ソニー流「人的資本経営と新規事業」成功論
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新規ビジネスの立ち上げ方、伸ばし方、見切り方の具体例
ソニー流「人的資本経営と新規事業」成功論(4)新規事業成功のポイント
水野道訓(元ソニー・ミュージックエンタテインメント代表取締役CEO)
「君が世界を面白くするんだ」――新規ビジネスを始めるには勇気と覚悟がいるが、そこで大事になってくるのは、自分自身で「世界を面白くしたい」という思いとその行動力である。敗者復活戦ありで下意上達という社風の中で生まれたのが、YOASOBIだった。ただ、難しいのは、多角化として新規ビジネスを立ち上げる際の経営判断である。今回はそうした状況の中での成功例と失敗例を挙げて解説する。(全5話中第4話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツ・アカデミー編集長)
時間:10分36秒
収録日:2025年5月8日
追加日:2026年2月16日
≪全文≫

●「君が世界を面白くするんだ」――下意上達と新陳代謝の重要性


―― 子どものような質問になりますが、下意上達を考えたとき、多くの企業のやりがちなのは「あなたの提案、募集します」みたいな……。

水野 やっていますね。

―― そんな形だとなかなか集まってこないから、「1回やってみようよ」みたいにやるケースもあったりします。実際のところソニー・ミュージックの中で上がってくるのは、どのように上がってきたものですか。

水野 何もしなくても意見として上がってくるケースもあれば,(そうでないケースもある)。先ほどの電子書籍の立ち上げ(の話)では、今のYOASOBIを立ち上げたプロデューサーが「モノガタリードットコム」という名前を付けたのです。「応募型電子小説のサイトを作りたい」と。

 これは新規ビジネスの募集の中で出てきたのです。それで「これは電子書籍と一緒にできるね」と言って、同じようなチームの中で、それが生まれてきたのです。だから、正確に何年に1回という形ではないですけれど、だいたい見ると3年に1回ぐらいは新規ビジネスの募集はやっています。

 その中で、当の本人の真剣さがどうかという部分で最近の風潮の中でちょっと怪訝に思うのは、最終的に絞り込んだ(あと、最初に)新規ビジネスの提案をしてきた人間と面談みたいなこともするわけです。そこで「君はどの程度までの規模のビジネスにしたいと思うんだ?」と言うと、「えっ、僕がやるんですか? 僕はビジネス提案はしましたけど、誰か他の人にやってもらいたいと思っている」と。そういうことを言う人間が多いのです。あり得ないですよね(笑)。

―― そうですよね。「おまえがやるんだぞ」と。

水野 そうです。そこが先ほどの話ですが、「世界を君が面白くするんだよ」と。そういう人間を探すのも大事ですね。

―― 逆にいうと、どれを選ぶかというとき、その覚悟があるかなしか。

水野 そうです。

―― 「私がやります」と。

水野 これは勇気が要ることですけれどね。だから先ほど言ったように、失敗をしても、それで一生スポイルするなんてことは、やっちゃいけないのです。もう1回敗者復活して、「あいつ、今度はこっちで輝くことをやり出したね」といったことがあっていいわけです。

 それと先ほど言った新規ビジネスの募集をするのは、「絶えずそういうものを募集してるんだよ、この会...

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