中東のパラダイムシフト
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イスラエルが危惧するイラン・米国の融和
中東のパラダイムシフト―米国・イラン・イスラエル
山内昌之(東京大学名誉教授/歴史学者/武蔵野大学国際総合研究所客員教授)
いま中東各国間において、従来の関係性や同盟のあり方が変化していると、歴史学者・山内昌之氏は指摘する。そこには、目先の利害関係や脅威だけではなく、歴史的、宗教的意味を持った対立があり、それぞれの関係性に影響を与えているのだという。山内氏の歴史家としての眼が、中東各国関係性のパラダイムシフトの深層に及ぶ。(シリーズ講話第3話目)
時間:19分00秒
収録日:2015年3月11日
追加日:2015年3月23日
カテゴリー:
≪全文≫

●変化を見せる中東各国間の関係性

 
 皆さん、こんにちは。引き続き、中東において起きている地域の権力構造の変化、あるいはパラダイムシフトの問題について、今日はお話ししてみたいと思います。

 そのことをあえて言葉に表すと、同盟と関係性の変換とでも言えますでしょうか。つまり、各国が結んでいる関係性が変化し、各国の間で結ばれている同盟のあり方が変わってきているということです。


●イランをめぐるアメリカ・イスラエル間の変化

 
 今、現実的にこれをエピソードと見るか、あるいは、恒久的な現象として見るかによって違いもあると思います。しかし、少なくとも現時点において仮にこれがエピソードであったとしても、大変重要な現象は、やはりアメリカとイスラエルの関係が、オバマ大統領とネタニヤフ首相のもとで変化しているということだと思います。

 アメリカの内外に張り巡らされているイスラエル・ロビーという、イスラエル国に対する支援団体、あるいは、支援者のネットワークは、1948年にイスラエルが建国されて以来、大変強いものがありました。このイスラエル・ロビーの本拠地は、もちろんアメリカでした。ところが、アメリカの上下両院の合同の議会におきまして、イスラエルのネタニヤフ首相が招かれて演説をするという時に、合衆国大統領のオバマ氏が出席しないという事態になったのです。これは、アメリカ史上未曽有の、そして、異例な事態です。また、ネタニヤフ氏のホワイトハウスへの儀礼的な訪問も、その接見を受け付けないという、エピソードとしてはもうこれ以上ないといったような行為が、最近行われたばかりです。

 これは、いわばアメリカ国内におけるイスラエルのあり方に対する違いが顕在化したということで、ひいて申し上げますと、アメリカとイランとの関係の変化に基づいているわけなのです。ご承知のように、アメリカのオバマ政権は、今イランを必死に核査察の対象とし、本格的な核武装を阻止するために、ウランの限定的な濃縮の高度化に同意しようとしています。しかし、これは限りなく本格的な核武装への道だということで認めないのが、イスラエルの立場です。こうしたイランの問題をめぐって、アメリカとイスラエルが争っているということなのです。


●イスラエルが危惧するイラン・アメリカの融和

 
 もう一つ、イスラエルには、イランについて警戒す...

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