社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
30~40代でお金に困りがちな人の習慣とは?
30代・40代の約2割が貯金ゼロ
30代・40代の23.1%が貯蓄できておらず、60.5%が貯蓄額100万円以下というリアルな実態が発表されました。これはSMBCコンシューマーファイナンスが全国の30歳から49歳の男女1000人に実施し、今年3月に発表された、「30代・40代の金銭感覚についての意識調査2019」の結果です。さらに同調査によると、30代・40代の平均貯蓄額は195万円。この数値は数億円レベルの貯蓄があるようなレアケースを含まないよう、上位と下位それぞれ10%の回答を除外して算出する10%調整平均によって出されています。よく見かけるお金のアンケートでは、約500万円とか約600万円とかいわれることもある30代・40代の平均貯蓄額ですが、このような数字が出るのはレアケースも含めて平均値を出しているから。195万円という数字のほうが、より現実的といえるでしょう。
ところが、仕事をリタイアするまでにあれば安心できる貯蓄額は平均5214万円となっており、平均貯蓄額から大きくかけ離れています。なかなか賃金が上がらない近年、貯蓄を増やすには節約が大切ですが、そもそも30代・40代はどのようなお金の使い方をしているのでしょうか。同調査の結果からさらに探ってみます。
お金が貯まらない人の習慣が見え隠れ
消費行動の基本的な意識は、「無理をせず、買える範囲で良いものを選びたい」に同意する人が30代で87.8%、40代で89.0%でした。「多少無理しても、良いものにお金をかけたい」に同意する人が30代で48.0%、40代で45.4%であるのに対し、どちらの年代も40%近く高い数値が出ており、堅実な消費を理想としていることがわかります。この一方、有職者772人に調査したところ、仕事が終わったあとに寄り道をするいわゆる「フラリーマン」は49.7%と半数近くにのぼりました。さらにこのうちの男性242人に尋ねた結果によると、寄り道したときの平均出費額は月に1万1460円。寄り道先は1位がコンビニ、2位が本屋、3位が居酒屋・バーという結果になりました。
仮に月20日間勤務して毎日寄り道先で買い物をしたとすれば、1回の出費は573円となります。この金額自体はさほど高くないので、「無理をせず、買える範囲で良いものを選びたい」という消費意識にかなっているでしょう。しかし月に1万1460円の出費を1年間続ければ、寄り道の出費だけで13万7520円にもなります。実はこのような「意識せずに毎日使ってしまっているお金」は「ラテマネー」と呼ばれ、お金が貯まらない習慣の代表格とされています。
収入より支出を意識する習慣を
ラテマネーはアメリカの資産アドバイザーであるデイヴィッド・バック氏が、著書「The Automatic Millionaire(邦題・自動的に大金持ちになる方法)」で提唱した概念です。「ラテ」はおなじみカフェラテから取ったもの。平日に毎日400円のラテを買っていると、1年間で10万円近い出費になるという考え方です。支払うときは大したことないと思っているラテ代も、意識して節約すればまとまった貯蓄につながり、これが大金持ちへの道になるとバック氏は説いています。400円という金額は、フラリーマンが寄り道で使ってしまう金額に近いですよね。「大したことない金額」を「なんとなく」払っている人は実際にたくさんいることがわかります。もちろんラテマネーの「ラテ」は必ずしもカフェラテではなく、人によってさまざま。ラテマネーになりやすいものにはタバコ代、お酒代、ATM手数料、セールで衝動買いした服やバッグなどがあります。また、携帯代を見直して使用量に合ったプランに変更する、ペットボトル飲料は自販機よりもスーパーの安売りで買うなどのように行動を改めることはラテマネー削減につながります。
貯蓄を増やすには、収入を増やすしかないと思う方も多いでしょう。しかし高収入ではなくても貯蓄できている人はいますし、逆に高収入でもまったく貯蓄がない人もいます。貯蓄できるかは収入よりも支出の問題。ラテマネーを意識して減らしていけば、お金が貯まらない習慣から脱出できるでしょう。
<参考サイト>
・SMBCコンシューマーファイナンス 30代・40代の金銭感覚についての意識調査2019
http://www.smbc-cf.com/news/datas/chousa_190306.pdf
・SMBCコンシューマーファイナンス 30代・40代の金銭感覚についての意識調査2019
http://www.smbc-cf.com/news/datas/chousa_190306.pdf
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
「学ぶことが楽しい」方には 『テンミニッツTV』 がオススメです。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。
『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
チベット、内モンゴル、新疆ウイグルなど、少数民族に対する深刻な人権侵害をめぐって欧米諸国から強い批判を浴びている中国。しかし、こうした人権問題は今に始まったことではない。中華人民共和国建国の経緯と中国共産党の思...
収録日:2021/10/15
追加日:2021/12/24
プロジェクトマネジメントとは?国際標準から考える特性
プロジェクトマネジメントの基本(1)国際標準とプロジェクトの定義
プロジェクトマネジメントが世界的に普及し始めたのは1990年代。ソフトウェア産業の発展とともに拡大を続け、時代のニーズを受けて多くのシーンに定着してきた。今回は、その基本に立ち返り、国際標準をもとに、プロジェクトと...
収録日:2025/09/10
追加日:2025/12/03
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」という現象は起こるのか。対人コミュニケーションにおいて誰もが経験する理解や認識の行き違いだが、私たちは同じ言語を使っているのになぜすれ違うのか。この謎について、ベストセラー『「何...
収録日:2025/05/12
追加日:2025/11/02
ジャパン・アズ・ナンバーワンで満足!?学ばない日本の弊害
内側から見たアメリカと日本(7)ジャパン・アズ・ナンバーワンの弊害
高度成長のために頑張った日本は「ジャパン・アズ・ナンバーワン」の評価を得たが、その後の日本企業の凋落、競争力の低下を考えると、その弊害を感じずにはおられない。読書人口が減っている現状をみると、いつのまにか「世界...
収録日:2025/09/02
追加日:2025/12/01
質疑編…司馬遼太郎の「史料読解」をどう評価する?
歴史の探り方、活かし方(7)史料の真贋を見極めるために
歴史上の出来事の本質を知るには、その真贋を見定めなければいけない。そのためにはどうすればいいのか。記述の異なる複数の本がある場合、いかにして真実を見極めるか。また、司馬遼太郎の作品が「歴史事実」として認識されて...
収録日:2025/04/26
追加日:2025/12/02


