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世界三大料理に「トルコ料理」が入っているわけ
巷に言う世界三大料理とは「フランス料理」「中華料理(中国料理)」「トルコ料理」の3つを指します。ただフランス料理や中華料理に比べると、トルコ料理はあまりなじみがありませんよね。
私たち日本人がイメージするトルコ料理といえば「ケバブ」や「トルコアイス(ドンドゥルマ)」あたりでしょう(ちなみに「トルコライス」は長崎県のご当地グルメで、れっきとした日本食です)。確かにどちらも美味しい料理には違いないですが、中華料理やフランス料理と比べるとちょっと地味というか、正直ファストフードのような印象が強いのではないでしょうか。
そもそも世界三大料理とは何か。なぜこの3つが選ばれ、その中にトルコ料理があるのでしょうか。世界三大料理の定義や、その秘密について解説します。
とはいえ、これまで連綿と伝えられた「世界三大料理」にも、きちんと共通点があることが分かっています。それは、フランス料理も、中華料理も、トルコ料理も、いずれも“宮廷料理”として発展してきた歴史があるということです。
フランス料理であれば16世紀、香辛料や調味料をふんだんに使った今のフレンチの原型が生まれ、時の皇帝アンリ2世の食卓に並べられたのが始まりだとされます。
それまでのフランス料理は、野菜や肉をローストするだけというシンプルな料理が中心でした。しかしアンリ2世の妻がイタリア出身だったことからイタリア料理が宮廷に持ち込まれ、それを機に複雑な調理法が発達したそうです。
やがて貴族のたしなみとして「テーブルマナー」が誕生。料理もより洗練されたものが好まれるようになり、味はもちろん、見た目の美しさ、芸術性が重視されていきました。
中華料理は、紀元前11世紀ごろの周王朝の時代に「周の八珍」という宴会料理が皇帝にふるまわれたのが最初といわれます。皇帝の圧倒的な権威と財力を背景に、だんだんと料理も豪華絢爛になってゆきました。
特に調理法はこれまでの「焼く」「煮る」のほか、三国時代には「蒸す」「乾かす」「漬ける」が、北宋時代には「炒める」「揚げる」が加わり、より多彩に。領土が広大であるために地方、地域ごとに独自の食文化が育まれ、それが宮廷にも伝わると、料理もいっそう奥深いものとして発展していったのです。
そしてトルコ料理は、かのセルジューク朝とオスマン帝国という大帝国の時代、「シルクロードの通り道」という地理的特徴からさまざまな民族が流入・交流し、各国の多様な食材・香辛料を使う機会に恵まれました。
オスマン王家の調理場には数百人もの料理人がおり、お互いに腕を競い合いながら皇帝のための料理を作っていたとされます。彼らは国に入ってくる豊富な食材を使い、伝統的な調理法と異国の食文化をかけあわせ、独創的な料理を次々と生み出したのです。日夜料理の研究がなされたことから、王家の調理場は「味の研究所」といわれるほどだったといいます。
このようにいずれの国の料理も、皇帝の舌を満足させるべく料理人が調理技術を磨いた結果、その国独自の食文化として発展したという歴史があります。そしてこれら巨大な王朝の発展・衰退という歴史の流れにより宮廷の食文化は民間へ、そして世界へと伝播し、各国、各地域の食文化に大きな影響をもたらしたのです。
この“歴史上の世界的影響力” が、世界三大料理たるゆえんとされています。
前述したように、トルコにはさまざまな交易品が持ち込まれました。中でも当時貴重品だった香辛料も容易に、それも多種多様なものが手に入ったことから、香辛料を使った料理が発展しました。主食はパンかお米ですが、とりわけパンは世界一の消費量ともいわれるほど好まれています。
料理に使う食材は、肉、海産物、野菜、ナッツ類と豊富ですが、イスラム教国家として発展した歴史から、禁忌である豚肉は用いられません。また牛の飼育には適さない気候だったためか、牛肉を使った料理も多くありません。一番よく食べられるのが羊肉、そして鶏肉です。
