社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
日本では少ない「デモ運動」その効果とは?
日本ではデモに対してあまりポジティブな印象がありません。おそらく、「デモなんてやっても無駄」という意見を持つ人が多いからでしょう。
実際のところ、デモ運動はどれほどの効果があるのか、いくつかの角度から検証してみたいと思います。
ところで、そのことを私たちはなぜ知っているのでしょうか。答えはとっても簡単で、マスメディアによって報道されるからです。
実は、日本でもほとんど毎日のように、「原発」「辺野古」「憲法」「戦争」に反対するデモは起きています。サイト「マガジン9」の「デモ情報」を見るとそのことがよくわかります。その規模によってはまったく報道されないわけではありませんが、日本では日本国内のデモについて、あまり報道されることはありません。
つまり、デモの目的は、社会問題にスポットライトを当てること、政府や多くの人に知ってもらうことが目的だということです。デモによって、まず知ってもらうことで、社会変化の可能性を模索していこうという構えなのです。
「かつてデモは権力に抵抗するもの」でした。だからこそ「デモは民主主義の源泉とされた」のです。しかし、最近はデモとデモが衝突するというかつてない「新しいデモ」が台頭していると述べています。
米国バージニア州シャーロッツビルで白人至上主義者とそれに対するカウンターのデモ衝突では、青年がカウンター側に車で突入し、女性が亡くなるという事態となりました。東さんは、2016年のイギリスの国民投票や米大統領選、今年(2017年)5月の仏大統領選でも似たような現象が確認されたと述べています。
もし、このような暴力事件が増加していくと、民主主義の解体に陥ると危機感を表明しています。東さんは「ヘイトスピーチやデモの厳格な定義と法的規制こそが、唯一の解決の道である」と解決策を明言しており、これも特筆すべき点でしょう。
ここまでの話から学べることは、「デモは知らせるためにあること」。それから、「デモは権力に抵抗するために生まれた」ということです。
デモの衝突はたしかに民主主義の危機ですが、自分の意見を表明せずに権力にただ従うことも民主主義とは相入れません。いま、デモについて、あらためて考え直す時代を迎えています。これを機会に、偏見やステレオタイプから離れて、デモが民主主義の源泉であることを念頭に、デモについて自分なりに考え直してみてはいかがでしょうか。
実際のところ、デモ運動はどれほどの効果があるのか、いくつかの角度から検証してみたいと思います。
報道されない無数のデモ
お隣の韓国では朴槿恵前大統領に対するデモ、スペインではカタルーニャの独立デモ、アメリカのトランプ大統領に対するデモなど、世界中で大規模なデモが起きていることを私たちは知っています。ところで、そのことを私たちはなぜ知っているのでしょうか。答えはとっても簡単で、マスメディアによって報道されるからです。
実は、日本でもほとんど毎日のように、「原発」「辺野古」「憲法」「戦争」に反対するデモは起きています。サイト「マガジン9」の「デモ情報」を見るとそのことがよくわかります。その規模によってはまったく報道されないわけではありませんが、日本では日本国内のデモについて、あまり報道されることはありません。
デモの目的は知らせること
「マガジン9」の「佐藤潤一のカエルの公式」では「デモで何が変わるのか?」について説明しています。結論をいえば、デモによって急速に大きく変化させることはできません。デモは事態をすぐさま変化させるためにあるというよりも、「変化のための変化」を起こすためにあるとしています。つまり、デモの目的は、社会問題にスポットライトを当てること、政府や多くの人に知ってもらうことが目的だということです。デモによって、まず知ってもらうことで、社会変化の可能性を模索していこうという構えなのです。
新しいデモが生まれている
ウェブサイト「AERA dot.」の連載「eyes 東浩紀」では、批評家の東浩紀さんが新しいデモが台頭していることを指摘しています。「かつてデモは権力に抵抗するもの」でした。だからこそ「デモは民主主義の源泉とされた」のです。しかし、最近はデモとデモが衝突するというかつてない「新しいデモ」が台頭していると述べています。
米国バージニア州シャーロッツビルで白人至上主義者とそれに対するカウンターのデモ衝突では、青年がカウンター側に車で突入し、女性が亡くなるという事態となりました。東さんは、2016年のイギリスの国民投票や米大統領選、今年(2017年)5月の仏大統領選でも似たような現象が確認されたと述べています。
