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DATE/ 2019.03.19

退職理由は高確率でウソ?正直に語らない理由

 給与や評価に納得いかない。人間関係がうまくいかない。会社人生はさまざま、退職を決断する理由もいろいろあると思います。

 どんな会社生活だったとしても、辞めるときくらいは終わり良ければすべて良し、としたいもの。けれども、円満退社もそうラクにはいかないようです。「誠意」や「正直」がアダになることもあるのです。

本当の退職理由を言わない確率

 もしも退職することになったとき、あなたならその理由を正直に打ち明けますか。情報サイト「INOUZTimes」の編集部は、100人の会社員を対象にインターネットを使って「退職理由、ホントのことを社長に話しましたか」という質問を投げかけました。その結果、57パーセントもの人が「本当のことを話しません」と答えました。

 つまり、退職者の過半数の人が「退職理由に嘘をまじえている」のです。男性にかぎって言えば、「本当の理由は30%言っていない」とのこと。

ウソの退職理由を言う理由とは

 なぜ本当のことを言わないか。「角が立つ」「言いにくい」「パワハラをされたが本当のことを言うと面倒」などが理由として挙がっています。「言わない」のではなく「言えない」と表現したほうが適切かもしれません。ずっと我慢してきて、ついにそこから解放されるというのに、辞めるときまで耐えなくてはいけないと思うとつらいものがあります。

 他方でその正反対に恨みつらみのすべてをぶちまける方もいるようです。これはその場ではスッキリするのかもしれません。でも、これはこれで気力も体力も必要です。会社が嫌いなわけではなくて、もっと会社に良くなってもらいたいという思いから正直に伝える人も、もちろんいることでしょう。

トラブルに発展するケースも

 総合転職エージェントの株式会社ワークポートの調査でも70.5%の人が退職の意思を会社に伝えるとき「言いにくい」と感じたと答えています。これは全国の転職希望者535人を対象にアンケートを行った調査結果です。

 さらに驚くべき結果がでています。「退職時に会社からの引き留めにあった人」が62.4%おり、そのうち、なんと17.7%が「トラブルにまで発展」しているということです。具体的には「家までこられて引き止められた」、「やめさせないの一点張りだった」、「退職日を勝手に引き伸ばされた」などです。

 こんなことになるなら、円満退職にするためにウソをつきたくなる気持ちもたしかに理解できます。誠意をもって正直に向き合おうしても、それが裏目に出てしまうことが多いなんてかなしいことですが、これが現実です。退職の際は、あまり理想形を求めすぎず、ある程度の戦略をもって臨むほうがいいのかもしれません。

<参考サイト>
・「退職理由は嘘が多い」のが当たり前?│INOUZTimes
https://inouz.jp/times/question_retirement/
・<転職希望者のホンネ調査>│ワークポート
https://www.workport.co.jp/corporate/contents/news/detail/664.html
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西野精治
スタンフォード大学医学部精神科教授