歌舞伎はスゴイ
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歌舞伎の魅力とサバイバル術…市川團十郎の歴史から考える
歌舞伎はスゴイ(1)市川團十郎の何がスゴイか(前編)
堀口茉純(歴史作家/江戸風俗研究家)
江戸の歌舞伎の歴史をひもときながら、その魅力に迫っていく講義シリーズ。まず第1話と第2話で歴代・市川團十郎の事績をたどって「江戸で歌舞伎がいかに発展していったか」を探り、そして第3話と第4話で「いかに歌舞伎がたくましくサバイバルして魅力を高めていったか」を見ていく。第1話は、市川團十郎の初代から六代目までの歴史である。上方(京都、大阪)発祥の芸能であった歌舞伎を、江戸の色で染め上げた代表格が市川團十郎であった。「荒事」を打ち出したその魅力は、まるで「少年漫画」の魅力とも相通ずるというが、はたしてどのようなことか。各代の市川團十郎はどのような才能を発揮し、いかに江戸の人々を魅了したのだろうか。堀口茉純氏の『歌舞伎はスゴイ』(PHP新書。https://amzn.asia/d/hj7N07g)をベースに解説。(全4話中第1話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツ・アカデミー編集長)
時間:12分22秒
収録日:2019年4月3日
追加日:2026年1月14日
≪全文≫

●圧倒的なカリスマ!初代市川團十郎は「少年漫画」のような魅力!?


―― 皆さま、こんにちは。

堀口 こんにちは。

―― 本日はPHP新書から『歌舞伎はスゴイ! 江戸の名優たちと〝芝居国″の歴史』を発刊されました堀口茉純さんにお越しいただきまして、「市川團十郎の何がスゴイか?」についてお話をいただこうというように思っております。

堀口 はい。

―― この『歌舞伎がスゴイ!』は、私がPHP時代に編集を担当させていただいた本なので。

堀口 そうですね。いやあ。

―― こういう形で紹介するのがなんだか照れくさいと言いますか、気恥ずかしいところがあるのですけれども、本当にたいへんお世話になりまして、まことにありがとうございました。

堀口 本当にご苦労をおかけしました。ありがとうございました。

―― で、本日はこの中のとくに市川團十郎、歴代の魅力に迫っていくということでお願いしたいのですが、端的に言って、「市川團十郎の何がスゴイか?」というところなのですけれども、それについては堀口さん、どのようにお考えでいらっしゃいますか。

堀口 市川團十郎家というのは、ひと言で言うと、やっぱり「その時代、その時代を映す鏡」だったと思うんですね。とくに江戸時代の文化史をたどっていくと、必ずその團十郎の面影だったりとか、團十郎というのが登場するような部分があるのです。

 たとえば初代の市川團十郎なのですけども、この方は元禄時代という時代に活躍して、「江戸歌舞伎ってこういうものだ」というものを作りあげたパイオニアだったわけですね。もう本当に圧倒的にカリスマ性のある人だったと思うのです。

 というのは、元々、歌舞伎は京都で出雲阿国という女性が始めたということもありまして、歌舞伎の本場はやはり上方――京都、大坂――だったのです。ですけれども、この人(初代市川團十郎)は江戸でデビューした役者ですから、江戸らしさというものが出てくるんですね。

 じゃあ、江戸らしさって何なのかと言うと、それまでの上方で好まれた歌舞伎というのは、やっぱりお上品で、たおやかでというような、男性と女性の恋愛模様、悩む2人の心の機微みたいなものを描くものが多かったのですが、初代の團十郎がやったのは何かというと、もう少年漫画の世界なんですよ。

―― 『ジャンプ』とか?

堀口 『ジャンプ』とか(笑)。

―― 少年漫画とい...

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