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安倍政権が挑む農業改革、三つのポイント

アベノミクス新成長戦略のポイント(2)農業改革~三つの柱

島田晴雄
慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツTV副座長
概要・テキスト
アベノミクスの成長戦略の推進にあたり、最も手ごわい岩盤は農業だが、その改革には三つのポイントがある、と島田晴雄氏は解説する。島田氏が「諸悪の根源」とする日本の農業の問題点とは? 農業改革の三大ポイント、減反政策、農協、農地法に関する解説。(2015年1月26日開催島田塾第120回勉強会島田晴雄会長講演「年頭所感 アベノミクス 2年間の経験とこれからの日本経済」より、全10話中第4話目)
時間:08:43
収録日:2015/01/27
追加日:2015/02/23
≪全文≫

●農業改革の背景にある自民党の票田政策


 アベノミクス成長戦略を推進するにあたり、最大の岩盤は農業です。ここに、官房長官の菅義偉さんがものすごい力を発揮したと思います。

 今、安倍政権の農業改革は、大きく見て三つのポイントがあるのです。一つは、減反政策の廃止。もう一つは、農協の改革。そして、あと一つが、農地の改革です。これにはどのような意味があるのか、少し背景を説明します。

 日本の農業は今、国際的に競争力がなく、本当にひどいということになっていますが、これは実は、戦後改革が全部裏目に出ているのです。戦後改革で、地主をなくして、小作農を皆、自作農にして、非常に小規模な農家がたくさん現れました。これが自民党の票田になったのです。この票田は、終戦直後は1500万票以上あったのです。自民党は、この票田を基盤にしてできたような政党ですから、票田は減らしたくないのです。

 しかし、生産性を向上させようとすると、総農地面積は変わらないのに、農家一戸当たりの規模を拡大することとなり、農家戸数が減ってしまいます。なので、あえて生産性を向上させなかったのです。

 ただ、そうすると都会はどんどん所得が上がるのに、農村は上がりませんから、農村は怒ります。この怒りを鎮めるために、米価の政治決定をやったわけです。つまり、春闘と同じように、生産性の全く上がらないお米の価格を40年間引き上げ続けた。そうして、米価が国際価格の20倍ぐらいになってしまったのです。

 結局、農村は自民党の票田対策の犠牲者です。当時から、社会状況は大きく変わったわけですが、本当の犠牲者は今、農村にいるのです。実を言うと、こうなった諸悪の根源は自民党なのです。票田、稲の田ではなくて、票の田。そのように農村を使ったのです。


●農村の生産性向上の機会を奪った減反政策


 さすがに政治米価決定は廃止されましたが、価格がある程度自由に決まるようになった時に、大問題が見えてきました。国民がお米を食べなくなったのです。現在、戦前に比べると、国民の食べるお米の量は3分の1ぐらいです。年配の方はよくご存知だと思いますが、昔は日の丸弁当やドカベンなどというのがあったのですね。たくさんの白飯の真ん中に梅干しが一つあるだけの弁当です。今、そのような弁当はありませんからね。

 米の消費量は本当に減ったのです。需要が...
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