社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2022.03.24

「英語」になった「日本語」とは?

 日本語の中には、外来語だったものが定着して日本語になった言葉がたくさんありますよね。ボタンやカステラ、サボるという言葉も外来語が起源だということは有名な話です。逆に、私たちが使っている日本語が、そのまま英語として定着しているということも珍しくはありません。中には私たちが使っている意味とは少し違う意味で使われていることも。今回はそんな「英語になった日本語」を紹介していきましょう。

英語になった日本語その1:食べもの

 「SUSHI」「TEMPURA」「RAMEN」は海外でも通じる言葉として定番で、海外でも日本食は広く愛されています。また、「SUKIYAKI」は食べものとしてだけでなく、坂本九さんの名曲「上を向いて歩こう」の英題としても有名です。曲にSUKIYAKIという言葉は全く出てきませんが、この曲をカバーしたアーティストが所属したレコード会社の社長が日本で食べたすき焼きが美味しかったためにこのタイトルがつけられたともいわれています。

英語になった日本語その2:文化

 日本のサブカルチャーはいまや世界に誇れるものでもあり、「MANGA」「OTAKU」「KARAOKE」といった言葉はそのままの意味で使われます。また、「BONSAI」「WAKA」「HAIKU」「ORIGAMI」などの日本ならではの文化芸術もそのままの意味で世界に広がっています。日本では江戸時代に民衆に親しまれた「UKIYOE」は、印象派を代表する画家クロード・モネやゴッホといった名だたる画家にも影響を与えていることでも有名です。

英語になった日本語その3:その他

 その他にも、「KAROSHI」「ZANGYO」という言葉は日本でも社会問題になっていますが、海外で通じる日本語となっています。また、日本に限らない社会問題である「HIKIKOMORI」も海外で通用する言葉のひとつです。英語では日本での引きこもりの意味と一致するものがないため、日本での引きこもり問題を紹介する場合には「HIKIKOMORI」という言葉がそのまま使われることがあるといいます。

実は通じるこんな言葉

 日本語でいう「少し」は「a little」と訳する人も多いですが、実は「スコーシ」と発音される「SKOSH」という英語に変化し、「少し」という言葉が通じるようになりました。ただし、今は若い人の間であまり使われなくなっているようです。また、地震大国である日本ではよく耳にする「TSUNAMI」も、東日本大震災をきっかけに世界に広がったといわれています。

日本人が聞いても「?」となる言葉も

 一方で、日本人が聞いても「?」となる言葉も。「HONCHO」という言葉がありますが、「ほんちょう?何のこと?」となりますよね。実はこれは「班長」がもとになった言葉。意味はもともとの意味と同じように、リーダーやボスと似たような意味で使われているといいます。

 また、言葉は日本語ではあるものの、日本とは違う意味で使われている言葉も。例えば「FUTON」も海外で通じる言葉ですが、英語の「FUTON」はソファーベッドのようなものを指します。日本で使われる敷き布団や掛け布団の意味で使うと食い違いが起こることもあるので、会話で使う場合には気をつけた方が良いかもしれません。

 今回紹介したのはごく一部ですが、私たちが知らないだけでさまざまな日本語が海を渡って伝わるようになっています。海外から注目を集める食や文化のジャンルでは、今後もさまざまな日本語が世界に広がっていくかもしれません。「これはどういう意味?」と海外の人に聞かれたときには説明できるよう、自国の文化について知識を深めておくと安心かもしれませんね。

<参考サイト>
・英語になった日本語!?その単語、日本語のままで通じますよ!│DMM英会話
https://eikaiwa.dmm.com/blog/expressions/expression/globalized-japanese/
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
より深い大人の教養が身に付く 『テンミニッツTV』 をオススメします。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。 『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質

深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質

中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景

チベット、内モンゴル、新疆ウイグルなど、少数民族に対する深刻な人権侵害をめぐって欧米諸国から強い批判を浴びている中国。しかし、こうした人権問題は今に始まったことではない。中華人民共和国建国の経緯と中国共産党の思...
収録日:2021/10/15
追加日:2021/12/24
橋爪大三郎
社会学者 東京科学大学名誉教授 大学院大学至善館教授
2

なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために

なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために

エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如

現代社会にとって空海の思想がいかに重要か。AIが仕事の仕組みを変え、超高齢社会が医療の仕組みを変え、高度化する情報・通信ネットワークが生活の仕組みを変えたが、それらによって急激な変化を遂げた現代社会に将来不安が増...
収録日:2025/03/03
追加日:2025/11/12
3

ジャパン・アズ・ナンバーワンで満足!?学ばない日本の弊害

ジャパン・アズ・ナンバーワンで満足!?学ばない日本の弊害

内側から見たアメリカと日本(7)ジャパン・アズ・ナンバーワンの弊害

高度成長のために頑張った日本は「ジャパン・アズ・ナンバーワン」の評価を得たが、その後の日本企業の凋落、競争力の低下を考えると、その弊害を感じずにはおられない。読書人口が減っている現状をみると、いつのまにか「世界...
収録日:2025/09/02
追加日:2025/12/01
4

ブルーライトは悪者か?近年分かった「第3の眼」との関係

ブルーライトは悪者か?近年分かった「第3の眼」との関係

熟睡できる環境・習慣とは(2)酒、コーヒー、ブルーライトは悪者か

お酒やコーヒーなど世の中には睡眠に良くないのではないかといわれるものがある。また、現代においては特に、スマホの「ブルーライト」が睡眠には大敵だといわれているが、それらは本当に悪者なのか。一般に良い睡眠を妨げると...
収録日:2025/03/05
追加日:2025/11/30
西野精治
スタンフォード大学医学部精神科教授
5

なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み

なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み

何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み

なぜ「何回説明しても伝わらない」という現象は起こるのか。対人コミュニケーションにおいて誰もが経験する理解や認識の行き違いだが、私たちは同じ言語を使っているのになぜすれ違うのか。この謎について、ベストセラー『「何...
収録日:2025/05/12
追加日:2025/11/02
今井むつみ
一般社団法人今井むつみ教育研究所代表理事 慶應義塾大学名誉教授