テンミニッツTV|有識者による1話10分のオンライン講義
ログイン 会員登録 テンミニッツTVとは
社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2022.05.28

車のペダル、「踏み間違い」はなぜ起きる?

 交通事故ニュースでよく聞かれるのは、高齢者ドライバーによる「車のペダルの踏み間違い」というケース。母娘を死亡させた池袋の暴走事故から、コンビニなどの駐車場で店舗に乗り入れてしまうなど、車を止めたいのにアクセルを踏んで加速してしまうというブレーキとアクセルの誤操作は、高齢者だけの問題ではなく、若年層の初心者ドライバーでも数多く発生しています。

アクセル・ブレーキの踏み間違いが起きる原因

 自動車のAT車(オートマチック)の場合、アクセルとブレーキ、それぞれ2つのペダルが並んで配置されています。そして、右足だけでアクセルとブレーキそれぞれのペダルを交互に踏み替えながら、駆動と停止の操作することが一般的です。それぞれ「踏み込む」という同じ動作で操作するペダルが並んでいるため、踏み間違える可能性は年齢を問わずどなたでもありえるといってよいでしょう。

 では、どのような状況でアクセル・ブレーキの踏み間違い事故が起こりやすいか、交通事故例調査データを参照すると、「あわててしまった」「パニックに陥った」が最も多く、加齢による判断ミスなど運転に支障があったと判断される「高齢」や「乗り慣れない車」といった要因が続きます。

 想定外の危険に遭遇すると、ドライバーは、あわてたりパニックに陥ったりしてしまうことで意識がペダル操作に向かず、踏み間違いが起こるのではないかと考えることができます。パニック時にはブレーキペダルを踏んでいると思い込んでいることから、車が止まらないとさらにあせって、アクセルペダルを踏みこんでしまい、結果、重大な事故につながるようです。

踏み間違いが起きやすいシチュエーション

 ペダルの踏み間違いによる事故データを分析すると、車両相互と車両単独事故においては、直進中が最も多く、次に発進時というシチュエーションになります。人対車両事故においても、直進中・発射時が最も多いのですが、後退と右折中が比較的多く発生しています。

 また、全体的な事故において多重衝突が8%に留まるのに対して、ペダルの踏み間違いというケースにおいては、死亡重傷事故で37%、死傷事故で29%と、かなり高い比率で多重衝突事故になっています。

踏み間違い事故を防ぐには

 ドライバーとしては、アクセルペダルからブレーキペダルへ踏み換えるような操作を心がけてください。人によっては、かかとをつけたまま足先だけでペダルを動かして操作するクセがついているようです。ペダルの隅に引っ掛けるように踏んでいたりすると、ペダルから足が滑って踏み間違える危険性が高まります。特にブレーキをかけるときは、かかとを床から離して、アクセルペダルからブレーキペダルへ踏みかえる習慣をつけましょう。また、パニックになると、足を乗せていたペダルを踏み込む傾向があるので、カーブや渋滞中、後進時などは、基本ブレーキペダルに足をおいた状態で慎重に操作するように心がけてください。

 歩行者としては、コンビニなど駐車しようと動かしている車には特に注意して、動いている方向にははいらないように注意したいものです。

<参考サイト>
・イタルダインフォメーション:ペダル踏み間違いによる事故
https://www.itarda.or.jp/contents/9350/info139.pdf
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
「学ぶことが楽しい」方には 『テンミニッツTV』 がオススメです。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,300本以上。 『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

経営をひと言で?…松下幸之助曰く「2つじゃいけないか」

経営をひと言で?…松下幸之助曰く「2つじゃいけないか」

東洋の叡智に学ぶ経営の真髄(1)経営とは何かをひと言で?

東洋思想を研究する中で、50年間追求してきた命題の解を得たと田口佳史氏は言う。また、その命題を得るきっかけとなったのは松下幸之助との出会いだった。果たしてその命題とは何か、生涯の研究となる東洋思想とどのように結び...
収録日:2024/09/19
追加日:2024/11/21
2

次の時代は絶対にアメリカだ…私費で渡米した原敬の真骨頂

次の時代は絶対にアメリカだ…私費で渡米した原敬の真骨頂

今求められるリーダー像とは(3)原敬と松下幸之助…成功の要点

猛獣型リーダーの典型として、ジェネラリスト原敬を忘れてはならない。ジャーナリスト、官僚、実業家、政治家として、いずれも目覚ましい実績を上げた彼の人生は「賊軍」出身というレッテルから始まった。世界を見る目を養い、...
収録日:2024/09/26
追加日:2024/11/20
神藏孝之
公益財団法人松下幸之助記念志財団 理事
3

冷戦終焉から30年、激変する世界の行方を追う

冷戦終焉から30年、激変する世界の行方を追う

ポスト冷戦の終焉と日本政治(1)「偽りの和解」と「対テロ戦争」の時代

これから世界は激動の時代を迎える。その見通しを持ったのは冷戦終焉がしきりに叫ばれていた時だ――中西輝政氏はこう話す。多くの人びとが冷戦終焉後の世界に期待を寄せる中、アメリカやヨーロッパ諸国、またロシアや同じく共産...
収録日:2023/05/24
追加日:2023/06/27
中西輝政
京都大学名誉教授
4

遊女の実像…「苦界と公界」江戸時代の吉原遊郭の二面性

遊女の実像…「苦界と公界」江戸時代の吉原遊郭の二面性

『江戸名所図会』で歩く東京~吉原(1)「苦界」とは異なる江戸時代の吉原

『江戸名所図会』を手がかりに江戸時代の人々の暮らしぶりをひもとく本シリーズ。今回は、遊郭として名高い吉原を取り上げる。遊女の過酷さがクローズアップされがちな吉原だが、江戸時代の吉原には違う一面もあったようだ。政...
収録日:2024/06/05
追加日:2024/11/18
堀口茉純
歴史作家
5

国の借金は誰が払う?人口減少による社会保障負担増の問題

国の借金は誰が払う?人口減少による社会保障負担増の問題

教養としての「人口減少問題と社会保障」(4)増え続ける社会保障負担

人口減少が社会にどのような影響を与えるのか。それは政府支出、特に社会保障給付費の増加という形で現れる。ではどれくらい増えているのか。日本の一般会計の収支の推移、社会保障費の推移、一生のうちに人間一人がどれほど行...
収録日:2024/07/13
追加日:2024/11/19
森田朗
一般社団法人 次世代基盤政策研究所(NFI)所長・代表理事