中東のパラダイムシフト
この講義シリーズの第1話は
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
既存のアラブ国家解体と新勢力の台頭
中東のパラダイムシフト―アラブ国家解体と新勢力台頭
山内昌之(東京大学名誉教授/歴史学者/武蔵野大学国際総合研究所客員教授)
歴史学者・山内昌之氏は、中東は大きなパラダイムシフトを起こしつつ、未だその真空を埋めるに足る権力バランスに欠けており、これが、アラブに破綻国家現象を起こしていると語る。既存のアラブ国家の解体と衝突し合う新勢力、そこから今、三つの新国家が再編成されようとしている。混乱する中東におけるパラダイムシフトの意味を考える。(シリーズ講話第2話目)
時間:14分58秒
収録日:2015年3月11日
追加日:2015年3月22日
カテゴリー:
≪全文≫

●アラブに見られる破綻国家現象


 皆さん、こんにちは。今日は前回に引き続き、中東における権力の真空、あるいは、新しい権力を目指した市民はどのような方向に進んでいったのかというような問題について、少し考えてみたいと思います。 

 あえて申しますと、いま起きている現象は、これまで権威主義的な支配や独裁者による専制的な支配を受けてきたアラブの国民国家が、破綻国家(フェイルド・ステイト)に変化しているのではないかということです。どのアラブのリーダーも日本の研究者も、なかなかそうしたことをはっきり直視しようとしません。政府、外務省や各企業には、いろいろな立場や利益があるわけで、当然のことながらこのような見方をするのはなかなかに難しいのですが、イラクやシリア、リビア、あるいは、イエメンといった国は、国家としての統一性(インテグリティ)や統合性(ユニティ)というものを失うことになったということは、以前にも触れました。

 もう少しその状態を定義するとすれば、これは一種の破綻国家なのです。つまり、ソマリランドやソマリアというアフリカの角にある国、これは、もともとアラブ連盟にも加入していたり、アラビア語に近い言葉を話したりする人もいたのですが、こうしたソマリア自体が、もはや一つの統一体を成していない。アフリカの西海岸においても、そうした状態の国や地域が出てきつつある。これらは、いずれも国際政治で破綻国家と呼ばれる存在ですが、アラブの重要な石油資源国、あるいは、戦略的な要所を占める重要な国々の中から、この破綻国家現象が出てきているということは、誠に遺憾なことであります。


●破綻現象二つの特色-アラブの解体と新勢力の登場


 これは、アラブ国民国家の没落と、それに代わる地政学的な真空を完全に埋め切れるような権力のバランスがまだ生まれてきていないということを意味しており、ここに21世紀の中東が直面し、われわれが大変憂慮するに堪えない点があるのです。

 つまり、特色付けようとすれば二つのことが挙げられます。まず第一に、簡単に言えば、既存のアラブ国家がその枠組みや国境も含め、解体しつつあるということ。第二番目は、その廃墟の上に新しい国家を目指す新しい勢力が登場してきたということです。しかも、その勢力は互いに衝突し合っているのです。それは他でもありません。一つはイスラム国(I...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
AI大格差~最新研究による仕事と給料の未来(1)最新研究から見えてくる未来像
AI大格差…なぜ日本の雇用環境では「ショックが大きい」のか?
宮本弘曉
お金の回し方…日本の死蔵マネー活用法(1)銀行がお金を生む仕組み
信用創造・預金創造とは?社会でお金が流通する仕組み
養田功一郎
半導体から見る明日の世界(1)世界的な半導体不足と日本の可能性
なぜ世界の半導体不足は起きた?台湾TSMCと日本復活への鍵
島田晴雄
本当によくわかる経済学史(1)経済学史の概観
経済学史の基礎知識…大きな流れをいかに理解すべきか
柿埜真吾
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
資産運用の思考法…経済や市場の動きをどう読むか
市場予測のポイント…短期・中期・長期の視点と歴史的洞察
養田功一郎

人気の講義ランキングTOP10
ロシア人の見る「ロシアの歴史」(1)会ってみたプーチン…その実像
ロシア人の見る「ロシアの歴史」を知るとロシアがよくわかる・・・実際に会ってみたプーチンの印象とは?
上月豊久
『「甘え」の構造』と現代日本(1)「甘え」のインパクト
「甘え」は現代においてダメなものなのか…名著『「甘え」の構造』への2種類の誤解とは?
與那覇潤
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(6)認知症予防と健康寿命の延伸に向けて
フレイル・サイクルは回り出したら抜けられない!?負のスパイラルへの対処法
小川純人
現代人に必要な「教養」とは?(1)そもそも教養とは何か
教養とは…本質を捉える知、他者を感じる力、先頭に立つ勇気
小宮山宏
近現代史に学ぶ、日本の成功・失敗の本質(6)東條内閣で行われた行政改革
悲惨な末路につながった東條英機内閣での兼職と省庁再編
片山杜秀
『万葉集』と律令社会~官僚の心得と歌宴(2)「出挙」と国司の仕事
地元の有力者の力を借りるために大伴家持が詠んだ歌とは?…今も奈良時代も変わらない中央官僚と地元有力者の関係
上野誠
中国春秋戦国時代と始皇帝(序)映画『キングダム』の中国史監修
中国古代史の真実と『キングダム』…史実がわかれば物語はもっと面白い
鶴間和幸
編集部ラジオ2026(36)宮脇淳子先生「満洲史」講義の要点
【10min解説】「満洲史」はタブー?…そこから見えてくる教訓とは?
テンミニッツ・アカデミー編集部
「満洲」から考える日本とアジア(5)ロシアのシベリア征服と日清日露戦争
「満洲利権」はなぜ日本の手に渡ったか?…ロシアの極東征服、そして朝鮮の混乱が日本を日清・日露戦争へ
宮脇淳子
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(1)神とは何か、そして天皇とは?
日本と世界の「神と信仰」の違いは?…そして天皇の大切な役割
橋爪大三郎