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DATE/ 2018.06.04

なぜ日本は無電柱化が遅れているのか?

 「無電柱化」が大きな脚光を集めています。その旗振り役は小池百合子都知事。電柱といえば、日本中のいたるところにあって、もはや日常の風景に溶け込んでいて、日本人にとってはお馴染みの存在ですが、それをなくしてしまおうというのが無電柱化です。

 なぜ、無電柱化は必要なのか。そもそも無電柱化なんてことが現実的に日本で可能なのでしょうか。

ロンドンやパリでは100パーセント無電柱化

 無電柱といえば、ディズニーランドを思い浮かべる人も少なくないはず。それを日常の都市でもやってしまうというのだからすごい計画です。でも、このプロジェクト、じつはそんなに大それた話ではありません。

 他国をみてみると、ロンドンやパリではすでに100パーセント無電柱化が行われていて、また、アジア圏でもシンガポールや台北で90パーセントほど進行しています。

なぜ、無電柱化は必要なのか

 ところで、どうして無電柱化は必要なのでしょう。東京都建設局は「安全で快適な歩行空間の確保」「良好な都市景観の創出」「都市防災機能の強化」を挙げています。

 「安全で快適な歩行空間の確保」は、普段生活していて実感できますよね。歩行の邪魔になったり、電柱を避けようとして事故につながるケースが想定されています。「良好な都市景観の創出」もさきほど例に挙げたディズニーランドやロンドンやパリの風景を思い浮かべれば納得です。

災害と無電柱化

 「都市防災機能の強化」は、たとえば、災害時に電柱が倒れて道路が塞がってしまうことや電柱の倒壊によって電気や電話などのライフラインの供給が不安定化するといったリスクを低減することを指しています。

 ただし、液状化によって断線した場合の問題も大きいです。地中に埋めた電線はどこが断線しているのかがわかりにくく、復旧が遅れる可能性があるからです。

全国的に無電柱化がすすむ可能性も

 東京都は、「東京都無電柱化推進計画」に基づいて、東京2020オリンピック・パラリンピックの開催までに、センター・コア・エリア内の都市計画幅員で完成した都道の無電柱化を完了させることを示しています。また、震災対策のために、重要な位置づけにある緊急輸送道路や利用者の多い主要駅などで重点的に整備を進めています。

 国土交通省も「無電柱化推進計画」を策定し、2018年度から3年間で約1400kmの無電柱化の着手を目標とすることを示しています。これによって、今後、無電柱化の動きが、都内だけではなく、全国的に進行する可能性が生まれました。

無電柱化の課題

 とはいえ、言うは易く行うは難し。無電柱化はそうは簡単に進められるものではありません。まず、第一にコストの問題です。電柱を使用する場合と比べて10倍以上も費用がかかるようです。工事費が電気料金に転嫁されて、契約者の負担が増える可能性もあります。

 それから事業者と道路管理者同士や地域における合意の形成に手間取ることが少なくないようです。たとえば、市民目線から言えば、工事がなんらかの理由で長期化したり、電気の供給に支障が起こると困ってしまいます。そうした市民の不安が広がると、地域における合意はなかなか難しいでしょう。

 こうしたデメリットを目にすると、そうやすやすとは賛成できないかもしれません。いずれにしてもたんに流れに任せるよりも、メリットとデメリットを比べてきちんと自分の意見を持つことが大切でしょう。

<参考サイト>
・リスク対策.com:国交省、2020年度までの初無電柱化計画
http://www.risktaisaku.com/articles/-/4932
・東京都建設局:東京の無電柱化
http://www.kensetsu.metro.tokyo.jp/jigyo/road/kanri/gaiyo/chichuka/mudentyuuka-top.html
(10MTV編集部)

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