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DATE/ 2020.04.13

「結婚幸福度」が最も高い都道府県は?

 結婚を巡る状況はここ数年でかなり多様化してきました。もちろん結婚するかしないかといったことは個人の自由です。では、はたして結婚によって人はどれくらい幸福になるのでしょうか。このことを知るために興味深いものに「結婚の幸福度指数(QOM)」というものがあります。ここではこの「結婚の幸福度指数」調査をもとに、都道府県別に「結婚幸福度」をみてみましょう。

結婚の幸福度指数とは

 「結婚の幸福度指数」はQOM(Quality of Marriageの略)とも表記され、「結婚の質」を数値化したものです。婚活支援サービス大手の株式会社パートナーエージェントが発表しています。QOMを構成する大きな要素は「自己PR力」「観察力」「仲良し力」「ケンカ力」「過去未来力」「境界力」という6つ。この大項目のもとに細かい80の質問項目に対してアンケートを行い、回答を集計しています。

 調査は2013年11月から2019年8月にかけて、男性37,469人、女性105,874人に対して行われました。同社は「結婚の幸福度を構成する要素のほとんど全ては、世帯年収や子どもの有無等に関わらない、自らの努力で変えていける行動・意識要素である」としています。つまり、この6つの力を磨き発揮することで結婚の幸福度は上げることができるとのこと。さらにレポートでは、6つの要素をさらにそれぞれ2つの細かい要素に分解したものを評価しています。以下はその詳細です。

<自己PR力>
「魅力アピール力」自分の魅力を相手にアピールできているか
「本音力」本音で接することができているか

<観察力>
「興味維持力」パートナーに興味を持ち続けているか
「変化認識力」お互いの変化を認識できているか

<仲良し力>
「スキンシップ力」スキンシップをとっているか
「共有力」日常の些細なことを共有できているか

<ケンカ力>
「仲直り力」ケンカ後に早くうまく仲直りしているか
「ケンカ回避力」無駄なケンカを避けているか

<過去未来力>
「カップル理解力」過去や未来を語り合っているか
「過去リンク力」2人だけの思い出にかかるリンクがどれくらいあるか

<境界力>
「見て見ぬふり力」どれだけお互いに口を出さないでいるか
「開示力」どれだけ夫婦で自己開示できているか

2019年度「結婚の幸福度指数(QOM)」トップは沖縄県

 では、実際に2019年の報告で指数の高い都道府県を見て見ましょう。以下トップ10です(数値はスコアです)。

1位 沖縄県:628.1
2位 東京都:627.7
3位 宮崎県:625.5
4位 鹿児島県:625.4
5位 福岡県:617.1
6位 神奈川県:616.5
7位 京都府:612.6
8位 熊本県:611.6
9位 千葉県:611.4
10位 埼玉県:610.0

 1位は沖縄県でした。紹介によると「お互いに関心を持ちスキンシップを欠かさない仲良し県」とされています。評価のポイントを上記の詳細12項目で見ると、「興味維持力」「スキンシップ力」「カップル理解力」で1位、「開示力」「仲直り力」が2位、「魅力アピール力」「本音力」「共有力」で3位と、12項目中8項目がトップ3入りしています。興味深いのは「ケンカ回避力」が41位とかなり低い点。つまり、すぐにケンカするけれども、仲直りが早いということでしょうか。本音で向き合いながら、深いところで夫婦がつながっている感じがします。

 2位の東京都は、「魅力アピール力」「本音力」で1位、「興味維持力」「共有力」「過去リンク力」で2位、「仲直り力」「喧嘩回避力」「カップル理解力」が3位です。逆にこれらほど高くないのは「変化認識力」20位と「開示力」25位といったところ。パートナー同士にやや距離がある感じがします。相手を尊重して距離を取りながら関係を維持する、という感じのスタイルと言えるでしょうか。

 3位の宮崎県は「本音力」「カップル理解力」が2位、「興味維持力」「スキンシップ力」「過去リンク力」が3位、「仲直り力」「見て見ぬふり力」が4位、「開示力」「共有力」で5位です。また「ケンカ回避力」は23位。低いのは「変化認識力」で42位です。平均的に高い数値ですが、「変化認識力」だけがずば抜けて低いです。どう考えればいいのか難しいところですが、分析では「相手の変化には無頓着なようですが、相手に関心を持ち続けていることで、幸せな関係を築けているのかもしれません」とコメントされています。

「価値観が同じ」夫婦ほど幸福度は高い

 株式会社パートナーエージェントは他にもさまざまな調査を行なっています。たとえば「あなたは結婚して幸せだと思いますか」という調査(対象:20歳から69歳の既婚男女530人)では「そう思う」「どちらかといえばそう思う」という肯定的回答を合わせるとおよそ8割です。残りの2割が「どちらかといえばそう思わない」「そう思わない」という否定的回答となっています。

 さらに、肯定的回答、否定的回答それぞれに対して「自分たち夫婦に同じところがあるかどうか」を調査しています。この結果、肯定的回答だった人たちの41.8%が「価値観が同じ」と回答したのに対して、否定的回答だったひとは0.0%と一人も該当していません。また、「特にない・わからない」と回答している割合は肯定的回答だった人たちのうちでは9.7%、否定的回答だった人たちの割合では35.7%と大きな差が開いています。ここから考えられるのは、ある程度同じ価値観をもっていること、言葉にせずともわかりあえるような部分があることが、結婚生活で幸福を感じるかどうかという点では大きなポイントであるということなのでしょう。「価値観」というとやや漠然としますが、大きく言えば、自分の大事なものを相手も大事にしてくれるとわかったら安心します。この安心感がお互いに得られることが「価値観が同じ」ということのポイントなのかもしれません。

<参考サイト>
・2019 年度 “QOM「結婚の幸福度指数」” レポート|結婚の幸福度指数QOM(株式会社パートナーエージェント)
http://www.qom.jp/qom_document.pdf
・「価値観が同じ」夫婦ほど幸福度が高い!「世代」「食の好み」「金銭感覚」-幸せ夫婦の共通点とは?|QOM綜研(株式会社パートナーエージェント)
https://www.p-a.jp/research/report_114.html
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