そしてトルコ料理は、オリーブオイルとヨーグルトをふんだんに使うことでも有名です。食材としてはもちろんのこと、調味料としてもよく使用されます。実はヨーグルトは、トルコが発祥。その消費量も世界一だそうです。
ほか現地でよく食べられる代表的な肉料理といえば「キョフテ」。羊のミンチ肉に香辛料、卵、ヨーグルトソースなどを入れてこね、丸形や俵状にして焼いたトルコ風のハンバーグ(ミートボール)です。キョフテは一般家庭でも作られるごくありふれた料理で、各家庭でいろいろな味付けがあります。
黒海、地中海、エーゲ海と海に囲まれたトルコでは、シーフードを使った料理も豊富です。中でもパン好きのトルコ人が愛してやまないのが「鯖サンド」。タマネギ、トマト、レタスといった野菜とともに鯖をはさんだサンドイッチです。日本でもグルメ番組に取り上げられたり、地方のご当地グルメとしてアレンジされたりするなど、じわじわと知名度を上げてきています。
世界各国の食文化に影響を与えたトルコ料理。日本でも食べられるお店が増えていますので、食べたことがない方、ぜひご賞味あれ。
私たち日本人がイメージするトルコ料理といえば「ケバブ」や「トルコアイス(ドンドゥルマ)」あたりでしょう(ちなみに「トルコライス」は長崎県のご当地グルメで、れっきとした日本食です)。確かにどちらも美味しい料理には違いないですが、中華料理やフランス料理と比べるとちょっと地味というか、正直ファストフードのような印象が強いのではないでしょうか。
そもそも世界三大料理とは何か。なぜこの3つが選ばれ、その中にトルコ料理があるのでしょうか。世界三大料理の定義や、その秘密について解説します。
世界三大料理の定義
「世界三大料理」なるものがいつできたのか、誰によって選定され、どのように定義されたのかは、実のところはっきり分かっていません。一般的に「はるか昔にヨーロッパの歴史家、料理研究家らが決めた」とされ、現代の味覚や価値観とは違いがあると考えられています。近年は、現代にふさわしい“新世界三大料理”を決めようという動きもあり、その中に日本料理(和食)を含める人もいるようです。とはいえ、これまで連綿と伝えられた「世界三大料理」にも、きちんと共通点があることが分かっています。それは、フランス料理も、中華料理も、トルコ料理も、いずれも“宮廷料理”として発展してきた歴史があるということです。
フランス料理であれば16世紀、香辛料や調味料をふんだんに使った今のフレンチの原型が生まれ、時の皇帝アンリ2世の食卓に並べられたのが始まりだとされます。
それまでのフランス料理は、野菜や肉をローストするだけというシンプルな料理が中心でした。しかしアンリ2世の妻がイタリア出身だったことからイタリア料理が宮廷に持ち込まれ、それを機に複雑な調理法が発達したそうです。
やがて貴族のたしなみとして「テーブルマナー」が誕生。料理もより洗練されたものが好まれるようになり、味はもちろん、見た目の美しさ、芸術性が重視されていきました。
中華料理は、紀元前11世紀ごろの周王朝の時代に「周の八珍」という宴会料理が皇帝にふるまわれたのが最初といわれます。皇帝の圧倒的な権威と財力を背景に、だんだんと料理も豪華絢爛になってゆきました。
特に調理法はこれまでの「焼く」「煮る」のほか、三国時代には「蒸す」「乾かす」「漬ける」が、北宋時代には「炒める」「揚げる」が加わり、より多彩に。領土が広大であるために地方、地域ごとに独自の食文化が育まれ、それが宮廷にも伝わると、料理もいっそう奥深いものとして発展していったのです。
そしてトルコ料理は、かのセルジューク朝とオスマン帝国という大帝国の時代、「シルクロードの通り道」という地理的特徴からさまざまな民族が流入・交流し、各国の多様な食材・香辛料を使う機会に恵まれました。
オスマン王家の調理場には数百人もの料理人がおり、お互いに腕を競い合いながら皇帝のための料理を作っていたとされます。彼らは国に入ってくる豊富な食材を使い、伝統的な調理法と異国の食文化をかけあわせ、独創的な料理を次々と生み出したのです。日夜料理の研究がなされたことから、王家の調理場は「味の研究所」といわれるほどだったといいます。
