テンミニッツTV|有識者による1話10分のオンライン講義
ログイン 会員登録 テンミニッツTVとは
社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2023.03.15

世界で「最も生活費が安い国」ランキング

 生活していく上で欠かせない食費や光熱費、交通費などの生活費。昨今の物価の高騰で生活費もあげざるを得ない状況は、日本のみならず世界的に続いています。では、世界を見たときに、もっとも生活費を抑えられる国はどこなのでしょうか?

 今回は世界の1万か所あまりの都市価格情報を集めている「Numbeo」が発表した『Cost of Living Index』の2023年版を参考に、生活にかかる消費財価格の相対的な指標を比較して、世界で最も生活費が安い国を紹介していきます。なお、Numbeoが発表する指数はすべてニューヨークが基準となっているため、ニューヨークを100として数値を表しています。

 また、具体的にわかるように、日本で700円相当のマクドナルドのハンバーガーセットの値段、日本で247円相当の卵12個の値段、日本で96,036円の市内中心部のワンルームの値段がそれぞれの国ではどう変わるのかも合わせて紹介します。

パキスタン(生活費指数:18.0)

 インダス文明が栄えた地としてモヘンジョダロやハラッパーなどの都市遺跡が有名なパキスタン。インドや中国、アフガニスタン、イランと国境と隣り合わせになったイスラム国家で、国土は日本の約2倍あります。

 貧富の差が激しいため、一概には言えませんが、平均の月収は18,930円と今回調査対象の国ではもっとも低い結果に。マクドナルドのハンバーガーセットは410円、卵12個は125円、市内中心部のワンルームは12,541円と日本よりかなり物価が安いことが分かります。2割以上の国民が貧困層だという厳しい現実が物価の安さに反映されていることがうかがえます。

エジプト(生活費指数:21.6)

 古代文明の時代から長い歴史を誇るエジプトはアフリカ大陸北東部に位置し、ナイル川や三代ピラミッドなど観光資源の豊富な国でもあります。国土はほぼ砂漠で、ナイル川沿いのわずか5%のみが利用されています。

 平均月収も18,996円とパキスタンに次いで低く、マクドナルドのハンバーガーセットは439円、卵12個は156円、市内中心部のワンルームは17,010円と、物価はかなり安いことが分かります。パキスタンよりも治安は安定しているため、物価の安い国として海外旅行先としても人気の国となっています。

インド(生活費指数:22.4)

 世界第2位の人口を誇り、経済発展が著しいインド。南アジアに位置しており、国土は日本の約8.8倍にも及びます。多種多様な宗教や、民族や文化が共存しているため、多様性の国という印象を持つ人も多いでしょう。

 平均月収は74,283円と、物価が安い国にしては高く感じられますが、マクドナルドのハンバーガーセットは533円、卵12個は123円、市内中心部のワンルームは24,271円とかなり安め。インドの物価が安いのはやはり貧富の差が大きく、貧困層が一定数いるためと考えられます。

コロンビア(生活費指数:23.1)

 世界有数のコーヒー生産国であり、サッカーの国という印象も強いコロンビア。西側と北側が海に面していて、南アメリカ大陸の北端に位置し、日本の約3倍の広さの国土を擁しています。

 平均月収は37,583円で、マクドナルドのハンバーガーセットは656円、卵12個は200円、市内中心部のワンルームは31,323円。上記3国に比べれば値段は上がっているものの日本と比べるとまだまだかなり安いことがうかがえます。

リビア(生活費指数:24.2)

 リビアはアフリカ北部エジプトの西側に位置し、地中海に面する国です。しかし国土の多くは砂漠に覆われていて、地中海沿岸辺りで人々が生活を営んでいます。アフリカ最大の油田を擁し、リビア経済には欠かせないものになっています。

 平均月収は38,767円で、マクドナルドのハンバーガーセットは476円、卵12個は186円、市内中心部のワンルームは23,334円と、コロンビアよりも月収は高いものの、物価は安いという結果になっています。

 今回紹介した5か国を見てみると、貧困の差が大きいことが物価を押し下げる要因になっている現実が浮き彫りになりました。その理由には情勢の不安もあれば、国が抱えるさまざまな課題もあるでしょう。物価が安いことを喜ぶだけでなく、その背景にある問題にも目を向けることで、その国への理解が深まるのではないかと感じました。

