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DATE/ 2015.10.14

社畜から抜け出すための「5つの方法」

 会社に飼いならされてしまった人間家畜、すなわち社畜。日本人に多そうだが、英語圏にもカンパニースレイブ(会社の奴隷)やウェッジスレイブ(給料の奴隷)という言葉があるそうなので、現代の勤め人に共通する悩みなのかも知れない。

 どうすれば、社畜から抜け出すことができるのか? それを知る前に、まずなぜ社畜が生まれるかを論理的に整理してみよう。

 社畜を考える時は、まず社畜じゃない会社員とはどのような人かを考えればよい。「社畜化」は現代人共通の悩みとは言え、そこから免れている人も当然いる。そういう人たちはなぜ会社から自由なのかというと、主に以下の条件の1つ以上があてはまるはずだ。

 A. 仕事を効率的にこなせる
 B. 目標の過程として、今の会社にいる
 C. 今の会社を辞めても、他に選択肢がある

 Aを実現している人は自分の時間がたっぷり持てる。裁量労働制なら、さっさと帰ってしまえるし、17時、18時まで会社にいなきゃいけないとしても、やるべきタスクさえこなしてしまえば、職場にいて、何か別のことをしていればよい。体は拘束されていても、頭の中は自由だ。

 Bは何か夢や目標があって会社勤めをしている場合だ。将来の夢のためのスキルアップや人脈作り、業界経験を身に着けるために仕事をしているなら、会社に使われているように見えて、会社を使っていることになる。

 目的のために、あえて拘束を受け入れる人を不自由とは言わない。このような人も社畜ではなく、自立している。会社で仕事をすることは、夢や目標に近づく一歩一歩のプロセスでもあるわけだから、忙しいかも知れないが、日々も充実しているはずだ。

 最後のCだが、これがいちばん強い。例えば、他の企業から引く手あまたであれば、むしろ会社に気を使われるだろうし、そうでなくても、いつでも転職できると思えば、心の余裕が生まれる。有給もどうどうと取れるし、賃金交渉も積極的にできるだろう。

 また、あるいは、どこへでも転職できる能力はなくとも、お金はたっぷりあるというなら、それも自由人だ。生活の足しになるくらい働けばいいというなら、そんなにあくせくすることはないし、もう十分食っていけるだけの資産があるなら、会社勤めは本当にただの趣味だ。実はそういう人もそれなりにいて、ビジネスをしないと幅広い人間関係を持ったり、ある程度日々の緊張感を得られないから、あえて仕事をしているという人もいる。

 さて、上記ABCを満たさない人が社畜化しやすいわけだが、そのABCに自分もあてはまるように変われば、社畜化は逃れられる。現在社畜になっている人がABCを得るための方法は、だいたい次の5つに集約されるだろう。

 1. 業務を徹底的に効率化する
 2. 夢や目標を見つける
 3. スキル・資格を身につける
 4. 投資をする
 5. 副業をする

 ただ、1と2は、出来たらやる、出来なかったら仕方がないという性質のものだ。となると、3、4、5が普通の社畜にはいちばん手を出しやすいものになるだろう。

 スキル・資格というものは、まず履歴書に書きやすいものであることが条件だ。TOEIC900点や、簿記一級といったものや、マネジメント経験や具体的な売り上げ金額、問題解決の成果などである。こういったものを、社畜の間に少しずつ身につけていくと、段々と自由になっていける。

 4つめの投資は証券もいいが、リスクが高い。できるなら、なるべく確実なものが良い。不動産所有による家賃収入などである。最近は、マンションの一部屋からでも始められるので、ひとつうまくいったら、それを担保して徐々に拡大していくというのでも良い。

 5つめの副業だが、最近は「複業」とも言われている。変化と多様性に富んだ時代なので、ひとつの職業に人生を賭けるなんてありえない、リスクは分散させようという考え方からきている。ITにより、出勤の必要性が薄れたり、書類の送信が楽になったので、複数の仕事もかけもちすることが簡単になったことも後押ししている。

 とは言え、そこまで堂々とするには社畜にとってハードルの高い話。副業を禁止している企業も多いので、何より先んじて勤めている会社の規定をよく確認することは必須だろう。
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今井むつみ
一般社団法人今井むつみ教育研究所代表理事 慶應義塾大学名誉教授