉える知、他者を感じる力、先頭に立つ勇気
小宮山宏