<参考サイト>
・Cost of Living
https://www.numbeo.com/cost-of-living/
・外務省: わかる!国際情勢 Vol.35 パキスタンという国~世界の平和と安定の要
https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/pr/wakaru/topics/vol35/index.html
・【2022年最新】パキスタンの平均年収は約6万円!物価や生活水準・女性の安全性も解説 - Career-World(キャリアワールド)
https://web-box.co.jp/carrer-world/pakistan-annual-income/
・外務省: わかる!国際情勢 Vol.30 地域大国としてのエジプト
https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/pr/wakaru/topics/vol30/index.html
・インドってどんな国?インドの最新基本情報 | RGF
https://www.rgf-hragent.asia/blog/india/134/
・コロンビア基礎データ|外務省
https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/colombia/data.html
・「リビアってどんな国?」2分で学ぶ国際社会 | 読むだけで世界地図が頭に入る本 | ダイヤモンド・オンライン
https://diamond.jp/articles/-/304338
・リビアの旅行情報 | アフリカ旅行の道祖神
https://www.dososhin.com/know/country/LBY/
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
「学ぶことが楽しい」方には 『テンミニッツTV』 がオススメです。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,100本以上。 『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

繁華街・新宿のルーツ、江戸時代の遊女が働く飯盛旅籠とは

繁華街・新宿のルーツ、江戸時代の遊女が働く飯盛旅籠とは

『江戸名所図会』で歩く東京~内藤新宿(2)「夜の街」新宿の原点

歌舞伎町を筆頭に、東京でも有数の繁華街を持つ新宿だが、その礎は江戸時代の内藤新宿にあった。遊女が働く飯盛旅籠(めしもりはたご)によって、安価に遊興できる庶民の「夜の街」として栄えた内藤新宿の様子を、『江戸名所図...
収録日:2024/02/19
追加日:2024/04/28
堀口茉純
歴史作家
2

なぜ民主主義が「最善」か…法の支配とキリスト教的背景

なぜ民主主義が「最善」か…法の支配とキリスト教的背景

民主主義の本質(1)近代民主主義とキリスト教

ロシアや中華人民共和国など、自由と民主主義を否定する権威主義国の脅威の増大。一方、日本、アメリカ、西欧など自由主義諸国における政治の劣化とポピュリズム……。いま、自由と民主主義は大きな試練の時を迎えている。このよ...
収録日:2024/02/05
追加日:2024/03/26
橋爪大三郎
社会学者
3

日本は再エネが難しい!?再エネ比率が高い国との相違点

日本は再エネが難しい!?再エネ比率が高い国との相違点

日本のエネルギー&デジタル戦略の未来像(3)電力の部分最適と全体最適

サステナブルな電力の供給と消費が求められる現代社会。太陽光発電のように電力の生産拠点が多元化する中で、それぞれの電力需給と国全体の電力需給のバランス調整が喫緊の課題となっている。実はヨーロッパなどの「再エネ比率...
収録日:2024/02/07
追加日:2024/04/27
岡本浩
東京電力パワーグリッド株式会社取締役副社長執行役員最高技術責任者
4

陰の主役はイラン!?イスラエル・ハマス紛争の宗教的背景

陰の主役はイラン!?イスラエル・ハマス紛争の宗教的背景

グローバル・サウスは世界をどう変えるか(4)サウジアラビアとイランの存在感

中東のグローバル・サウスといえば、サウジアラビアとイランである。両国ともに世界的な産油国であり、世界の政治・経済に大きな存在感を示している。ただし、石油を武器にアメリカとの関係を深めてきたのがサウジアラビアであ...
収録日:2024/02/14
追加日:2024/04/24
島田晴雄
慶應義塾大学名誉教授
5

重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ

重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ

「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス

「重要思考」で考え、伝え、聴き、そして会話・議論する――三谷宏治氏が著書『一瞬で大切なことを伝える技術』の中で提唱した「重要思考」は、大事な論理思考の一つである。近年、「ロジカルシンキング」の重要性が叫ばれるよう...
収録日:2023/10/06
追加日:2024/01/24
三谷宏治
KIT(金沢工業大学)虎ノ門大学院 教授