このようにいずれの国の料理も、皇帝の舌を満足させるべく料理人が調理技術を磨いた結果、その国独自の食文化として発展したという歴史があります。そしてこれら巨大な王朝の発展・衰退という歴史の流れにより宮廷の食文化は民間へ、そして世界へと伝播し、各国、各地域の食文化に大きな影響をもたらしたのです。
この“歴史上の世界的影響力” が、世界三大料理たるゆえんとされています。
トルコ料理の特徴
トルコ料理が世界三大料理にふさわしいものであることが分かったところで、トルコ料理の特徴についてご紹介しましょう。前述したように、トルコにはさまざまな交易品が持ち込まれました。中でも当時貴重品だった香辛料も容易に、それも多種多様なものが手に入ったことから、香辛料を使った料理が発展しました。主食はパンかお米ですが、とりわけパンは世界一の消費量ともいわれるほど好まれています。
料理に使う食材は、肉、海産物、野菜、ナッツ類と豊富ですが、イスラム教国家として発展した歴史から、禁忌である豚肉は用いられません。また牛の飼育には適さない気候だったためか、牛肉を使った料理も多くありません。一番よく食べられるのが羊肉、そして鶏肉です。
そしてトルコ料理は、オリーブオイルとヨーグルトをふんだんに使うことでも有名です。食材としてはもちろんのこと、調味料としてもよく使用されます。実はヨーグルトは、トルコが発祥。その消費量も世界一だそうです。
ケバブだけじゃない!トルコの代表料理
トルコ料理といえば日本ではケバブが代表例ですが、そのケバブのように手軽に食べられるメジャーなトルコ料理といえば「ピデ」です。甘めのパン生地にたっぷりのひき肉や野菜をのせた食べ物で、トルコ風ピザともいわれます。ピザ→ピデ、と、語感でも覚えやすいですね。日本でも、ケバブを売る屋台で一緒にピデが売られていることがあります。ほか現地でよく食べられる代表的な肉料理といえば「キョフテ」。羊のミンチ肉に香辛料、卵、ヨーグルトソースなどを入れてこね、丸形や俵状にして焼いたトルコ風のハンバーグ(ミートボール)です。キョフテは一般家庭でも作られるごくありふれた料理で、各家庭でいろいろな味付けがあります。
黒海、地中海、エーゲ海と海に囲まれたトルコでは、シーフードを使った料理も豊富です。中でもパン好きのトルコ人が愛してやまないのが「鯖サンド」。タマネギ、トマト、レタスといった野菜とともに鯖をはさんだサンドイッチです。日本でもグルメ番組に取り上げられたり、地方のご当地グルメとしてアレンジされたりするなど、じわじわと知名度を上げてきています。
世界各国の食文化に影響を与えたトルコ料理。日本でも食べられるお店が増えていますので、食べたことがない方、ぜひご賞味あれ。
<参考サイト>
・世界三大料理の認定は何が基準になっているの?(京都調理師専門学校)
https://www.kyoto-chorishi.ac.jp/blog/14352/
・意外に知らないフランス料理の歴史とは?(レストラン アミュゼ)
https://www.amusez.jp/blog/1969/
・中国4千年の歴史!中国料理のルーツに迫る!(クックドア)
https://www.cookdoor.jp/family-restaurant/dictionary/13644_resta_035/
・世界三大料理の認定は何が基準になっているの?(京都調理師専門学校)
https://www.kyoto-chorishi.ac.jp/blog/14352/
・意外に知らないフランス料理の歴史とは?(レストラン アミュゼ)
https://www.amusez.jp/blog/1969/
・中国4千年の歴史!中国料理のルーツに迫る!(クックドア)
https://www.cookdoor.jp/family-restaurant/dictionary/13644_resta_035/
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