社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2022.08.23

なぜ日本の道路はツギハギだらけなのか?

 道路を通っていると、ひとつの道が綺麗に舗装されているのではなく、一部分だけ工事した跡が何箇所もあってツギハギだらけになっている、という光景を目にすることは少なくありません。見た目としてもツギハギがなく平らに舗装されている方がキレイなのに、なぜ一度にきれいにすることはできないのでしょうか?

道路のツギハギができてしまう理由

 道路の下には上下水道、ガス、電気、電話など、さまざまなライフラインに関わる管や線が埋設されています。これらの設置や交換などの理由で工事が行われますが、複数の場所を一度に工事することはできません。そのため、ひとつの工事が終わったら、道路を安全に通行できるようにいったんその場所を仮で埋めて次の工事を行う、といったように順序立ててやる必要があります。「同じ場所でまた工事している」と感じることがあるかもしれませんが、同じ工事をしているのではなく、その前とは異なる工事を行っているのです。

 これらの工事が全て終わらない限りは全面を舗装し直さないため、道路はツギハギになってしまうのです。すべての工事が終わるのには数年がかかりますが、すべての工事が終わればようやく一面をキレイに舗装することができます。

アスファルト舗装がもっとも多いのはなぜ?

 ちなみに道路舗装をするとき、日本ではほとんどの道路でアスファルトが使われています。他にもコンクリート舗装、ブロック舗装もありますがアスファルト舗装に比べるとその数は限られているのです。

 というのも、アスファルトは耐久性はコンクリートに劣るものの、安価で加工がしやすいのが特徴で、維持・修繕がしやすいという特徴を持っています。上述したような使い方をするのにもっとも適しているのがアスファルト舗装だといえるでしょう。

 なお、コンクリート舗装はアスファルトよりも耐久性があるのですが、高価で施工の日数がかかるというデメリットがあります。その特性を生かして、トンネルや空港といった丈夫さや安全性が求められる場所に使われています。

 ブロック舗装は観光地や街中などで見られる程度で、あまり多く使われてはいません。時々、ブロック舗装の一部がアスファルトになっているのを見かけますが、これも仮埋め立ての状態。なお、アルファベット一文字が書かれていることがありますが、「T」ならNTT、「E」なら東京電力、「G」なら東京ガスなど、どの事業所の工事なのかを知ることができます。

ツギハギの道路が危険な場合には

 道路がツギハギだらけなのは工事中なので、じきに舗装されると分かっていても、古い道路では継ぎ目からひびが入ったり、穴ぼこが空いたりして通行が危険なこともありますよね。そんなときには自治体に連絡すれば、道路の補修が必要な場合には対応してくれます。工事が終わるまでの辛抱と思わず、安全のためにも連絡するようにしてください。

<参考サイト>
・同じ場所を何度も工事する理由とは? 道路工事の裏事情と舗装技術 | トヨタ自動車のクルマ情報サイト‐GAZOO
https://gazoo.com/column/daily/17/03/29/
・港区ホームページ/道路工事後の舗装の直し方について(区民の声)
https://www.city.minato.tokyo.jp/kouchou/kuse/kocho/ikenshokai37/861.html
・道路工事の後、つぎはぎの状態の時がありますが、なぜちゃんと舗装しないのでしょうか 横浜市
https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/machizukuri-kankyo/doro/qa/koji/20190306115444650.html

~最後までコラムを読んでくれた方へ~
より深い大人の教養が身に付く 『テンミニッツTV』 をオススメします。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。 『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

なぜ伝わらない?理解の壁の正体を今井むつみ先生に学ぶ

なぜ伝わらない?理解の壁の正体を今井むつみ先生に学ぶ

編集部ラジオ2025(27)なぜ何回説明しても伝わらない?

「何回説明しても伝わらない」「こちらの意図とまったく違うように理解されてしまった」……。そんなことは、日常茶飯事です。しかしだからといって、相手を責めるのは大間違いでは? いやむしろ、わが身を振り返って考えないと...
収録日:2025/10/17
追加日:2025/11/13
2

なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために

なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために

エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如

現代社会にとって空海の思想がいかに重要か。AIが仕事の仕組みを変え、超高齢社会が医療の仕組みを変え、高度化する情報・通信ネットワークが生活の仕組みを変えたが、それらによって急激な変化を遂げた現代社会に将来不安が増...
収録日:2025/03/03
追加日:2025/11/12
3

デカルトが注目した心と体の条件づけのメカニズム

デカルトが注目した心と体の条件づけのメカニズム

デカルトの感情論に学ぶ(1)愛に現れる身体のメカニズム

初めて会った人なのになぜか好意を抱いてしまうことがある。だが、なぜそうした衝動が生じるのかは疑問である。デカルトが友人シャニュに宛てた「愛についての書簡」から話を起こし、愛をめぐる精神と身体の関係について論じる...
収録日:2018/09/27
追加日:2019/03/31
津崎良典
筑波大学人文社会系 教授
4

『100万回死んだねこ』って…!?記憶の限界とバイアスの役割

『100万回死んだねこ』って…!?記憶の限界とバイアスの役割

何回説明しても伝わらない問題と認知科学(2)バイアスの正体と情報の抑制

「バイアスがかかる」と聞くと、つい「ないほうが望ましい」という印象を抱いてしまうが、実は人間が生きていく上でバイアスは必要不可欠な存在である。それを今井氏は「マイワールドバイアス」と呼んでいるが、いったいどうい...
収録日:2025/05/12
追加日:2025/11/09
今井むつみ
一般社団法人今井むつみ教育研究所代表理事 慶應義塾大学名誉教授
5

偉大だったアメリカを全否定…世界が驚いたトランプの言動

偉大だったアメリカを全否定…世界が驚いたトランプの言動

内側から見たアメリカと日本(2)アメリカの大転換とトランプの誤解

アメリカの大転換はトランプ政権以前に起こっていた。1980~1990年代、情報機器と金融手法の発達、それに伴う法問題の煩雑化により、アメリカは「ラストベルト化」に向かう変貌を果たしていた。そこにトランプの誤解の背景があ...
収録日:2025/09/02
追加日:2025/11/11