安倍首相と祖父・岸信介氏のDNA
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
父方の祖父は母方とは対照的なリベラルの政治家
安倍首相と祖父・岸信介氏のDNA(1)対照的な安倍首相の二人の祖父
政治と経済
若宮啓文(元朝日新聞主筆)
戦後の安保改定に尽力した第56代・57代内閣総理大臣の岸信介氏は安倍首相の母方の祖父である。本編シリーズ第1話では、あまり知られていない安倍首相の父方の祖父の存在についてもフォーカスし、岸氏の戦前から戦後にかけての波乱の政治家人生の軌跡を辿る。
時間:7分05秒
収録日:2013年11月8日
追加日:2014年2月24日
カテゴリー:

●もう一人の祖父・安倍寛


 今回は、安倍晋三総理とおじいさんのDNAというお話をしたいと思います。おじいさんというのは、みなさんよくご存じの岸信介さん、これが母方のおじいさんです。

 もう1人、実はあまり安倍さんはお話にならないのですが、父方の、父というのは安倍晋太郎さんですが、そのお父さんが安倍寛さんという、やはり国会議員をやった方がいます。

 この岸さんと安倍さんというのは、実は同じ山口県、昔で言う長州の出身で、岸さんは明治に生まれた方ですが、非常に対照的です。

 岸さんについてはあとで詳しく述べますが、戦前に戦争責任を問われて、一時はA級戦犯の容疑者にもなった、日本の保守政界の右派の源流的な戦後の流れを作った方です。

 安倍寛さんという人は、実は岸さんより2年前の明治27年、1984年に同じ山口県で生まれて、同じ当時の東京帝国大学を出た方ですが、当時そのような言葉があったかどうか分かりませんが、非常にリベラルな系統の方です。一つは非常に金権腐敗の政治を批判して、政界を志したということもあるのですが、軍部の特に東條政権に強く反対して、大政翼賛会ができたあとの戦争中に国会議員になりました。
 
 実は、岸さんは大政翼賛会の候補者として当選を果たすのですが、この安倍さんは大政翼賛会という戦時体制にくみしないという立場から選挙に出て、見事に当選したという経緯の持ち主です。ところが、残念なことに戦後第1回の総選挙に向けて準備をしていたときに、心臓麻痺で亡くなってしまったのです。このため、安倍晋三さんは、このおじさんと会ったこともないわけです。そういうこともあってか、あまり安倍寛さんの影響を受けていないように感じられます。


●A級戦犯容疑者として逮捕され、後に総理となった岸信介


 むしろ岸さんのDNAが色濃く安倍さんに流れているとよく言われるのですが、そのことについて、少し詳しくお話しようかと思います。

 岸さんは戦前に商工省という役所のエリートの道を歩むのですが、非常に優秀な官僚として嘱望されました。満州国というのが満州事変のあとできて、日本の傀儡国家だと言われるわけですが、ここの高官、お役人の事実上トップとして満州に呼ばれて赴きます。当時の軍人たちとよしみを通じながら満州の支配にあたった経緯の持ち主です。

 そのことを、岸さんは非常に誇らしく思っていたようで、満...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
政治学講座~選挙をどう見るべきか(1)選挙の意味
選挙と政治権力…「選挙に勝つ」とはどういうことか?
曽根泰教
クライン『ショック・ドクトリン』の真実(1)ショック・ドクトリンとは何か
100分de名著!?『ショック・ドクトリン』驚愕の印象操作
柿埜真吾
独立と在野を支える中間団体(1)「中間団体」とは何か
なぜ中間団体が重要か…家族も企業も学校も自治会も政党も
片山杜秀
「新しい資本主義」の本質と課題(1)新自由主義と『21世紀の資本』
新自由主義からの時代背景から「新しい資本主義」を問う
柳川範之
マルクス入門と資本主義の未来(1)マルクスとはどんな人物なのか
マルクスを理解するための4つの重要ポイント
橋爪大三郎
トランプ・ドクトリンと米国第一主義外交(1)リヤド演説とトランプ・ドクトリン
トランプ・ドクトリンの衝撃――民主主義からの大転換へ
東秀敏

人気の講義ランキングTOP10
続・日本人の「所得の謎」徹底分析(1)各国の財政と国民負担
日本と各国の比較…税負担は低いが社会保障の負担は高い
養田功一郎
経験学習を促すリーダーシップ(2)経験から学ぶ力
米長邦雄のアンラーニング、弟子の弟子になってV字成長
松尾睦
海底の仕組みと地球のメカニズム(1)海底の生まれるところ
地球上の火山活動の8割を占める「中央海嶺」とは何か
沖野郷子
数学と音楽の不思議な関係(4)STEAM教育でつくる喜びを全ての人に
世界で最もクリエイティブな国は? STEAM教育が広がる理由
中島さち子
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(1)著書『外交とは何か』に込めた思い
外交とは何か…いかに軍事・内政と連動し国益を最大化するか
小原雅博
「集権と分権」から考える日本の核心(5)島国という地理的条件と高い森林率
各々の地でそれぞれ勝手に…森林率が高い島国・日本の特徴
片山杜秀
未来を知るための宇宙開発の歴史(9)宇宙開発を継続するための国際月探査
「国際月探査」とは?アルテミス合意と月探査の意味
川口淳一郎
第2の人生を明るくする労働市場改革(1)日本の労働市場が抱える問題
シニアの雇用、正規・非正規の格差…日本の労働市場の問題
宮本弘曉
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(4)百年後の日本人のために
百年後の日本人のために、共に玉砕する仲間たちのために
門田隆将
「アカデメイア」から考える学びの意義(2)プラトンの学園アカデメイア
プラトン「アカデメイア」の本質は自由な議論と哲学的探究
納富信留