安倍首相と祖父・岸信介氏のDNA
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
反共同盟への思いと韓国への謝罪で臨んだ李承晩との交渉
安倍首相と祖父・岸信介氏のDNA(3)岸氏に学ぶべきこと
若宮啓文(元朝日新聞主筆)
岸信介氏が進めた日韓国交交渉。そこには植民地支配の屈辱を体験した韓国の琴線に触れた岸氏の言葉があった。これから良好な日韓関係を構築していくためにはどうすべきか、岸氏の秘話はいま大いに参考になるだろう。
時間:13分19秒
収録日:2014年2月22日
追加日:2014年3月6日
カテゴリー:
≪全文≫

●岸信介氏が進めた日韓国交交渉

前回まで、安倍総理大臣が、祖父である岸信介さんから、いかに影響を受けているかというお話をしました。今日はその続きで、岸さんが安倍総理にはない、ある側面を持っていたというお話をしたいと思います。それは日韓関係、韓国と日本の関係です。
岸信介さんが総理大臣をしている頃、日本と韓国には国交がありませんでした。なんとか国交を開こうということで、日韓の国交交渉がずっと行われていたのですが、その途中で、日本側の代表の発言が韓国をいたく刺激するといった出来事があって、4年以上にわたり交渉が中断されるという状況になったのです。
当時韓国は、李承晩(イ・スンマン)大統領が大変反日的な人でした。しかも日韓の間にある海上に「李承晩ライン」と言われる線をひいて、そこから韓国側に入ってきた漁船を次々に拿捕して、漁民を捕らえるという問題もあったわけです。
そういうことから、岸さんは、なんとか漁民を返してもらうことに加え、日韓交渉をもう一度再開しようということで、いろいろなパイプを使って努力するのです。
それがある程度できた段階で、岸さんは今度、なんとか首脳会談を開きたいという思いに至るわけです。

●李承晩との交渉~反共同盟への想いと韓国への謝罪~

これには伏線があります。
岸さんは、中国という共産主義化したアジアの大国を意識して、東南アジアから台湾まで歴訪します。その中で唯一、岸さんができなかったのは、韓国との関係でした。
韓国は、当時北朝鮮と一応休戦していましたけれども、引き続き大変な緊張関係にあり、北朝鮮の背後にソ連や中国という共産国家があった、そういう時代です。
岸さんは、アジアの反共連盟を作ろうという気持ちがありましたので、なんとか韓国とも関係を作りたかったのです。しかも、大変仲が良かった台湾の蒋介石(ショウカイセキ)さんが、岸さんに対して、それを強く勧めていたわけです。岸さんのほうでも、蒋介石に、なんとか李承晩に口添えをしてくれるように頼んでいたのです。
そういう状況の中で、岸さんは、総理大臣になって数ヶ月後の1958年5月、満州時代以来大変親密な仲だった矢次一夫さんを、自らの特使として韓国に派遣します。
矢次一夫さんという人は、民間の人ですが、政治・外交の裏方としていろいろなパイプを使って動いていた人で、台湾や韓国とのパイプも持っていまし...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
為替レートから考える日本の競争力・購買力(1)為替レートと物の値段で見る円の価値
ビッグマック指数から考える実質為替レートと購買力平価
養田功一郎
墨子に学ぶ「防衛」の神髄(1)非攻と兼愛
『墨子』に記された「優れた国家防衛のためのヒント」
田口佳史
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
お金の回し方…日本の死蔵マネー活用法(1)銀行がお金を生む仕組み
信用創造・預金創造とは?社会でお金が流通する仕組み
養田功一郎
日本人が知らないアメリカ政治のしくみ(1)アメリカの大統領権限
権限の少ないアメリカ大統領は政治をどう動かしているのか
曽根泰教
ポスト国連と憲法9条・安保(1)国連の構造的問題
核保有する国連常任理事国は、むしろ安心して戦争できる
橋爪大三郎

人気の講義ランキングTOP10
熟睡できる環境・習慣とは(2)酒、コーヒー、ブルーライトは悪者か
ブルーライトは悪者か?近年分かった「第3の眼」との関係
西野精治
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
内側から見たアメリカと日本(7)ジャパン・アズ・ナンバーワンの弊害
ジャパン・アズ・ナンバーワンで満足!?学ばない日本の弊害
島田晴雄
歴史の探り方、活かし方(6)江戸時代の藩校レベルを分析
史料読解法…江戸時代の「全国の藩校ランキング」を探る
中村彰彦
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
エンタテインメントビジネスと人的資本経営(1)ソニー流の多角化経営の真髄
ソニー流「多角化経営」と「人的資本経営」の成功法とは?
水野道訓
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
「集権と分権」から考える日本の核心(1)日本の国家モデルと公の概念
日本は集権的か分権的か…地理と歴史が作る人間の性質とは
片山杜秀