社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
ちょっと待って!正しいと信じているソレって本当??
安保法制、TPP、イスラム国、新国立競技場、中国株の下落、ギリシャ危機、戦後70年談話など、話題の尽きない日々が過ぎていく。ただ漫然とニュースに触れているだけでは本当のことは見えてこない。
昨日まで、自分が信じていたことが覆されることも少なく無い。新聞各社の報道をみても、一つの話題に対してさまざな立場をとっていることがわかる。一体どれが正しくて、どれが間違っているのか、疑問に思うことはないだろうか?
慶應義塾大学大学院教授で政治学者の曽根泰教氏に「正しさ」の根拠について語っていただいた。
真偽を議論するのが科学の基本だが、一般的にわたしたちは「正しさ」というものをもっと表面的なところで判断している。あまりにも簡単な理由で「正しい」と思ってしまいがちである。
・教科書に書いてあるから「正しい」
・新聞に書いてあるから「正しい」
・偉い人が言っていたから「正しい」
こんなふうに、意外と簡単に信じてしていないだろうか?
これはとても危険なことでもある。
自分で実験したわけではないし、たくさんの意見に触れてそこから自分なりの結論を出したわけでもない。それなのに簡単に信じてしまっていたりする。
「正しさ」を信じている状態とは、その実証性よりも「その理論を使うと世界はこのように見える」という状態を指していると考えてはいかがだろうか。
「あくまでもひとつの見方なのだ」と、みんなが認識しておくことで、トラブルを未然に防いだり新しい発展につなげていくことができるだろう。
しかし「正しさ」に対しての態度が、信仰、宗教の世界に及ぶケースは簡単にはいかない。「自分の信じる神の言うことが正しく、信じていないことは一切を否定する」というような極端な価値体系におちいってしまうこともあるからだ。
近代の歴史の歩みは、政治(国家)と宗教を分ける、いわゆる「政教分離」を根本におき、他者を認め尊重する、という解決方法を見出してきた。
そこに至るには多くの困難がともない、長い時間を要してきた。宗教的理念に基づく「正しさ」と世俗の「正しさ」とは、もともと大きく異なっているからだ。
今、この問題がまた浮き彫りになってきている。
イスラム世界ではコーランの正しさを教える宗教教育が復活し、他の世界と間で「正しさ」が対立するような状態になっている。非常に根深い問題だ。
われわれが今するべきことは、<自分が「正しい」と考えていることは、実は根拠が薄いかもしれない>と疑う姿勢を持つことである。
また違う考え方に触れたとき、すぐさま拒絶するのではなく、そういう「見方」もあるのだと、認識しておくことが大事だ。
これが民主主義や科学論の前提であり、よりよい未来につながっていくことになるからだ。
昨日まで、自分が信じていたことが覆されることも少なく無い。新聞各社の報道をみても、一つの話題に対してさまざな立場をとっていることがわかる。一体どれが正しくて、どれが間違っているのか、疑問に思うことはないだろうか?
慶應義塾大学大学院教授で政治学者の曽根泰教氏に「正しさ」の根拠について語っていただいた。
真偽を議論するのが科学の基本だが、一般的にわたしたちは「正しさ」というものをもっと表面的なところで判断している。あまりにも簡単な理由で「正しい」と思ってしまいがちである。
・教科書に書いてあるから「正しい」
・新聞に書いてあるから「正しい」
・偉い人が言っていたから「正しい」
こんなふうに、意外と簡単に信じてしていないだろうか?
これはとても危険なことでもある。
自分で実験したわけではないし、たくさんの意見に触れてそこから自分なりの結論を出したわけでもない。それなのに簡単に信じてしまっていたりする。
「正しさ」を信じている状態とは、その実証性よりも「その理論を使うと世界はこのように見える」という状態を指していると考えてはいかがだろうか。
「あくまでもひとつの見方なのだ」と、みんなが認識しておくことで、トラブルを未然に防いだり新しい発展につなげていくことができるだろう。
しかし「正しさ」に対しての態度が、信仰、宗教の世界に及ぶケースは簡単にはいかない。「自分の信じる神の言うことが正しく、信じていないことは一切を否定する」というような極端な価値体系におちいってしまうこともあるからだ。
近代の歴史の歩みは、政治(国家)と宗教を分ける、いわゆる「政教分離」を根本におき、他者を認め尊重する、という解決方法を見出してきた。
そこに至るには多くの困難がともない、長い時間を要してきた。宗教的理念に基づく「正しさ」と世俗の「正しさ」とは、もともと大きく異なっているからだ。
今、この問題がまた浮き彫りになってきている。
イスラム世界ではコーランの正しさを教える宗教教育が復活し、他の世界と間で「正しさ」が対立するような状態になっている。非常に根深い問題だ。
われわれが今するべきことは、<自分が「正しい」と考えていることは、実は根拠が薄いかもしれない>と疑う姿勢を持つことである。
また違う考え方に触れたとき、すぐさま拒絶するのではなく、そういう「見方」もあるのだと、認識しておくことが大事だ。
これが民主主義や科学論の前提であり、よりよい未来につながっていくことになるからだ。
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
物知りもいいけど知的な教養人も“あり”だと思います。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。
『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造
宇宙とは何かを考えるうえで中国の古典である『荘子』・『淮南子(えなんじ)』に由来する「宇宙」という言葉が意味から考えてみたい。続いて、地球から始まり、太陽系、天の川銀河(銀河系)、局所銀河群、超銀河団、そして大...
収録日:2020/08/25
追加日:2020/12/13
図書館の便利な活用法…全国の図書館からの「お取り寄せ」
歴史の探り方、活かし方(2)図書館「レファレンス」の活用
公共図書館では質の高い「レファレンス」サービスを提供しているが、活用する人は限られている。だが、実は全国の図書館ネットワークを縦横無尽に活用できる、驚くほどに便利な仕組みなのだ。今回は図書館のレファレンスで何が...
収録日:2025/04/26
追加日:2025/11/15
知ってるつもり、過大評価…バイアス解決の鍵は「謙虚さ」
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(3)認知バイアスとの正しい向き合い方
人間がこの世界を生きていく上で、バイアスは避けられない。しかし、そこに居直って自分を過大評価してしまうと、それは傲慢になる。よって、どんな仕事においてももっとも大切なことは「謙虚さ」だと言う今井氏。ただそれは、...
収録日:2025/05/12
追加日:2025/11/16
脳内の量子的効果――ペンローズ=ハメロフ仮説とは
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(2)量子論と空海密教の本質
「ワット・ビット連携」の概念がある。これは神経と血管の関係にも似ており、両者が密接に関係するところから、それをもとに人間の本質について考察していくことになる。また、中村天風の思想から着想を得て、人間の心には霊性...
収録日:2025/03/03
追加日:2025/11/13
なぜ伝わらない?理解の壁の正体を今井むつみ先生に学ぶ
編集部ラジオ2025(27)なぜ何回説明しても伝わらない?
「何回説明しても伝わらない」「こちらの意図とまったく違うように理解されてしまった」……。そんなことは、日常茶飯事です。しかしだからといって、相手を責めるのは大間違いでは? いやむしろ、わが身を振り返って考えないと...
収録日:2025/10/17
追加日:2025/11/13


