●歴史認識問題はグローバルな視点で考えなければいけない
そして、4番目のポイントである歴史認識の問題について、最後に申し上げます。
歴史認識問題は、国際社会において非常に重視されています。例えば、ドイツは、日本とはかなり違い、高い評価を受けている、もしくは、日本の歴代総理は、アメリカの議会でまだ一度も演説ができていないなど、これらは、いずれも歴史認識問題に関する日本に対する厳しい目線が背景にあって起きている事実なのです。
日中、日韓、もしくは、日本とアジアの国々との間で起こっているさまざまな歴史認識問題は、アジア、もしくは、日中、日韓の間だけで考える問題ではなく、グローバルな視点から考えなくてはいけない問題であり、そのことが歴史認識問題であるという認識を、日本の中でもっと広く共有されなければいけないと思います。つまり、外国に対する謝罪の繰り返しということではなく、より本質的に日本国内の歴史教育の見直しによって、国民全体の意識の覚醒を行うことが重要な課題であるといえます。そのためには、どうしても成し遂げなければいけない問題が、歴史教育の見直しなのです。
●近代史に重点を置く教育が今後の歴史教育のあり方
日本では、明治維新以降の歴史をきちんと教えていません。しかし、どの国も、主要な歴史の授業の時間は、近代史に割かれています。例えば、アメリカは、近代にできた国ですので、ほとんど近代史しかありませんし、中国には5000年の歴史がありますけれども、小中学校で歴史を勉強する場合、2学期の最初から日中戦争となります。つまり、2学期は、1920年代から30年代にかけての中国の歴史から始まるのです。
それに対して、日本は、江戸時代まで終わるのが2学期です。3学期になってやっと1800年代の終わりから1900年代に入るところという状態ですから、近代史を勉強する時間が実質的には2カ月もないというのが、今の日本の歴史教育の現状です。
これでは、他の国が一生懸命に勉強している近代史のものの考え方に対して、日本人が日本独自の視点できちんと十分にものを言うことができないのは当然です。これでは、国民の歴史認識の不足につながり、中国その他のアジア諸国との無用な感情的な摩擦を生む原因になってしまっています。また、日本に対する共感や、日本の歴史に対するしっかりとした...