●歴史を勉強して、もう一回考え直さなければダメ
―― 執行先生、まことにありがとうございます。「民主主義を考えるための根本原理」ということでお話しいただく中、思い出したのが「テンミニッツTV」で橋爪大三郎先生にお話しいただいたアメリカの民主主義についての講義です。
アメリカでなぜ自由が大事なのか。なぜ法の支配が大事なのか。要は先生がこの講義でご説明いただいた、アメリカには非常に熱心なピューリタン、プロテスタントの方が来て、地区ごとにみんな「ここはこのプロテスタントを信じています」「ここはまた違うものを信じています」と全然違う人たちが、それぞれコミュニティを作っていると。
執行 そうですね。
―― お互いにとって、自分たちの宗教の自由を奪われるのが嫌なので、お互いに自由を守ろうとなった。だから法律を作って、お互い好きなことやるために自由を重んじると。
民主主義というのは、全然違う人たちがとりあえずまとまらなければいけないので、そのために先ほど先生がおっしゃった「自由か、しからずんば死か」といったアメリカのピューリタンの伝統が生まれた。心に「自分の理想」なり「こういうふうに生きていこう」と思っている人たちがそれぞれ集まったと。
執行 それは元があるということです。
―― それぞれが自分の大切なものを大切にしたいので、お互い大切にしながら、一方で民主主義的に話し合って国の方向を決めていく。この話と、今日の執行先生のお話で「魂の部分」が非常に伝わってきました。それが文学や言葉として、どう表現されているかということが非常によく伝わってくる講義でございました。
執行 そうですね。そして最後の根本原理12は私が勝手に言っていることで、まとめです。「民主主義は、民主主義者には決して分からない」。この意味は、川上さんが言われた本当の民主主義ならわかります。
今、民主主義と言われているのは、アメリカなどで作られた民主主義と丸っきり違うし、大家族主義から生まれた日本の民主主義、憲法十七条などに表れている民主主義とも丸っきり違います。
今はどちらかといえば工業文明、または公害を生み出す文明、高度成長をよしとするグローバリストがよしとされます。それを、日本も含めて世界中の国家が応援し、その太鼓持ちである各国のマスコミ機関も、どんどん宣伝しています。
それを現代...