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DATE/ 2023.02.21

大企業が豆腐を作れない理由

 もしもあなたが「大企業が豆腐を作れない理由を説明してください」と問われたとしたら、答えることができるでしょうか。

 正解は、「「分野調整法」によって大企業の豆腐業界への参入が規制されているため」です。この正解のポイントは、「分野調整法」という法律です。

「分野調整法」ってどんな法律?

 では、「分野調整法」とはどのような法律なのでしょうか。また、どうして誕生したのでしょうか。

 「分野調整法」の正式名称は、「中小企業の事業活動の機会の確保のための大企業者の事業活動の調整に関する法律」といいます。

 そして、「分野調整法」が中小企業対策の柱として誕生した要因には、1963(昭和38)年に制定された「中小企業基本法」(中小企業の経済的・社会的制約による不利を是正し、その成長・発展を図るために、中小企業に関する政策の目標を示した基本法)が挙げられます。

 また、第一次オイルショックによる景気減速で、大企業の中小分野への進出が相次ぎ、紛争が多発し社会問題となったことも、「分野調整」が誕生した社会的背景として挙げられます。

 そのような気運のなか、1977(昭和52)年、大手スーパーの各地進出とそれに反対する地元商店街との争いを直接の契機とし、「中小企業者の経営の安定に悪影響を及ぼすおそれのある大企業者の事業の開始又は拡大に関し、その事業活動を調整することにより中小企業の事業活動の機会を適正に確保する」ことを目的に、「分野調整法」は公布されました。

「分野調整法」の対象は7品種!

 2023(令和5)年1月現在、「分野調整法」の対象品種は、以下の7品種となっています。

(1)豆腐
(2)ラムネ(清涼飲料)
(3)シャンパン風密栓炭酸飲料(シャンメリー等)
(4)ポリエチレン詰清涼飲料(チューペット等)
(5)焼酎割り用飲料(ハイサワー等)
(6)びん詰コーヒー飲料(パレード等)
(7)びん詰クリームソーダ(スマック等)

 「分野調整法」の対象品種に豆腐が入っているため、例えばハウス食品はアメリカでは豆腐事業を柱として事業を展開しているにもかかわらず、日本国内では大々的に展開することが制限されています。

 また、コカ・コーラ社は過去に「焼酎割り用飲料」に相当する製品を飲食店向けに発売しましたが、「分野調整法」による発売中止申し入れを受け入れ、すぐに発売中止とした例もあります。

 いかがでしたでしょうか。あなたはどの「分野調整法」対象品種がお好みですか?ぜひ生活の中のお気に入りの対象品種に注目してみてください。

<参考文献・参考サイト>
・「分野調整法」『世界大百科事典』(木綿良行著、平凡社)
・「中小企業基本法」『デジタル大辞泉』(小学館)
・「ハウス食品グループ本社」『会社四季報』(2022年4集秋号、東洋経済新報社)
・中小企業分野宣言製品って何ですか?│一般社団法人 全国清涼飲料連合会
http://www.j-sda.or.jp/sp/qa_view.php?id=112
・第3回 坂本香料に、ミキサードリンクの起源を聞きにいく 〈後編〉│WEB本の雑誌
http://www.webdoku.jp/column/kudo/2010/03/01/180648.html
・第130回:豆腐にナショナルブランドが存在しない理由│ライベック・ブランド戦略研究所
https://japanbrand.jp/column/practice-column/part130
・【変革 ハウス食品グループ】米国で豆腐 思わぬ縁で進出│産経新聞
https://www.sankei.com/article/20200129-CD47LH6F2FIGPLJVLFITCJ22S4/
・コカ・コーラの新製品がひっそり販売中止へ 飲料業界の“紳士協定”破り?│デイリー新潮
https://www.dailyshincho.jp/article/2018/08020700/
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