●日本産業再興プラン~六つの項目から経済支援~
安倍さんの成長戦略が何だったか、さらりと復習したいと思います。安倍さんの成長戦略は、昨年6月14日に閣議決定されまして、それが基本となって動いていることになっていますが、そこでは三つのアクションプランというものが描かれています。
一つ目は「日本産業再興プラン」です。
項目が六つありまして、一つ目は「緊急構造改革プログラム」。
これは、産業の新陳代謝を促進する、すなわち古くなったものはやめて新しいものを活かすということです。このため夏に産業競争力法案を作ると言っていました。
それから「雇用制度を改革する人材力の強化」。これは、雇用維持から労働移動支援へ方向転換させていくということです。
そして「科学技術イノベーション」、「世界最高水準のIT社会の実現」、「立地競争力のさらなる強化」、「中小企業・小規模事業者の革新」です。
以上のように、「日本産業再興プラン」は、少し伝統的なやり方で経済支援をしていきましょうというものです。
●戦略市場創造プラン~四つの分野に着目した市場作り~
二つ目は「戦略市場創造プラン」です。日本には健康、エネルギー、次世代インフラといった分野に加え、世界で稼げる可能性のある地域もあるはずだから、これらをどんどん伸ばしましょうということです。
もう少し具体的に言うと、まず国民の健康寿命をもっと伸ばしましょうということです。実は日本人の場合、物理寿命は長いけれども、健康寿命は短いのです。それからクリーンで経済的なエネルギー需給の実現と、安全かつ便利で経済的な次世代インフラの構築を行いましょうということ。そして観光も含め、世界を惹き付ける素敵な農村といった地域社会で稼ぎましょうということです。つまり「戦略市場創造プラン」とは、「新しい市場をつくりますよ」ということです。
●国際展開戦略プラン~自由貿易地域拡張とインフラ輸出に向けて~
三つ目は「国際展開戦略プラン」です。一つは「戦略的な通商関係の構築と経済連携の推進」。分かりやすく言うと、「自由貿易地域を伸ばそう」ということです。
今、TPPが大変な関心を呼んでいますが、現在、世界のマーケットの中で日本が自由化しているのは19パーセントなのです。これをいまから5年後に70パーセントに増やすというわけですから、大変なアンビシャスです。ただ、この計画にはそういう数字が数多く出るのですが、どのように持っていくのかということは、まだはっきりしないのです。
次は「海外市場獲得のための戦略的取り組み」です。
これによってインフラ輸出の戦略を進めるのですが、ミャンマーなどが典型的です。そして、漫画などを海外に展開するクールジャパンコンテンツ、日本の食文化、酒などの輸出促進と続きます。
あとで古川(元久)元大臣が来られますけれども、古川さんがパリで日本酒を売ろうとして、とても頑張っておられます。それが今うけていまして、大変なブームになっているそうです。
●安倍政権の成長戦略を支える菅義偉の存在
私の見たところ、民主党政権の頃と7~8割同じことを書いているのです。これは、しょうがないと思います。実は仕切っている人が同じなのです。誰が仕切っているかというと経産省です。私は実名で言うことが好きですから言いますと、経産省出身の今井尚哉さんという政務秘書官がいます。今井(善衛)さんの甥っ子さんなのですが、毛並みがいいと言われている実力派なのです。この人が官邸を中心に頑張っています。それから柳瀬唯夫さんという人がいて、この人も経産省のエリートですけれども、総理大臣秘書官をやっています。つまり、この二人が民主党の時代からずっと仕切っているのです。だから同じことを書いているというわけです。
ただ、自民党になって変わった点があります。
民主党もいろんなことを書くには書いていたのですが、小沢一郎という人が邪魔ばかりをして、野田さんが全然動けなかったのです。
ただ、野田さんは歴史に残る名宰相だと思います。なぜかと言うと、神藏さんがアドバイザーとして、そばについていたからです。神藏さん、よくやりました。ご苦労さまでした。けれども、野田さん、かわいそうでしたね。
しかし自民党は違います。何が違うかというと、安倍さんです。
安倍さんが『フィナンシャル・タイムズ』の表紙に出てきたことがあり、冒頭にこう書いてありました。
“Is it a plane? Is it a bird? No…It‘s ABE!!”
その号は5月ぐらいに出たのですが、安倍さんがスーパーマンの服を着て飛んでいるのです。それくらい安倍さんは飛び回っているのです。この前はアフリカに行かれましたし、世界最多記録を作りそうなくらい飛び回っています。
では、なぜ安倍さんがそんなに飛...