テンミニッツTV|有識者による1話10分のオンライン講義
ログイン 会員登録 テンミニッツTVとは
社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2021.10.01

セルフガソリンスタンドの4分ルールとは?

 セルフ式ガソリンスタンドの数は、ガソリンスタンド全体の3割から4割に達しているようです。かなり一般的になったことがわかります。ただし、セルフだと給油が4分で自動的に停止することを知っている人は意外と少ないかもしれません。これは「4分ルール」と呼ばれているのですが、では一体なぜこういったルールがあるのでしょうか。

レギュラー・ハイオクは4分もしくは100Lまで

 ガソリンスタンドで給油する際にはレギュラー(赤色)、ハイオク(黄色)、軽油(緑色)の3種類から車に適合するものを選び、ノズルを挿します。レバーを引くと燃料が流れ込むのですが、この燃料が流れ込む時間は4分までと決まっています。ただし例外的に、大型トラックが利用するスタンドの場合、軽油のみ4分以上の給油が可能となっている場合もあるようです。

 ノズルから燃料が流れてくるスピードは毎分30Lから35L。普通車の燃料タンク容量は50L程度から多くても100L程度なので、普通車までであれば通常は4分あれば満タンにできることになります。ただしタンクの状況などによっては4分以上かかることもあり得ます。この場合、満タンにならなくても自動的に給油は停止することになります。

 このいわゆる「4分ルール」を決めているのは消防法です。ガソリンは第4類危険物なので、通常、危険物取扱責任者(危険物取扱者乙4類の国家資格所持者)でなければ扱うことはできないのが基本です。ただしこの点は、1998年に消防法が改正によって、いくつかの条件付きで緩和されました。これにより、セルフ式のガソリンスタンドが設置できるようになり、現在のように広まっています。

 この改正された際に付加された条件の中に、給油量と給油時間、給油ノズルのオートストップ機構、静電気対策といった各種の安全対策を講ずることがあります。こうして、ガソリンとハイオクの給油量は100L、軽油は200Lまで。速度は、毎分30L~35L(軽油の高速型は毎分35L~70L)で、時間は4分でオートストップ。給油前には必ず静電気対策をすることと決められています。一方、これは一般の人が給油する際のルールなので、ガソリンスタンドのスタッフが給油する場合には適用されません。

静電気に注意

 このように一定の条件のもと、1998年の消防法改正によって、危険物取扱資格を持たない一般の人でもガソリンなどを直接給油できるようになったわけですが、ガソリンが危険でなくなったわけではありません。ガソリンの引火点はマイナス40度です。マイナス40度以上の環境にあれば常に可燃性ガスを発生させており、常温で容易に引火してしまいます。

 これは、ほんの少しの静電気でも危険であることを意味します。セルフ式スタンドで給油する前に静電気除去装置に触れる必要があるのはこのためです。特に冬は気をつけなければなりません。もちろん、給油の際のタバコはご法度。また、ライターのちょっとした火花だけでも引火します。給油中は必ずエンジンを停止し、タバコを吸う時には所定の喫煙所に行きましょう。

セルフ式ではナンバープレートのある車以外への給油は不可

 また、セルフで給油する先は車やバイクなど、ナンバープレートのついた車体だけが認められています。ガソリン携行缶やポリタンクなどへの給油や、ナンバープレートのない車両への給油も禁止されています。こういった行為を行うと、消防法違反として罰せられることがあります。

 ただし農業機械や、小型船舶、発電機などといった用途などでガソリンを容器で持ち帰ることが必要な場合もあるかもしれません。この場合はフルサービスのガソリンスタンドにおいて、スタッフの手で給油する必要があります。またこの時には身分証と使用目的を確認した上で記録を取るといったことがガソリンスタンド側に義務化されています。また、消防法の基準を満たした携行缶を用いて、一台の車で運べる量は22Lまでというルールもあります。

<参考サイト>
セルフガソリンスタンドだけにある「4分ルール」とは?|CarMe
https://car-me.jp/articles/9767
セルフスタンドでは|一般社団法人日本自動車工業会
https://www.jama.or.jp/user/carlife/14.html
【災害に備えて覚えておきたい】ガソリンの購入・運搬・使用・保管の注意点|ベストカーWeb
https://bestcarweb.jp/news/entame/103196

~最後までコラムを読んでくれた方へ~
「学ぶことが楽しい」方には 『テンミニッツTV』 がオススメです。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,300本以上。 『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

経営をひと言で?…松下幸之助曰く「2つじゃいけないか」

経営をひと言で?…松下幸之助曰く「2つじゃいけないか」

東洋の叡智に学ぶ経営の真髄(1)経営とは何かをひと言で?

東洋思想を研究する中で、50年間追求してきた命題の解を得たと田口佳史氏は言う。また、その命題を得るきっかけとなったのは松下幸之助との出会いだった。果たしてその命題とは何か、生涯の研究となる東洋思想とどのように結び...
収録日:2024/09/19
追加日:2024/11/21
2

次の時代は絶対にアメリカだ…私費で渡米した原敬の真骨頂

次の時代は絶対にアメリカだ…私費で渡米した原敬の真骨頂

今求められるリーダー像とは(3)原敬と松下幸之助…成功の要点

猛獣型リーダーの典型として、ジェネラリスト原敬を忘れてはならない。ジャーナリスト、官僚、実業家、政治家として、いずれも目覚ましい実績を上げた彼の人生は「賊軍」出身というレッテルから始まった。世界を見る目を養い、...
収録日:2024/09/26
追加日:2024/11/20
神藏孝之
公益財団法人松下幸之助記念志財団 理事
3

冷戦終焉から30年、激変する世界の行方を追う

冷戦終焉から30年、激変する世界の行方を追う

ポスト冷戦の終焉と日本政治(1)「偽りの和解」と「対テロ戦争」の時代

これから世界は激動の時代を迎える。その見通しを持ったのは冷戦終焉がしきりに叫ばれていた時だ――中西輝政氏はこう話す。多くの人びとが冷戦終焉後の世界に期待を寄せる中、アメリカやヨーロッパ諸国、またロシアや同じく共産...
収録日:2023/05/24
追加日:2023/06/27
中西輝政
京都大学名誉教授
4

遊女の実像…「苦界と公界」江戸時代の吉原遊郭の二面性

遊女の実像…「苦界と公界」江戸時代の吉原遊郭の二面性

『江戸名所図会』で歩く東京~吉原(1)「苦界」とは異なる江戸時代の吉原

『江戸名所図会』を手がかりに江戸時代の人々の暮らしぶりをひもとく本シリーズ。今回は、遊郭として名高い吉原を取り上げる。遊女の過酷さがクローズアップされがちな吉原だが、江戸時代の吉原には違う一面もあったようだ。政...
収録日:2024/06/05
追加日:2024/11/18
堀口茉純
歴史作家
5

国の借金は誰が払う?人口減少による社会保障負担増の問題

国の借金は誰が払う?人口減少による社会保障負担増の問題

教養としての「人口減少問題と社会保障」(4)増え続ける社会保障負担

人口減少が社会にどのような影響を与えるのか。それは政府支出、特に社会保障給付費の増加という形で現れる。ではどれくらい増えているのか。日本の一般会計の収支の推移、社会保障費の推移、一生のうちに人間一人がどれほど行...
収録日:2024/07/13
追加日:2024/11/19
森田朗
一般社団法人 次世代基盤政策研究所(NFI)所長・代表理事