社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
「雑談力」を上げても会話が苦手なのはなぜ?
近年、「雑談力」に対する関心が高まっています。その証拠に、「雑談力」とタイトリングされた書籍、雑誌やネットの記事が驚くほどに量産されています。
一方で、「雑談力」に対する懐疑の声も上がっています。たとえば、「マツコ&有吉 かりそめ天国」(テレビ朝日系)で、有吉弘行とマツコ・デラックスが、「雑談力」をもてはやす風潮に異論を唱えた」とlivedoor NEWSが伝えています。
実際のところ、「雑談力」を上げることはできるのか、いくつかの見解を参照しながら、検証していきたいと思います。
本書についてざっくり説明すると、筆者は「雑談力」よりまず「脳のメカニズム」を活用する方法を学んだ方がいいと助言しています。
「脳のメカニズム」を活用する方法のポイントは大きく2つあって、1つは自分の脳を「話せるモード」に活性化していくこと、もう1つは脳のしくみを応用して話し相手に「話を振ってもらえる」シチュエーションをつくることです。
後者に関しては、たとえば人は誰でも視線を左から右に動かす癖があります。この脳のメカニズムを利用して、よく話す人の左前に座るようにすると「話を振ってもらえる」可能性が高まるということです。
このような脳のメカニズムを押さえた上で、初めて雑談の知識は活きてくるのです。逆に考えると、こうしたメカニズムに沿っていないとなかなか雑談できるようにはならないのかもしれません。
「こんな話題をと時事ネタを準備していくことはできる。しかし、相手の話の内容によっては、どんな方向に発展していくかわからない。予想外の方向に話が流れていっても、臨機応変、柔軟に対応できなければ、雑談力の高い人にはなれない」
「雑談力を支えるのは、側頭連合野に蓄積されたさまざまな知識や経験。1つの話題から、どれだけ多くの関連した話題を連想することができるか。その点にこそ、雑談力が表れる」
つまり、どれだけ雑学のネタを頭に溜め込んでも雑談力はいっこうに身につかないということです。興味深いのは雑談力とはすなわち「連想力」だと指摘している点です。
鍛錬する方法として、たとえば、コップの言い換えを例に挙げています。連想ゲームのようなもので、「容れ物」「グラス」「うつわ」などのように、コップのイメージから離れないようにどんどん言い換えていきます。こうした連想ゲームが連想力アップにつながるというわけです。これが意外と難しく、20~30個言えれば、悪くない成績とのことです。
以上の話をまとめると、「雑談力」アップは、やはりなかなか一筋縄にはいきません。まずは脳のメカニズムを知ること、そのうえで雑学をインプットし、 それを柔軟にアウトプットできるように、同時に連想力も鍛える必要があるというわけです。
例に挙げたコップの言い換えならいつでも誰でも簡単に試すことができます。手始めに、ぜひ挑戦してみてください。
一方で、「雑談力」に対する懐疑の声も上がっています。たとえば、「マツコ&有吉 かりそめ天国」(テレビ朝日系)で、有吉弘行とマツコ・デラックスが、「雑談力」をもてはやす風潮に異論を唱えた」とlivedoor NEWSが伝えています。
実際のところ、「雑談力」を上げることはできるのか、いくつかの見解を参照しながら、検証していきたいと思います。
「雑談力」より「脳のメカニズム」を学べ
『なぜ僕は、4人以上の場になると途端に会話が苦手になるのか』では、4人以上の複数コミュニケーションにおける話になりますが、いわゆる「「雑談力」を上げても雑談できない」と論じています。本書についてざっくり説明すると、筆者は「雑談力」よりまず「脳のメカニズム」を活用する方法を学んだ方がいいと助言しています。
「脳のメカニズム」を活用する方法のポイントは大きく2つあって、1つは自分の脳を「話せるモード」に活性化していくこと、もう1つは脳のしくみを応用して話し相手に「話を振ってもらえる」シチュエーションをつくることです。
後者に関しては、たとえば人は誰でも視線を左から右に動かす癖があります。この脳のメカニズムを利用して、よく話す人の左前に座るようにすると「話を振ってもらえる」可能性が高まるということです。
このような脳のメカニズムを押さえた上で、初めて雑談の知識は活きてくるのです。逆に考えると、こうしたメカニズムに沿っていないとなかなか雑談できるようにはならないのかもしれません。
雑談力とは「連想力」である
脳科学者の茂木健一郎さんは「プレジデントオンライン」で雑談について次のように語っています。「こんな話題をと時事ネタを準備していくことはできる。しかし、相手の話の内容によっては、どんな方向に発展していくかわからない。予想外の方向に話が流れていっても、臨機応変、柔軟に対応できなければ、雑談力の高い人にはなれない」
「雑談力を支えるのは、側頭連合野に蓄積されたさまざまな知識や経験。1つの話題から、どれだけ多くの関連した話題を連想することができるか。その点にこそ、雑談力が表れる」
