テンミニッツTV|有識者による1話10分のオンライン講義
ログイン 会員登録 テンミニッツTVとは
社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2018.10.09

配当がない「金」に投資するメリットとは?

 みなさんは「金」に投資したことはありますか。一般的に「投資」と言うと、金利や利回り、配当といった将来の利益のために金銭を投入するイメージがあります。しかしながら、「金」には金利も配当もありません。

 では、世の人々はいったい何のために「金」を買っているのか。「金」の投資商品としての魅力はどこにあるのでしょうか。

金投資のメリット・デメリット

 結論から言えば、「金」の魅力は価値が安定していることにあります。そのため、資産を守りたいという人にとっては最高の投資商品です。昨今のように、世界的に市場が不安定な中では株式や国の通貨でさえもいつ価値が急落するかわかりません。こうした状況下において「金」は大きな力を発揮するわけです。

 ただし、当然ながら、短期的に利益を得たいという人にとっては良い投資先ではありません。「金」は損失をもたらしにくい反面、利益を生むことも少ないからです。

ニセモノには要注意!

 金投資に関するいくつかの素朴な疑問についても考えていきたいと思います。どこで買えるのか、また、買った「金」をどうやって保管するのかという話です。金投資には、いわゆる金の延べ棒や金貨、純金積立などの現物投資以外にも金関連のファンドや先物取引がありますが、ここでは現物投資について述べていきます。

 どこで買うのかの選択肢は大きく二つあります。田中貴金属や三菱マテリアルなどの私企業の地金商や金属メーカーから買うか、パブリックな東京商品取引所です。他にもコインショップなど、いくらでも買えるお店はありますが、ニセモノをつかまされることもありうるので注意が必要です。

なぜ東京商品取引所は安いのか

 各メーカーから買うよりも東京商品取引所で買うほうが安く購入することができます。いくつか理由があるのですが、主な理由としては東京商品取引所から買う場合は小売を通さなくて済むため、その分の手数料がいらないからです。

 また、三菱で買えば三菱のブランドが「金」に刻印されるのですが、東京商品取引所のものには刻印がされていないため、その分のコストも省かれることになります。

「金」はどうやって保管するのか

 さて、「金」を買ったはいいものの、どうやって保管するのか。当然、安全な保管場所が必要です。一番安上がりな方法は金庫を購入するなどして自分で保管することかもしれません。が、やはりオススメはプロに任せることでしょう。

 たとえば銀行の貸金庫を利用することができます。購入先で保管してくれることもあります。もちろん預ければ、そのぶんコストはかかります。

金の延べ棒は初期投資が高い

 ちなみに、「金」で積立をする「純金積立」なら自分で「金」を管理することなく金投資を行うことができます。純金積立は少額から投資できる点も魅力的です。現物で受け取ることになりますが、「金貨」も少額から投資できます。

 その点、実は金の延べ棒はけっこうお金がかかります。金の塊になるので、初期費用として数十万円はかかるでしょう。

「金」の安全神話崩れる?

 「金」は安全資産であることに価値があることを冒頭に述べましたが、ここ最近、「金」の安全神話を疑問視する声も聞かれます。たとえば、ブルームバーグは2018年8月21日に、「ついに望み捨てた」―すっかり輝き失った金に投資家あきれ顔という記事を、東洋経済ONLINEも、金の「安全資産」としての価値は消えたのか?という記事を掲載し、金価格の悲観的な状況について論じています。

 ただし、ここであらためて思い出したいのが「金」の価値のあり方についてです。「金」の価値は長期的な安定度にあります。短期的な利益のための投資先としては不適格です。東洋経済ONLINEの記事でも、いずれ大きく値を戻す可能性が高いだろうと結論づけています。

 長期的に見て資産を守るための投資が金投資。金投資で最も大事なポイントは投資の目的を間違わないことです。

<参考サイト>
・東京商品取引所
https://www.tocom.or.jp/jp/goldspot/about.html
・東洋経済
https://toyokeizai.net/articles/-/231545
・ブルームバーグ
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-08-20/PDRTZY6TTDS201
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
「学ぶことが楽しい」方には 『テンミニッツTV』 がオススメです。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,100本以上。 『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

繁華街・新宿のルーツ、江戸時代の遊女が働く飯盛旅籠とは

繁華街・新宿のルーツ、江戸時代の遊女が働く飯盛旅籠とは

『江戸名所図会』で歩く東京~内藤新宿(2)「夜の街」新宿の原点

歌舞伎町を筆頭に、東京でも有数の繁華街を持つ新宿だが、その礎は江戸時代の内藤新宿にあった。遊女が働く飯盛旅籠(めしもりはたご)によって、安価に遊興できる庶民の「夜の街」として栄えた内藤新宿の様子を、『江戸名所図...
収録日:2024/02/19
追加日:2024/04/28
堀口茉純
歴史作家
2

なぜ民主主義が「最善」か…法の支配とキリスト教的背景

なぜ民主主義が「最善」か…法の支配とキリスト教的背景

民主主義の本質(1)近代民主主義とキリスト教

ロシアや中華人民共和国など、自由と民主主義を否定する権威主義国の脅威の増大。一方、日本、アメリカ、西欧など自由主義諸国における政治の劣化とポピュリズム……。いま、自由と民主主義は大きな試練の時を迎えている。このよ...
収録日:2024/02/05
追加日:2024/03/26
橋爪大三郎
社会学者
3

日本は再エネが難しい!?再エネ比率が高い国との相違点

日本は再エネが難しい!?再エネ比率が高い国との相違点

日本のエネルギー&デジタル戦略の未来像(3)電力の部分最適と全体最適

サステナブルな電力の供給と消費が求められる現代社会。太陽光発電のように電力の生産拠点が多元化する中で、それぞれの電力需給と国全体の電力需給のバランス調整が喫緊の課題となっている。実はヨーロッパなどの「再エネ比率...
収録日:2024/02/07
追加日:2024/04/27
岡本浩
東京電力パワーグリッド株式会社取締役副社長執行役員最高技術責任者
4

陰の主役はイラン!?イスラエル・ハマス紛争の宗教的背景

陰の主役はイラン!?イスラエル・ハマス紛争の宗教的背景

グローバル・サウスは世界をどう変えるか(4)サウジアラビアとイランの存在感

中東のグローバル・サウスといえば、サウジアラビアとイランである。両国ともに世界的な産油国であり、世界の政治・経済に大きな存在感を示している。ただし、石油を武器にアメリカとの関係を深めてきたのがサウジアラビアであ...
収録日:2024/02/14
追加日:2024/04/24
島田晴雄
慶應義塾大学名誉教授
5

重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ

重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ

「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス

「重要思考」で考え、伝え、聴き、そして会話・議論する――三谷宏治氏が著書『一瞬で大切なことを伝える技術』の中で提唱した「重要思考」は、大事な論理思考の一つである。近年、「ロジカルシンキング」の重要性が叫ばれるよう...
収録日:2023/10/06
追加日:2024/01/24
三谷宏治
KIT(金沢工業大学)虎ノ門大学院 教授