もし、このような暴力事件が増加していくと、民主主義の解体に陥ると危機感を表明しています。東さんは「ヘイトスピーチやデモの厳格な定義と法的規制こそが、唯一の解決の道である」と解決策を明言しており、これも特筆すべき点でしょう。
ここまでの話から学べることは、「デモは知らせるためにあること」。それから、「デモは権力に抵抗するために生まれた」ということです。
デモの衝突はたしかに民主主義の危機ですが、自分の意見を表明せずに権力にただ従うことも民主主義とは相入れません。いま、デモについて、あらためて考え直す時代を迎えています。これを機会に、偏見やステレオタイプから離れて、デモが民主主義の源泉であることを念頭に、デモについて自分なりに考え直してみてはいかがでしょうか。
<参考サイト>
・マガジン9 デモ情報
http://maga9.jp/demoinfo/
・マガジン9 カエルの公式
http://www.magazine9.jp/kaeru/120912/
・AERA 東浩紀「デモの敵は民衆 米国で進む民主主義の深刻な危機」
https://dot.asahi.com/aera/2017082900056.html
・マガジン9 デモ情報
http://maga9.jp/demoinfo/
・マガジン9 カエルの公式
http://www.magazine9.jp/kaeru/120912/
・AERA 東浩紀「デモの敵は民衆 米国で進む民主主義の深刻な危機」
https://dot.asahi.com/aera/2017082900056.html
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
物知りもいいけど知的な教養人も“あり”だと思います。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,500本以上。
『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
日本と各国の比較…税負担は低いが社会保障の負担は高い
続・日本人の「所得の謎」徹底分析(1)各国の財政と国民負担
国民の税負担を増やすか、政府の財政支出を増やすか。前回の講義《日本人の「所得の謎」徹底分析》に続き、見解の分かれる日本の財政に関する議論を今一度整理し、見通しを与える当講義。まずは日本の財政と国民の負担の現在地...
収録日:2025/07/10
追加日:2025/09/17
米長邦雄のアンラーニング、弟子の弟子になってV字成長
経験学習を促すリーダーシップ(2)経験から学ぶ力
人が成長していくために重要な経験学習。その学習サイクルを適切に回していくためには、「経験から学ぶ力」が必要になる。ではそこにはどのような要素があるのか。ストレッチ、リフレクション、エンジョイメントという3要素と、...
収録日:2025/06/27
追加日:2025/09/17
地球上の火山活動の8割を占める「中央海嶺」とは何か
海底の仕組みと地球のメカニズム(1)海底の生まれるところ
海底はどうやってできるのか。なぜ火山ができるのか。プレートが動くのは地球だけなのか。またそれはどうしてか。ではプレートは海底の動きの全てを説明できるのか。地球史規模の海底の動きについて、海底調査の実態から最新の...
収録日:2020/10/22
追加日:2021/05/02
世界で最もクリエイティブな国は? STEAM教育が広がる理由
数学と音楽の不思議な関係(4)STEAM教育でつくる喜びを全ての人に
世界では「創造性がどれくらい大事か」という問題意識が今、急激に高まっている。創造性とは全ての人にあり、偏差値などでは絶対に計れない、まさに無限軸の創造性のこと。そうした創造性を育む学びが「STEAM教育」である。最終...
収録日:2025/04/16
追加日:2025/09/18
外交とは何か…いかに軍事・内政と連動し国益を最大化するか
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(1)著書『外交とは何か』に込めた思い
外交とは国益を最大化しなければいけないのだが……。35年にもわたる外交官経験を持つ小原氏が8年がかりで書き上げた著書『外交とは何か 不戦不敗の要諦』(中公新書)。小原氏曰く、外交とは「つかみどころのないほど裾野が広い...
収録日:2025/04/15
追加日:2025/09/05