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化粧品の驚くべき「原価」とその仕組み
小売店、百貨店、ドラッグストアに100円ショップなど、たくさんの場所で化粧品が販売されていますが、化粧品の価格は100円前後の商品から数万円もする商品まであり、その価格帯はバラバラです。
しかし実は化粧品の原価は、どの化粧品でも安いといわれています。ではなぜ価格に驚くべき差が出るのでしょうか。その理由をさぐってみたいと思います。
その「水商売」の基本といわれる化粧水の主成分は字義通り「水」で、原料費は1~2円といわれています。また、化粧水とともにスキンケア化粧品の主力商品となる乳液も原料費は2~3円、化粧水と乳液よりは割高となるクリームでも5~20円といわれています。
なおメーキャップ化粧品の内容物の原料費はスキンケア化粧品より少し割高で、口紅が5~10円、ファンデーションで20~30円といわれていますが、それでも市場価格から考えてみると格安であるといえます。
次に、内容物を入れる容器や、容器を包む包材の原価をみてみましょう。実はこちらの方が高くつきます。例えば,おしゃれにしたり高級感を表現できる容器代は50~100円といわれ、光沢やビニールコーティングを施したり特殊インクや型押しなどを使ったりしてイメージ戦略でも利用価値の高い包材代は30~150円といわれています。
まずは「生産者原価」です。ここには上述したような原料費や容器包材などの直接原価だけでなく、化粧品の研究開発費や安全性のテストなどの費用、そして生産者の利益が含まれます。ちなにみにこの段階の原価率の目安を、梅本氏は定価の20%としています。
次は「ブランド管理者原価」です。この段階ではブランドのイメージを上げて維持するための広告宣伝・PR費用が主となりますが、さらに重要な在庫処分費用も計上されます。この在庫処分費用によって、ブランドの乱売を防ぎ、ブランドイメージ維持がなされることになります。そのうえでブランド管理者利益を含めます。ここでも梅本氏は定価の20%を目安としています。
その次は「卸売者原価」です。主となるのは物流費と小売管理費用、そして卸売者利益です。なお小売管理費用には、小売販売員への教育費用なども含まれます。こちらも梅本氏は定価の20%を目安としています。
最後は「小売者原価」です。ここにはチラシやDMなどの顧客誘致費用、店舗の家賃などの小売管理費、小売者利益が含まれますが、この最終段階で最も大きな経費が販売員人件費となります。そしてこの段階を梅本氏は最も割高く、定価の40%を目安としています。
以上のように「原価構成」を分類し、さらに細かくみていくと、いかに化粧品が幻想のような企業やブランドのイメージを維持することや、販売などの人件費に多くの費用をかけているかがわかります。
つまり、格安といわれる化粧品の原価はあくまで「生産者原価」のうちの「原料費」もしくは「容器包材」までのことであり、それ以降の消費者の手にわたるまでにかかる原価は割高い商品であり、価格の差は「売るためのコスト」の差といえるのです。
また「ものすごく原価の低い商品を高額で販売している会社」がざらにあることへの危惧や、全成分表示制度の導入によって、化粧品に「一部制限のあるものを除いて、どんな成分でも配合できるようになった」ことへの警鐘を鳴らしています。
なお、化粧品の全成分表示には、1)配合量の多い順番に記載する、2)配合量が1%以下のものは順不同の記載でよい、3)着色剤は配合量にかかわらず末尾にまとめて記載する、という3つの基本ルールがあります。
ただし化粧品の成分名は難しく、なかなか良し悪しや要不要がわかりにくいのは事実です。しかし消費者や使用者にとって大切なことは企業利益ではなく、化粧品を使うことによって肌の健康を守ったり、キレイになったりすることが大切なことはいうまでもありません。化粧品の成分を確認しつつ、本当に自分に必要な化粧品を一考してみてはいかがでしょうか。
しかし実は化粧品の原価は、どの化粧品でも安いといわれています。ではなぜ価格に驚くべき差が出るのでしょうか。その理由をさぐってみたいと思います。
化粧品はハイリターンの「水商売」?
