東洋思想の主張~見えないものを見る
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
見えない世界こそがわれわれが本当に見るべき世界
東洋思想の主張~見えないものを見る(1)暗いところが見える「玄人」
哲学と生き方
田口佳史(東洋思想研究家)
老荘思想研究者の田口佳史氏は、大切なものは自分の中にあると考えるのが東洋的思考であり、さらに東洋思想では「見えないものを見る」ということを重視する、と言う。では、「見えないところ」とはどういうところなのか、「見えないものが見える」達人とはどういう人なのか? 「黒い糸」が持つ意味から広がる東洋思想の真髄。(前編)
時間:15分13秒
収録日:2014年11月12日
追加日:2015年7月13日
カテゴリー:
≪全文≫

●外側にある対象に向かう西洋的思考


 私が専攻している東洋思想は、主に中国古典思想でありますが、この中国古典思想が、この21世紀の社会の指針になってくるのではないかと思っています。また、西洋思想とこの東洋思想が合体、融合すると言われていますが、東洋思想のいかなる部分にそのような今日性があるのかということについて、今日はお話を申し上げたいと思っています。

 もう一回念を入れて申し上げておきますと、私の目には、西洋的な思考とは、真理、外側にあるものに向かって迫っていくというように見えます。つまり、外側にある対象に向かっていくということです。反対に言えば、大切なものは全部外側から来るいうことで、特に近代西洋思想はその感が強いように思います。

 ですから、私が、西洋の特にアメリカの方々にお話をするときに、人間の基本的な幸せの、その基本はどこにありますか、という問いをすると、多くの人はやはり皆、それは外側にある。例えば、財産にあるとか社会的ポジションにあるとか、それから、金銭の多寡にあると、外側のものをお挙げになるのです。西洋はそう考えるのでしょう。


●外側の対象性ゆえの目に見える明白さが、西洋的思考の良さ


 この西洋流の良さというのはどこにあるかというと、要するに、対象が外側にあるから、誰の目にも明らかというところがあります。そうすると、いろいろな人が同時にアプローチできます。さらにもっと言えば、全員が注目する中、皆が学問的成果を表明することができます。惜しくもその中途で亡くなられた方が出てくれば、それを継ぐ人が出てくる、継ぐことが出来るという良さが非常にあります。

 ですから、明治5年以降、特に戦後は、われわれはこの西洋的な教育を受けてきたわけですが、これは全て外側にある対象に向かっていく、大切なものは外側にあるということで行われてきたように思うのです。


●大切なものは自分の中にある-内側にある対象に向かう東洋的思考


 しかし、その一方で、東洋では、何と言っても、大切なものは全部自分の中にあり、神的、あるいは仏的な、非常に崇高なものさえ、自分の中にあると考えます。その中にある己を確認するということですね。ですから、東洋では要するに、内側にある対象に向かって思考を繰り返すということであります。

 これは、例えば座禅を想起していただくと、良くお分...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
世界神話の中の古事記・日本書紀(1)人間の位置づけ
世界神話と日本神話の違いの特徴は「人間の格づけ」にある
鎌田東二
北欧神話の基本を知る(1)世界でもっとも悲観的な神話
世界滅亡を予言!?人類史上もっとも悲観的な北欧神話とは
鎌田東二
西洋哲学史の10人~哲学入門(1)ソクラテス 最初の哲学者
ソクラテス:「フィロソフィア」の意味を問う最初の哲学者
貫成人
イスラム教におけるシーア派とスンニ派の違い
イスラム教スンニ派とシーア派の違いとは?
山内昌之
死と宗教~教養としての「死の講義」(1)「自分が死ぬ」ということ
世界の宗教は死をどう考えるか…科学では死はわからない
橋爪大三郎
「怒り」の仕組みと感情のコントロール(1)「キレる高齢者」の正体
「キレやすい」の正体とは?…ヒトの「怒り」の本質に迫る
川合伸幸

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2025(24)「理解する」とはどういうこと?
学力喪失と「人間の理解」の謎…今井むつみ先生に聞く
テンミニッツ・アカデミー編集部
クーデターの条件~台湾を事例に考える(6)クーデターは「ラストリゾート」か
中国でクーデターは起こるのか?その可能性と時期を問う
上杉勇司
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
今井むつみ
ショパンの音楽とポーランド(1)ショパンの生涯
ショパン…ピアノのことを知り尽くした作曲家の波乱の人生
江崎昌子
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(7)不動産暴落と企業倒産の内実
不動産暴落、大企業倒産危機…中国経済の苦境の実態とは?
垂秀夫
いま夏目漱石の前期三部作を読む(1)夏目漱石を読み直す意味
メンタルが苦しくなったら?…今、夏目漱石を読み直す意味
與那覇潤
数学と音楽の不思議な関係(1)だれもがみんな数学者で音楽家
世界は音楽と数学であふれている…歴史が物語る密接な関係
中島さち子
伊能忠敬に学ぶ「第二の人生」の生き方(1)少年時代
伊能忠敬に学ぶ、人生を高めて充実させる「工夫と覚悟」
童門冬二
続・日本人の「所得の謎」徹底分析(3)戦前から紐解く財政構造
日本も資産格差は案外大きい?…預金の偏在と世代格差
養田功一郎
経験学習を促すリーダーシップ(2)経験から学ぶ力
米長邦雄のアンラーニング、弟子の弟子になってV字成長
松尾睦