「黒毛和牛」「A5ランク」はどれくらい希少?
「黒毛和牛」、「A5」ランク、と聞くと、霜降り・高級・希少といったイメージではないでしょうか。実際に「黒毛和牛」を謳う店や商品もよく見かけます。では、「黒毛和牛」はどれくらい希少なのでしょうか。「和牛」「国産牛」「A5」ランク、といった言葉を整理しながら考えてみましょう。
また「A5」というのは、日本食肉格付協会が定めた肉質で最高ランクを示す値です。「歩留等級」(一頭の枝肉から取れる食肉の割合)によってA、B、Cが決まります。また「肉質等級」(脂肪交雑=サシの量など)によって1から5のランクがあります。この組み合わせで15等級のランクが定められています。
「A5」が最高級で「多くの肉が取れて霜降り度合いが高い」ことを意味します。もちろんこのランクが高いものの方が食肉市場で高く取引されるので、生産者の多くはA5を目指します。この基準は牛肉の輸入が解禁された1991年頃、外国産牛肉に対して国内産牛肉の肉質の差を明確にすることを目的として作られたものです。
ただし、一般消費者の立場からすれば、肉が多くとれるかどうかという点はあまり関係ありません。また、もちろんサシの入った肉はとろけるように柔らかくて美味しいですが、料理によってそれにあった肉質があります。また赤身の肉を好む人も最近では増えています。「A5」の格付けがいい肉であることは間違いないですが、自分の好みの肉質や料理にあった肉質を見つけた方が、より牛肉を楽しめるかもしれません。
たとえば「神戸牛」は、兵庫県の「但馬牛」の血統であること、最終的に未経産牛・去勢牛である上で、枝肉格付において歩留等級がAもしくはBかつ枝肉重量が499.9g以下であることなど、さまざまな厳密な基準が設けられています。こういった徹底した品質管理により、高級なブランドが維持されています。
実際にスーパーなどに並ぶ際には、ここに輸入牛肉も加わります。農林水産省のまとめ(令和元年)によると、日本国内では牛肉供給量の15.6%が和牛、乳用種が9.6%、交雑種(F1)が9.3%、輸入が65.1%です。つまり、実際にスーパーに並んでいる肉の約15%が「黒毛和牛」です。
もちろん、「輸入肉」や「国産牛」と表示されているものよりも価格は高いですが、決して珍しい肉というわけではないことがわかります。ただ、畜産業界はいま深刻な後継者不足です。このままいくと、「国産牛」「和牛」ともども今の流通量を保てるかは未知数です。この点に関しては、ITによる管理などの技術開発や普及が進めば、未来の可能性が見えてくるのかもしれません。
「和牛」「国産牛」「A5」ランクとはなにか
「和牛」と呼ばれるものは種類が厳密に定義されています。「黒毛和種」「褐毛和種(あかげわしゅ)」「無角和種」「日本短角種」の4種に加えてこの交雑種のみが「和牛」とされています。一方、「国産牛」と表示されるものの多くは乳牛(ホルスタイン)の去勢済みの雄や、ホルスタインと黒毛和牛を交配させて肉質をよくした交雑種(F1と呼ばれるもの)です。また「A5」というのは、日本食肉格付協会が定めた肉質で最高ランクを示す値です。「歩留等級」(一頭の枝肉から取れる食肉の割合)によってA、B、Cが決まります。また「肉質等級」(脂肪交雑=サシの量など)によって1から5のランクがあります。この組み合わせで15等級のランクが定められています。
「A5」が最高級で「多くの肉が取れて霜降り度合いが高い」ことを意味します。もちろんこのランクが高いものの方が食肉市場で高く取引されるので、生産者の多くはA5を目指します。この基準は牛肉の輸入が解禁された1991年頃、外国産牛肉に対して国内産牛肉の肉質の差を明確にすることを目的として作られたものです。
ただし、一般消費者の立場からすれば、肉が多くとれるかどうかという点はあまり関係ありません。また、もちろんサシの入った肉はとろけるように柔らかくて美味しいですが、料理によってそれにあった肉質があります。また赤身の肉を好む人も最近では増えています。「A5」の格付けがいい肉であることは間違いないですが、自分の好みの肉質や料理にあった肉質を見つけた方が、より牛肉を楽しめるかもしれません。
ブランド牛は独自基準
