アベノミクス新成長戦略のポイント
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
日本の労働生産性が先進国中最も低い背景とは? 
アベノミクス新成長戦略のポイント(3)働き方の改革~民主化の悪影響を払拭
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
アベノミクス新成長戦略が農業の次に立ち向かう大きな岩盤は、「働き方」の改革だ。「働き蜂」と称されるほど日本人は良く働くが、にもかかわらず日本の労働生産性は先進国中最も低い。その背景とは? 今なお引きずる戦後日本の問題とは? 島田晴雄氏が語る。(2015年1月26日開催島田塾第120回勉強会島田晴雄会長講演「年頭所感 アベノミクス 2年間の経験とこれからの日本経済」より、全10話中第5話目)
時間:9分07秒
収録日:2015年1月27日
追加日:2015年2月24日
≪全文≫

●先進国中、最も労働生産性の低い日本

 
 次にお話しするのは、働き方の改革についてです。これは、農業と並んでもう一つの大きな岩盤です。どういうことかと言いますと、日本人はよく働くと言われていますが、皆さん知っていますか? 日本の労働生産性は先進国の中で一番低いのです。いつそういうことになってしまったのかというと、この20年ぐらいずっと落ちているのです。

 その背景にはこういう理由があります。賃金が労働時間で決まるようになっているからです。これは、日本の頑迷な労働法がそうなっているのですね。世界の労働法は随分と違います。産業によって労働法が違っていたりしますし、主要国では、ホワイトカラーは労働法を適用していません。日本だけ、忠実にありとあらゆる労働者に、ホワイトカラーから何から全部含めて、19世紀的工場法、つまり労働時間で全て決めるという労働法になっているのです。これは珍しい国です。

 これも戦後改革なのですね。民主化の一環だったのだと思います。要するに、身分差別をなくすということが全面に出て、こういった労働法になったのでしょう。


●調子により差の出るホワイトカラーの生産性

 
 製造業などに従事する労働者は、時間で測るこの労働法が適していると思います。あるいは、コンビニのレジのように、時間給で働いている人はこの方法が適していると思います。

 ただ、こういう職種の労働者、特に製造業は、今、全労働力の1割まで行っていません。とうとうそこまで来てしまったのですね。あとの9割はどういう人かというと、企画や研究、開発やら営業、流通だの、そういう職種の人たちなのです。基本的にはホワイトカラーということです。

 NEC(日本電気)が、ある時、同じグループで生産性の比較をしたことがあるのですが、ホワイトカラーというのは、調子に乗っているときと乗っていないときで、25倍も生産性が違うということがあり得るのだそうです。研究職などは全部そうですが、恐らく、金融も同じだと思います。


●創造的仕事ができない仕組みの日本

 
 こういう職種には、調子が乗っているときに給料を払えばいいわけです。調子のいいときに1時間働いて、いい成果を上げればいいわけですね。それは日本では出来ないスタイルですが。

 例えば、アメリカなどでは「エグゼンプト(exempt、時間外勤務手当か...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
日本のエネルギー&デジタル戦略の未来像(1)電動化で起こる「カンブリア爆発」
ロボットの「カンブリア爆発」時代へ電動化がもたらすもの
岡本浩
財政問題の本質を考える(1)「国の借金」の歴史と内訳
いつから日本は慢性的な借金依存の財政体質になったのか
岡本薫明
台湾有事を考える(1)中国の核心的利益と太平洋覇権構想
習近平政権の野望とそのカギを握る台湾の地理的条件
島田晴雄
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
多数派が多数でなくなるとき
悩める多数派…なぜ「多数は少数の集まり」と考えるべきか
曽根泰教
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博

人気の講義ランキングTOP10
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造
「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ
岡朋治
歴史の探り方、活かし方(2)図書館「レファレンス」の活用
図書館の便利な活用法…全国の図書館からの「お取り寄せ」
中村彰彦
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(3)認知バイアスとの正しい向き合い方
知ってるつもり、過大評価…バイアス解決の鍵は「謙虚さ」
今井むつみ
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(2)量子論と空海密教の本質
脳内の量子的効果――ペンローズ=ハメロフ仮説とは
鎌田東二
編集部ラジオ2025(27)なぜ何回説明しても伝わらない?
なぜ伝わらない?理解の壁の正体を今井むつみ先生に学ぶ
テンミニッツ・アカデミー編集部
デカルトの感情論に学ぶ(2)感情をコントロールするには
恐怖をなくす方法と感情のコントロール…デカルトの考え方
津崎良典
内側から見たアメリカと日本(2)アメリカの大転換とトランプの誤解
偉大だったアメリカを全否定…世界が驚いたトランプの言動
島田晴雄
徳と仏教の人生論(1)経営者の条件と50年間悩み続けた命題
宇宙の理法――松下幸之助からの命題が50年後に解けた理由
田口佳史
ChatGPT~AIと人間の未来(1)ChatGPTは何ができて、何ができないか
ChatGPTは考えてない?…「AIの回答」の本質とは
西垣通
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(1)内戦と組織動乱の構造
カーク暗殺事件、戦争省、ユダヤ問題…米国内戦構造が逆転
東秀敏