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DATE/ 2024.12.17

夏だけじゃない「冬の脱水症状」とは?

 脱水症状というと、暑い夏に大量に汗をかくことで引き起こされるイメージが強いですが、実は寒い冬にも注意が必要だということをご存知ですか? あまり馴染みがないからこそ自覚されづらい冬の脱水症状。なぜ冬でも脱水が起こってしまうのか、注意すべき点はどんなポイントなのかを調べてみました。

脱水症状はどういうもの?

 脱水症状とは水分が失われることによって、体の中の機能がうまくはたらかなくなってしまうもの。軽度であればめまいやふらつきなどの症状が現れますが、重度な脱水症状になると臓器不全に陥ってしまうこともあります。脳梗塞や心筋梗塞の引き金になることもあり、軽視してはいけないものなのです。

冬の脱水症状の原因

 夏と冬では脱水症状の原因は大きく異なります。夏はおもに大量の汗によって水分が失われることが原因ですが、冬は水分を失っている自覚がないため水分補給がおろそかになりがちなことが大きな原因となっています。

 冬は室外の空気も乾燥していますが、室内でもエアコンなど暖房器具の使用が増えるため、湿度の低い環境にさらされることが多くなります。こうした環境下では、私たちの体は皮膚や粘膜、呼気から自然に水分が蒸発してしまいます。つまり冬は普通に生活をしているだけでも、乾燥していない時期より体内水分量が減りやすい季節なのです。

 そのため、本来であれば水分を積極的に摂取しなければならないのですが、冬は夏よりも飲みものの量が減りにくいもの。それは気温が低いためにのどが乾きにくくなる、体を冷やしたくないので飲みものを控えてしまうなどの理由がありますが、こうした外的要因・内的要因が重なることで脱水症状のリスクが高まってしまうのです。

 また、冬は風邪や感染症が流行しやすいため、発汗や下痢、嘔吐によって水分が大量に失われる危険性もあります。日常的なリスクに加え、こうしたリスクにも充分に気を付ける必要があります。

脱水症状にならないために気をつけたいこと

 大切なのは「水分補給をこまめに行うこと」。上記の通り、冬は自分で思っているよりも水分が奪われやすい季節。喉が渇いたと感じなくても飲みものを口にする習慣をつけるようにしましょう。また、寝ているときにも体の中の水分は蒸発していて、起床時には軽い脱水状態になっています。寝る前と起きた後にコップ1杯の水を飲むのがオススメです。

 そして「室内では湿度を50~60%に保つこと」。暖房を使うときは加湿器を使ったり濡らしたタオルを室内に干したりして、湿度を下げないようにすることが大切です。室内の乾燥を防ぐことでウイルス感染予防にもなるので、一石二鳥になります。

 大量の汗をかいたり、嘔吐や下痢で一気に水分を失ってしまった場合には、水分と同時に電解質も奪われてしまうので、ミネラルウォーターではなく「スポーツドリンクで水分補給をする」ことが大切です。もし、脱水症状になってしまったときには、より水分吸収の早い経口補水液を摂取するようにしましょう。

特に注意するのは子どもや高齢者

 意外と知られていない冬の脱水症状ですが、特に水分の出入りが多い子どもや、喉の渇きを感じにくい高齢者は注意が必要です。場合によっては命に関わる危険もありますが、気をつけていれば予防できるのが脱水症状。日頃の習慣を見直して、冬の脱水症状に気を付けるようにしましょう。

<参考サイト>
・冬でも注意「冬の脱水症状」│一般社団法人千葉市医師会
https://www.chiba-city-med.or.jp/column/090.html
・冬の脱水 ― 冬ならではのリスクと予防・改善策
https://www.cocacola.co.jp/article/special-considerations_06
・冬の乾燥が招く隠れ脱水 持病ある高齢者は要注意
https://style.nikkei.com/article/DGXKZO52103740T11C19A1KNTP00/
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今井むつみ
一般社団法人今井むつみ教育研究所代表理事 慶應義塾大学名誉教授