これとは別に「神戸牛」「松坂牛」「近江牛」「米沢牛」といった産地によるブランド牛もあります。このブランドを冠するにはそれぞれの決まりを守ったものである必要があります。また、この決まりはブランドの生産者団体ごとに異なり、統一された基準によっているわけではありません。たとえば「神戸牛」は、兵庫県の「但馬牛」の血統であること、最終的に未経産牛・去勢牛である上で、枝肉格付において歩留等級がAもしくはBかつ枝肉重量が499.9g以下であることなど、さまざまな厳密な基準が設けられています。こういった徹底した品質管理により、高級なブランドが維持されています。
スーパーで見かける肉の約15%が黒毛和牛
国内で肥育されている和牛の90%以上が「黒毛和牛」です。また、独立行政法人家畜改良センターのデータから集計すると、令和元年における牛の「と畜頭数」のうち「黒毛和種」は全体の43.2%で最も多くなっています。2位は「ホルスタイン種」で32.0%、3位は「肉専用種(牛肉生産用の牛の総称)と乳用種の交雑種」で22.4%。つまり、国内産牛肉の約4割が「黒毛和牛」です。実際にスーパーなどに並ぶ際には、ここに輸入牛肉も加わります。農林水産省のまとめ(令和元年)によると、日本国内では牛肉供給量の15.6%が和牛、乳用種が9.6%、交雑種(F1)が9.3%、輸入が65.1%です。つまり、実際にスーパーに並んでいる肉の約15%が「黒毛和牛」です。
もちろん、「輸入肉」や「国産牛」と表示されているものよりも価格は高いですが、決して珍しい肉というわけではないことがわかります。ただ、畜産業界はいま深刻な後継者不足です。このままいくと、「国産牛」「和牛」ともども今の流通量を保てるかは未知数です。この点に関しては、ITによる管理などの技術開発や普及が進めば、未来の可能性が見えてくるのかもしれません。
<参考サイト・参考文献>
・本格的議論のための肉用牛・食肉関係の課題│農林水産省
https://www.maff.go.jp/j/council/seisaku/tikusan/attach/pdf/1106siryou-7.pdf
・牛個体識別全国データベースの集計結果|(独)家畜改良センター
https://www.id.nlbc.go.jp/data/toukei.html
・和牛の種類|農林水産省
https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/1608/spe1_01.html
・「近江牛」生産・流通推進協議会│和牛の基礎知識
http://oumiushi.com/about/japanese_beef.html
・厳しい認定基準|KOBE Beef Offical Restaurant Guide
http://www.kobe-niku.jp/contents/about/criteria.html
・「和牛と国産牛」本当の違いを知っていますか|東洋経済ONLINE
https://toyokeizai.net/articles/-/134817
『炎の牛肉教室!』(山本譲治著、講談社現代新書)
・本格的議論のための肉用牛・食肉関係の課題│農林水産省
https://www.maff.go.jp/j/council/seisaku/tikusan/attach/pdf/1106siryou-7.pdf
・牛個体識別全国データベースの集計結果|(独)家畜改良センター
https://www.id.nlbc.go.jp/data/toukei.html
・和牛の種類|農林水産省
https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/1608/spe1_01.html
・「近江牛」生産・流通推進協議会│和牛の基礎知識
http://oumiushi.com/about/japanese_beef.html
・厳しい認定基準|KOBE Beef Offical Restaurant Guide
http://www.kobe-niku.jp/contents/about/criteria.html
・「和牛と国産牛」本当の違いを知っていますか|東洋経済ONLINE
https://toyokeizai.net/articles/-/134817
『炎の牛肉教室!』(山本譲治著、講談社現代新書)