カネボウやセシールで化粧品の企画や商品開発に関わった後、化粧品コンサルタント・中小企業診断士となった梅本博史氏は、著書『最新化粧品業界の動向とカラクリがよ~くわかる本 第4版』で、「化粧品は“水商売”といわれます」と述べています。その「水商売」の基本といわれる化粧水の主成分は字義通り「水」で、原料費は1~2円といわれています。また、化粧水とともにスキンケア化粧品の主力商品となる乳液も原料費は2~3円、化粧水と乳液よりは割高となるクリームでも5~20円といわれています。
なおメーキャップ化粧品の内容物の原料費はスキンケア化粧品より少し割高で、口紅が5~10円、ファンデーションで20~30円といわれていますが、それでも市場価格から考えてみると格安であるといえます。
次に、内容物を入れる容器や、容器を包む包材の原価をみてみましょう。実はこちらの方が高くつきます。例えば,おしゃれにしたり高級感を表現できる容器代は50~100円といわれ、光沢やビニールコーティングを施したり特殊インクや型押しなどを使ったりしてイメージ戦略でも利用価値の高い包材代は30~150円といわれています。
なぜ高価格?キーワードは「原価構成」
ではどうして、化粧品は高くなるのでしょうか。梅本氏は、化粧品ビジネスの「落としどころ」として、化粧品の「原価構成」を1)生産者原価、2)ブランド管理者原価、3)卸売者原価、4)小売者原価の4つに分類し、解説しています。まずは「生産者原価」です。ここには上述したような原料費や容器包材などの直接原価だけでなく、化粧品の研究開発費や安全性のテストなどの費用、そして生産者の利益が含まれます。ちなにみにこの段階の原価率の目安を、梅本氏は定価の20%としています。
次は「ブランド管理者原価」です。この段階ではブランドのイメージを上げて維持するための広告宣伝・PR費用が主となりますが、さらに重要な在庫処分費用も計上されます。この在庫処分費用によって、ブランドの乱売を防ぎ、ブランドイメージ維持がなされることになります。そのうえでブランド管理者利益を含めます。ここでも梅本氏は定価の20%を目安としています。
その次は「卸売者原価」です。主となるのは物流費と小売管理費用、そして卸売者利益です。なお小売管理費用には、小売販売員への教育費用なども含まれます。こちらも梅本氏は定価の20%を目安としています。
最後は「小売者原価」です。ここにはチラシやDMなどの顧客誘致費用、店舗の家賃などの小売管理費、小売者利益が含まれますが、この最終段階で最も大きな経費が販売員人件費となります。そしてこの段階を梅本氏は最も割高く、定価の40%を目安としています。
以上のように「原価構成」を分類し、さらに細かくみていくと、いかに化粧品が幻想のような企業やブランドのイメージを維持することや、販売などの人件費に多くの費用をかけているかがわかります。
つまり、格安といわれる化粧品の原価はあくまで「生産者原価」のうちの「原料費」もしくは「容器包材」までのことであり、それ以降の消費者の手にわたるまでにかかる原価は割高い商品であり、価格の差は「売るためのコスト」の差といえるのです。
原価や幻想よりも大切な「原材料の成分」
2001年の薬事法改正により化粧品製造の規制が緩和され、素人でも化粧品がつくりやすくなり、新規参入企業が増加し化粧品会社が増えたと、東京美容科学研究所所長で工学博士の小澤貴子氏は著書『ウソをつく化粧品』で述べています。また「ものすごく原価の低い商品を高額で販売している会社」がざらにあることへの危惧や、全成分表示制度の導入によって、化粧品に「一部制限のあるものを除いて、どんな成分でも配合できるようになった」ことへの警鐘を鳴らしています。
なお、化粧品の全成分表示には、1)配合量の多い順番に記載する、2)配合量が1%以下のものは順不同の記載でよい、3)着色剤は配合量にかかわらず末尾にまとめて記載する、という3つの基本ルールがあります。
ただし化粧品の成分名は難しく、なかなか良し悪しや要不要がわかりにくいのは事実です。しかし消費者や使用者にとって大切なことは企業利益ではなく、化粧品を使うことによって肌の健康を守ったり、キレイになったりすることが大切なことはいうまでもありません。化粧品の成分を確認しつつ、本当に自分に必要な化粧品を一考してみてはいかがでしょうか。
<参考文献>
・『最新化粧品業界の動向とカラクリがよ~くわかる本 第4版』(梅本博史著、秀和システム)
・『知らないとソンする!価格と儲けのカラクリ』(神樹兵輔・21世紀ビジョンの会著、高橋書店)
・『ウソをつく化粧品』(小澤貴子著、フォレスト出版)
・『化粧品成分表示のかんたん読み方手帳>』(久光一誠監修、永岡書店)
・『最新化粧品業界の動向とカラクリがよ~くわかる本 第4版』(梅本博史著、秀和システム)
・『知らないとソンする!価格と儲けのカラクリ』(神樹兵輔・21世紀ビジョンの会著、高橋書店)
・『ウソをつく化粧品』(小澤貴子著、フォレスト出版)
・『化粧品成分表示のかんたん読み方手帳>』(久光一誠監修、永岡書店)
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