つまり、どれだけ雑学のネタを頭に溜め込んでも雑談力はいっこうに身につかないということです。興味深いのは雑談力とはすなわち「連想力」だと指摘している点です。
連想力を鍛える「コップ」
『脳と日本人』で茂木さんと対談した編集工学研究所所長でありイシス編集学校校長の松岡正剛氏は、連想力は稽古を重ねることによって鍛えることができると述べています。鍛錬する方法として、たとえば、コップの言い換えを例に挙げています。連想ゲームのようなもので、「容れ物」「グラス」「うつわ」などのように、コップのイメージから離れないようにどんどん言い換えていきます。こうした連想ゲームが連想力アップにつながるというわけです。これが意外と難しく、20~30個言えれば、悪くない成績とのことです。
以上の話をまとめると、「雑談力」アップは、やはりなかなか一筋縄にはいきません。まずは脳のメカニズムを知ること、そのうえで雑学をインプットし、 それを柔軟にアウトプットできるように、同時に連想力も鍛える必要があるというわけです。
例に挙げたコップの言い換えならいつでも誰でも簡単に試すことができます。手始めに、ぜひ挑戦してみてください。
<参考サイト>
・『なぜ僕は、4人以上の場になると途端に会話が苦手になるのか』(岩本武範著、サンマーク出版)
・『知の編集術』(松岡正剛著、講談社)
・livedoor NEWS:マツコ・デラックスと有吉弘行が雑談力に異論「勉強することじゃない」
http://news.livedoor.com/article/detail/13423725/
・プレジデントオンライン:おしゃべりな人はなぜ運がいいのか
http://president.jp/articles/-/11784
・『なぜ僕は、4人以上の場になると途端に会話が苦手になるのか』(岩本武範著、サンマーク出版)
・『知の編集術』(松岡正剛著、講談社)
・livedoor NEWS:マツコ・デラックスと有吉弘行が雑談力に異論「勉強することじゃない」
http://news.livedoor.com/article/detail/13423725/
・プレジデントオンライン:おしゃべりな人はなぜ運がいいのか
http://president.jp/articles/-/11784
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
雑学から一段上の「大人の教養」はいかがですか?
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。
『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
青春期は脳のお試し期間!?社会的ニッチェと信頼の形成へ
今どきの若者たちのからだ、心、社会(2)思春期の成長、青春の脳
思春期にからだが急激に成長することを「思春期のスパート」と呼ぶ。先行して大きくなった脳にからだを追いつかせるための戦略である。脳はそれ以上大きくならないが、脳内の配線が変化する。そうした青春期の脳の実態を知るた...
収録日:2024/11/27
追加日:2025/07/12
アベノマスク、ワクチン調達の決算は?驚きの会計検査結果
会計検査から見えてくる日本政治の実態(1)コロナ禍の会計検査
日本の財政をくまなく検査し、その収入と支出を把握する会計検査院。日本のメディア報道などでは、予算の決定や補助金などの政策決定については詳しく報じられるが、それがどのように実際に使われたかは、ほとんど言及がない。...
収録日:2025/04/14
追加日:2025/07/11
正岡子規と高浜虚子の論争、その軍配と江藤淳暦年のテーマ
AI時代に甦る文芸評論~江藤淳と加藤典洋(3)正岡子規と高浜虚子の「リアリズム」
正岡子規の死後、高浜虚子が回想で述べた師・子規との論争。そこに「リアリズムとは何か」のヒントが隠されていると江藤淳氏は言う。子規と虚子、それぞれの「リアル」とは何か、そしてどちらが本当の「リアル」なのか。近代小...
収録日:2025/04/10
追加日:2025/07/09
AI時代の「真のリアル」は文芸評論の練達の手法にあり!
編集部ラジオ2025(14)なぜAI時代に文芸評論が甦るのか
どんどんと進む社会のAI化。この大激流のなかで、人間の仕事や暮らしの姿もどんどん変わっていっています。では、AI時代に「人間がやるべきこと」とはいったい、何なのでしょうか? さらにAIが、驚くほど便利に何でも教えてく...
収録日:2025/05/28
追加日:2025/07/10
マネへの強烈なライバル意識…セザンヌ作品にみる現代性
作風と評論からみた印象派の画期性と発展(1)セザンヌの個性と現代性
印象派の最長老として多くの画家に影響を与えたピサロ。その影響を多分に受けてきた画家の中でも最大の1人がセザンヌだが、その才覚は第1回の印象派展から発揮されていた。画面構成や現代性による解釈から、セザンヌ作品の特徴...
収録日:2023/12/28
追加日:2025/07/10