社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2017.06.06

老眼・斜位・緑内障…40代からの眼のリスク

 歯石から歯周病、虫歯まで歯科検診を定期的にしている人は多いと思います。しかし、眼の検査はどうでしょう?耳鼻咽喉におとらず、日々酷使している眼の検診はなかなか出来ていないのではないでしょうか。

40代からの眼のリスク

 40代から新聞や本の文字が見えにくくなるアレ、といえば老眼です。老眼は、近くのモノが見えにくくなるなどの症状で、眼に起こる老化現象の1つです。個人差はありますが、誰もが老眼にはなります。加齢だけの問題ではなく、近年のスマホの普及から、若年でも老眼と同じような症状がでていることが報告されています。

 40代からの眼の問題は、老眼に留まらず、疲れ目や肩こり、眉間のしわといった症状の原因になる「斜位」や、老眼になるまで気がつかない「遠視」、自覚症状のないまま視野の欠けていく「緑内障」があげられます。

「斜位」による不調

 眼を開けて正面を見るとき目玉は正面を向いていますが、その眼をまぶたからこすったり閉じたりすると、目玉の向きが正面からずれてしまうケースがあります。このずれの現象を「斜位」といいます。斜位傾向のある人は眼を正面にするために周りの筋肉を使います。これが年齢とともに負担になり、目の疲れ、肩こり、頭痛、眉間の皺といった症状に悩まされることになるのです。

「遠視」加齢からの影響

 遠くが見えやすいとされる遠視ですが、メカニズムとしては、網膜の後方でピントが合うという屈折異常となり、近いところでは調節力が不足し見えにくくなるというもの。「遠視」である人が加齢とともに老眼となると大きな問題をかかえることになります。老眼になると、水晶体によるピント調節が出来なくなるため、遠くも近くも見えにくくなるのです。

高まる「緑内障」のリスク

 日本緑内障学会が行った大規模調査において、40歳以上で20人に1人が緑内障であり、しかも患者の約9割が緑内障と気づいていない潜在患者であることが報告されています。緑内障は眼圧の上昇等によって視神経が障害される病気です。一度視野が欠けると二度と元には戻らないため、手遅れになる前に治療を行い、進行を抑えることが大切です。ほとんど自覚症状がないまま進行するので、特に40代になったら、定期的な検査をおすすめします。

 眼の不調は、見えにくさだけでなく、肩こりや偏頭痛などによっても知ることができます。40代からに限らず少しでも不調があるのなら定期的な眼科検診をオススメします。適正な眼鏡などのアドバイスから、深刻な緑内障のチェックまで、眼のリスクを大きく下げることができるでしょう。

<参考サイト>
NHK あさイチ 5月29日 40代の目、メンテ
http://www1.nhk.or.jp/asaichi/archive/170529/1.html
日本緑内障学会多治見緑内障疫学調査(通称:多治見スタディ)」報告
http://www.ryokunaisho.jp/general/ekigaku/tajimi.html
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
雑学から一段上の「大人の教養」はいかがですか?
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。 『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏のすごさ…波へのこだわり

『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏のすごさ…波へのこだわり

葛飾北斎と応為~その生涯と作品(2)『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏への道

役者絵からキャリアを始め、西洋の画法を取り入れながら読本の挿絵を大ヒットさせた葛飾北斎。その後、北斎が描いていった『北斎漫画』や浮世絵などの数々は、海外に衝撃を与えてファンを広げるほどのものになっていく。60代は...
収録日:2025/10/29
追加日:2025/12/06
堀口茉純
歴史作家 江戸風俗研究家
2

なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために

なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために

エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如

現代社会にとって空海の思想がいかに重要か。AIが仕事の仕組みを変え、超高齢社会が医療の仕組みを変え、高度化する情報・通信ネットワークが生活の仕組みを変えたが、それらによって急激な変化を遂げた現代社会に将来不安が増...
収録日:2025/03/03
追加日:2025/11/12
3

ジャパン・アズ・ナンバーワンで満足!?学ばない日本の弊害

ジャパン・アズ・ナンバーワンで満足!?学ばない日本の弊害

内側から見たアメリカと日本(7)ジャパン・アズ・ナンバーワンの弊害

高度成長のために頑張った日本は「ジャパン・アズ・ナンバーワン」の評価を得たが、その後の日本企業の凋落、競争力の低下を考えると、その弊害を感じずにはおられない。読書人口が減っている現状をみると、いつのまにか「世界...
収録日:2025/09/02
追加日:2025/12/01
4

日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは

日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは

歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本

「歴史を探索していく」とは、どういうことなのだろうか。また、「歴史を活かしていく」とはどういうことなのだろうか。歴史作家の中村彰彦氏に、歴史を探り、活かしていく方法論を、具体的に教えてもらう本講義。第一話は、歴...
収録日:2025/04/26
追加日:2025/11/14
5

なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る

なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る

学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち

たかが「1」、されど「1」――今、数の意味が理解できない子どもがたくさんいるという。そもそも私たちは、「1」という概念を、いつ、どのように理解していったのか。あらためて考え出すと不思議な、言葉という抽象概念の習得プロ...
収録日:2025/05/12
追加日:2025/10/06
今井むつみ
一般社団法人今井むつみ教育研究所代表理事 慶應義塾大学名誉教授