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『林陵平のサッカー観戦術』に学ぶ試合をもっと楽しむ方法
サッカーの試合について、代表戦だったら観るという人は多いかもしれません。一歩踏み込んで欧州サッカーやJリーグなどのクラブチームの試合を見てみると、また違った面白さがあります。もちろん知識ゼロでサッカー観戦しても楽しめる部分はたくさんあります。ただちょっとした知識があると、もっと深く幅広く楽しめることは間違いありません。ではサッカーの試合を見るときには、何を知っておいて、どこを見ればもっと楽しめるのでしょうか。
この点について、選手の名前や実際の場面などを通して実に丁寧に詳しく、わかりやすく解説してくれる本が『林陵平のサッカー観戦術:試合がぐっと面白くなる極意』(林陵平著、平凡社新書)です。著者の林陵平さんは明治大学を卒業後、Jリーガーとして東京ヴェルディや柏レイソル、モンテディオ山形などでフォワードとして活躍した元プロサッカー選手。その後、東京大学運動会ア式蹴球部(サッカー部)監督を経たのち、現在では解説者として活躍しています。
また選手名鑑には選手のプレースタイルなどの情報も記載されています。これを知って実際に観戦し、そのプレースタイルを目の当たりにすると、「これだ!」という感動がやってきて、知識が体験となります。本書では、林さんがフォローしている選手のインスタグラムアカウントなどもコメント付きで紹介されているので、これを参考に推し選手を見つけるのもいいかもしれません。
こうして選手に注目して見ていれば、チームの近況や順位にも目がいくようになります。そのとき置かれている状況によって、この試合で勝つ必要があるのか、引き分けの勝点1でよいのかがわかり、このあと積極的にいくのか、守備的なサッカーをするのかといった予測が立ちます。こうなると「守ってばかりで面白くない」とはなりません。つまり、その試合での見るべきポイントが明確になってくるのです。林さんは「サッカーに塩試合なんてない」と言い切ります。
さらに試合開始時点で大事なのは、この「配置の組み合わせ」を理解することです。サッカーでは「数的有利」ということがよくいわれます。例えば、Aチームが中盤のセンター付近に3人を配置していて、相手のBチームが2人しか置いていない場合、基本的にはAチームが中盤を支配する構図になります。つまり中盤ではAチームが数的有利です。
このときBチームが取りうる選択は、「受け入れて戦う」「微調整(前線や最終ラインから1人を中盤に回す)」「配置を変える」の3つがあります。つまり、試合開始時点の配置の組み合わせをみれば、このあとどういう展開になるか、どういう采配が行われるかといった点を予測する楽しみ方ができます。
2022年カタールワールドカップのスペイン戦では初期配置が噛み合わず、日本は前半、スペインに支配されました。そこで、後半に三苫薫と堂安律というアタッカー2人を投入し、一気にゲームチェンジします。勝ち越し後は守備的配置に戻すことで勝利しました。こういったスタッツに基づく交代カードの使い方の意図を理解すると、この先の展開を予測することや監督の意図を理解することもできます。加えて、観ていてこれから何に期待すればよいのかも明確になります。
また試合後に「良かった部分と悪かった部分を分析し、それらを上手く言語化する」ことも、冷静かつ客観的な目でサッカーを楽しむためのポイントとのこと。つまり、勝ち負けだけが楽しむポイントではない視点も重要です。そのため、チームの試合を「週1」で観続けて「サッカーノート」を作ることが勧められています。ここにはメンバー、システム、攻守のメカニズム、特長、試合中の変化、選手の特徴などを自分なりに書いていきます。
そこで駆け引きなどに優れた頭脳派で、準備と予測が完璧なハートランドが入ったことにより、一気にチャンピオンズリーグで優勝します。同様にウイング・セカンドトップでは、ストップした状態から一気にスペースに蹴り出してスピード勝負するエムバペや、相手の体勢を崩して抜くことに長けたヴィニシウスの独自性などについても分かりやすく解説されています。
本書の最後は、欧州現代サッカーの名将や推したい選手に焦点を絞って、詳細な視点でその魅力が解説されています。この項目を読むだけでも、監督、チーム、選手の意図や特長、興味深いポイントをかなり細かく把握できます。この知識をもとに試合を見てみると、これまで見えていなかった面白さに気づくかもしれません。ぜひ本書の詳細な解説を読んでみてください。おそらくサッカーがこれまでとはまるで違った多層的な次元で見えてくるはずです。
この点について、選手の名前や実際の場面などを通して実に丁寧に詳しく、わかりやすく解説してくれる本が『林陵平のサッカー観戦術:試合がぐっと面白くなる極意』(林陵平著、平凡社新書)です。著者の林陵平さんは明治大学を卒業後、Jリーガーとして東京ヴェルディや柏レイソル、モンテディオ山形などでフォワードとして活躍した元プロサッカー選手。その後、東京大学運動会ア式蹴球部(サッカー部)監督を経たのち、現在では解説者として活躍しています。
とにかく推しチームの試合を「週1」で観続ける
