リーダーのための感性哲学「煩悩を生きる」
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美しさや気高さは過ちを犯した人でなければ出てこない
リーダーのための感性哲学「煩悩を生きる」
行徳哲男(日本BE研究所 所長)
われわれは「なぜ?」を問い過ぎる、と日本BE研究所所長・行徳哲男氏は言う。「なぜは要らない。ただ目の前の煩悩を食らうべし」と喝破する行徳氏の真意は「感性=紛れもない私」を取り戻すことにある。氏の目を通した弥勒菩薩、親鸞、田中角栄、キルケゴール、そしてナポレオンと内蔵助のリーダー比較論は、感性の弱り切った現代人へのカンフル剤である。
時間:12分29秒
収録日:2014年12月26日
追加日:2015年7月30日
≪全文≫

●若者よ、弥勒菩薩の美しさに触れてこい


―― 先生はよく「京都に行ったら、広隆寺で弥勒菩薩を見てこい。あの美しさは、罪を犯したものでないと分からん」と言われていますね。

行徳 広隆寺の仏像は、本当にきれいです。いいですよ。何とも言えないですね。

―― 先生に言われてから、弥勒菩薩を見に広隆寺へ行くようになりましたが、やはりすごいですね。

行徳 そうですか。大仏とは全く違う、等身大の魅力があります。私は弥勒菩薩には本当に救われます。ですから今、若者たちにも何かあったら「弥勒菩薩の所へ行ってこい」と言っています。

―― 弥勒菩薩を発見して、そのことを最初に言ったのは外国人でしたね。ブルーノ・タウトでしたか?

行徳 それは、ドイツのカール・ヤスパースです。

―― カール・ヤスパースでしたか。やはり一流の人が見ると分かるということですね。

行徳 しかも、この像は作者不明ですから、誰が彫ったか分からないのです。

―― なるほど。先生はこの像を初めて見た時、ヤスパースのように思われたのですね。

行徳 そうですね。ヤスパースは、このようなことを言っています。「自分は30年間、世界中の美術品や彫刻を見て回ったけれど、この菩薩に勝る美しさと気高さを持った像はどこにもなかった。人間が達しうる最高の気高さと最高の美しさを持った像が、この弥勒菩薩だ」と。


●親鸞と田中角栄に通じる「悪の研究」


行徳 しかし、「この美しさや気高さは、過ちや罪を犯した人間でなければ出てこない」とも言っています。悪の研究をしないと、善は決して分からないですからね。

―― やはり対象物のところにまで行かないと、見えないものがあるのでしょうね。人間としての体験量が少ないと分からない。

行徳 見えないのです。親鸞の言葉にも「悪人なおもて往生す」とあります。善人が救われるのであれば、悪人こそ救われていいということです。

―― 「悪人正機説」ですね。やはり悪の研究をして、そこが見えない間は、いいことや役に立つことはできないのですね。

行徳 悪の研究は大事です。その点では、やはり田中角栄さんあたりが、いい意味でも悪い意味でも、日本の真の宰相といえる最後の人物だったでしょうね。田中さんを見ていると、紛れもなく「私を生きた」人だと分かります。良かろうが良くなかろうが、です。

―― 良かろうが良くなか...

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