テンミニッツ・アカデミー|有識者による1話10分のオンライン講義
会員登録 テンミニッツ・アカデミーとは
社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2021.10.25

赤や青…色の付いた道路の意味とは

 最近、赤や緑、青などの塗装を施されたアスファルトを目にします。なんとなく気になって注意する人も多いのではないでしょうか。これらは一般的にカラーアスファルトと呼ばれているようです。では、こういったアスファルトの色付けには、どんな意味や効果があるのでしょうか。

赤、緑、青などカラーリングの意味

 道路全体が赤く塗装されたものはよく目にします。これは信号のない交差点やカーブ、バス停付近などに使用されていることが多いようです。つまり、やや危険性のある場所での注意喚起という意味合いが強いようです。また他にも、駐停車禁止区域が赤く塗装されている場合もあるようです。

 一方、住宅街や狭い道路、通学路などで歩道のエリアが緑色になっていたり、また道路全体が緑色になっていたりする場合があります。歩道エリアが緑色になっているところは一般的にグリーンベルトと呼ばれ、歩行者が歩く路側帯を明確にする役割があるようです。また道路全体が緑色になっている場所はスクールゾーンに多く、車に対して歩行者への注意を喚起する役割があるようです。

 また路側帯が青い場合もあります。これは緑と同じように使われるようですが、自転車通行帯を示している場合も多いとのこと。ただし数車線あるレーンの一つが青く塗られている場合は自転車通行帯の意味ではなく、主に右左折レーンを示しているとのこと。

路面照度の低い時間帯では「青、青紫、緑」の視認性が高い

 全国道路標識標示業協会東京都協会の資料によると、道路のカラー化による一般的な目的は、「視環境の改善による抑止力の強化」「すべり止め効果による交通安全対策」「歩道部の確保による歩行者保護」「目標物の表示」の4つとされています。カラーアスファルトには他にも黄色、白色、茶色などなどさまざまな色があるようです。また、塗り方に関しても、塗る部分と塗らない部分を交互にしたり、赤と緑を交互に塗ってより目立つようにするなど、さまざまなパターンがあります。いずれにせよカラーアスファルトは、事故防止やドライバーへの注意喚起を目的としています。

 また、同資料では、路面上での視認性が高い色に関して、「路面照度の低い時間帯では青、青紫、緑が有効となる」としています。こういったことから午前や夕方に子供が多く通るスクールゾーンなどでは、緑や青が使われていると考えていいでしょう。これに対して、赤は一般的に危険性を表す場面で多く使われる色なので、ドライバーの注意を引きます。この点で道路上の危険を表す場所、注意が必要な場所に多く使われているようです。

明確なルールはない

 こういった色による大まかな目的の違いはあるようですが、実は道路交通法などでの明確なルールはありません。これは緑と青が明確に区別されていないことからも明らかですが、多くの場合地元自治体が警察などと相談した上で、それぞれの判断で決めている場合が多いとのこと。ちょっと意外ではありますが、こういった状況から地域によって色の違いが生まれているようです。

 現状ではこのカラーアスファルトは都市部に多いようです。色の違いがあれば状況が分かりやすいことは事実です。ただしこの先、全国的にこういった塗装が広がることになれば、やや混乱が起こることも想定されることから、どこかの段階で統一ルールは策定されるかもしれません。しかし、少なくともカラーアスファルトを目にしたら、そこには何かしら注意すべき状況があることは確かです。意識して運転しましょう。

<参考サイト>
路面が赤い道路ってどういう意味?|CarMe
https://car-me.jp/articles/8434?
赤い塗装の道路にはどんな意味があるのか?|WEB CARTOP
https://www.webcartop.jp/2018/02/205375/
路面のカラー化について実例集|全国道路標識標示業協会東京都協会
http://www.zenhyo-tokyo.com/UPshiryou/romencolor.pdf

~最後までコラムを読んでくれた方へ~
物知りもいいけど知的な教養人も“あり”だと思います。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。 『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

最近の話題は宇宙生命学…生命の起源に迫る可能性

最近の話題は宇宙生命学…生命の起源に迫る可能性

未来を知るための宇宙開発の歴史(13)発展する宇宙空間利用と進化する技術

技術の発達・発展により、宇宙空間を利用したさまざまなサービスが考え出されている。人間の環境を便利にするものであり、また攻撃技術にもつながるものであるが、さまざまな可能性を秘めている。さらに宇宙空間の利用は、天文...
収録日:2024/11/14
追加日:2025/10/19
川口淳一郎
宇宙工学者 工学博士
2

学力喪失と「人間の理解」の謎…今井むつみ先生に聞く

学力喪失と「人間の理解」の謎…今井むつみ先生に聞く

編集部ラジオ2025(24)「理解する」とはどういうこと?

今井むつみ先生が2024年秋に発刊された岩波新書『学力喪失――認知科学による回復への道筋』は、とても話題になった一冊です。今回、テンミニッツ・アカデミーでは、本書の内容について著者の今井先生にわかりやすくお話しいただ...
収録日:2025/09/29
追加日:2025/10/16
3

ソニー流「多角化経営」と「人的資本経営」の成功法とは?

ソニー流「多角化経営」と「人的資本経営」の成功法とは?

エンタテインメントビジネスと人的資本経営(1)ソニー流の多角化経営の真髄

ソニー・ミュージックエンタテインメント(ジャパン)は、アメリカのコロムビアレコードと1968年に創業した、日本初の外資とのジョイントベンチャーである。ソニーはもともとエレクトロニクスの会社だったが、今のソニーグルー...
収録日:2025/05/08
追加日:2025/10/20
水野道訓
元ソニー・ミュージックエンタテインメント代表取締役CEO
4

なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る

なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る

学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち

たかが「1」、されど「1」――今、数の意味が理解できない子どもがたくさんいるという。そもそも私たちは、「1」という概念を、いつ、どのように理解していったのか。あらためて考え出すと不思議な、言葉という抽象概念の習得プロ...
収録日:2025/05/12
追加日:2025/10/06
今井むつみ
一般社団法人今井むつみ教育研究所代表理事 慶應義塾大学名誉教授
5

ショパン…ピアノのことを知り尽くした作曲家の波乱の人生

ショパン…ピアノのことを知り尽くした作曲家の波乱の人生

ショパンの音楽とポーランド(1)ショパンの生涯

ピアニスト江崎昌子氏が、ピアノ演奏を交えつつ「ショパンの音楽とポーランド」を紹介する連続シリーズ。第1話では、すべてのピアニストにとって「特別な作曲家」と言われる39年のショパンの生涯を駆け足で紹介する。1810年に生...
収録日:2022/10/13
追加日:2023/03/16
江崎昌子
洗足学園音楽大学・大学院教授 日本ショパン協会理事