サッカーの面白さを知る方法としてはじめに挙げられている点は、「とにかく推しチームの試合を『週1』で観続ける」ことです。このとき事前に雑誌やWEB、SNSなどで情報を集めて「名前、顔、ポジションをリンクして覚えること」が推奨されています。この三つが頭に入っていれば試合を観ていてもパッと選手のポジションが分かり、チーム全体の配置も理解しやすいので、状況を把握する手掛かりになります。また選手名鑑には選手のプレースタイルなどの情報も記載されています。これを知って実際に観戦し、そのプレースタイルを目の当たりにすると、「これだ!」という感動がやってきて、知識が体験となります。本書では、林さんがフォローしている選手のインスタグラムアカウントなどもコメント付きで紹介されているので、これを参考に推し選手を見つけるのもいいかもしれません。
こうして選手に注目して見ていれば、チームの近況や順位にも目がいくようになります。そのとき置かれている状況によって、この試合で勝つ必要があるのか、引き分けの勝点1でよいのかがわかり、このあと積極的にいくのか、守備的なサッカーをするのかといった予測が立ちます。こうなると「守ってばかりで面白くない」とはなりません。つまり、その試合での見るべきポイントが明確になってくるのです。林さんは「サッカーに塩試合なんてない」と言い切ります。
初期配置の組み合わせを読む
また、90分の試合開始時に見るべきポイントとしては、「初期配置」と「攻守のアグレッシブさ」が挙げられます。初期配置に関しては4-3-3や4-2-3-1といったさまざまなフォーメーションがあり、攻撃と守備によって変わったり、試合の途中で変わったりもします。この初期配置を知るとチームがどういう戦い方をしようとしているのか、選手が何を意図して動いているのかが見えてきます。この配置の意味や強みと弱みといった点についても本書では詳しく解説されています。さらに試合開始時点で大事なのは、この「配置の組み合わせ」を理解することです。サッカーでは「数的有利」ということがよくいわれます。例えば、Aチームが中盤のセンター付近に3人を配置していて、相手のBチームが2人しか置いていない場合、基本的にはAチームが中盤を支配する構図になります。つまり中盤ではAチームが数的有利です。
このときBチームが取りうる選択は、「受け入れて戦う」「微調整(前線や最終ラインから1人を中盤に回す)」「配置を変える」の3つがあります。つまり、試合開始時点の配置の組み合わせをみれば、このあとどういう展開になるか、どういう采配が行われるかといった点を予測する楽しみ方ができます。
スタッツをよく見る、サッカーノートを作る
前半終了後のハーフタイムには、パソコンやスマホを使って「スタッツ」をよく見ましょう。スタッツとは、ボール支配率やパス成功率、シュート本数などの数値データです。これらを見て現状で弱い点があれば、後半で初期配置を変更したり、選手交代のカードが切られたりすることもあります。つまり、このスタッツをよく見て前半を総括し、このあとの展開について予測することができるのです。2022年カタールワールドカップのスペイン戦では初期配置が噛み合わず、日本は前半、スペインに支配されました。そこで、後半に三苫薫と堂安律というアタッカー2人を投入し、一気にゲームチェンジします。勝ち越し後は守備的配置に戻すことで勝利しました。こういったスタッツに基づく交代カードの使い方の意図を理解すると、この先の展開を予測することや監督の意図を理解することもできます。加えて、観ていてこれから何に期待すればよいのかも明確になります。
また試合後に「良かった部分と悪かった部分を分析し、それらを上手く言語化する」ことも、冷静かつ客観的な目でサッカーを楽しむためのポイントとのこと。つまり、勝ち負けだけが楽しむポイントではない視点も重要です。そのため、チームの試合を「週1」で観続けて「サッカーノート」を作ることが勧められています。ここにはメンバー、システム、攻守のメカニズム、特長、試合中の変化、選手の特徴などを自分なりに書いていきます。
後半では監督、チーム、選手を詳細に解説
本書の後半ではポジションごとの役割や求められる性質、またそのポジションで特に優れた選手などが紹介されています。たとえばCF(センターフォワード)ではマンチェスター・シティのアーリング・ハートランド選手が紹介されています。このチームの優れている点はボール支配率が高いことでしたが、CFの決定力不足が課題でした。そこで駆け引きなどに優れた頭脳派で、準備と予測が完璧なハートランドが入ったことにより、一気にチャンピオンズリーグで優勝します。同様にウイング・セカンドトップでは、ストップした状態から一気にスペースに蹴り出してスピード勝負するエムバペや、相手の体勢を崩して抜くことに長けたヴィニシウスの独自性などについても分かりやすく解説されています。
本書の最後は、欧州現代サッカーの名将や推したい選手に焦点を絞って、詳細な視点でその魅力が解説されています。この項目を読むだけでも、監督、チーム、選手の意図や特長、興味深いポイントをかなり細かく把握できます。この知識をもとに試合を見てみると、これまで見えていなかった面白さに気づくかもしれません。ぜひ本書の詳細な解説を読んでみてください。おそらくサッカーがこれまでとはまるで違った多層的な次元で見えてくるはずです。
<参考文献>
『林陵平のサッカー観戦術:試合がぐっと面白くなる極意』(林陵平著、平凡社新書)
https://www.heibonsha.co.jp/book/b639176.html
<参考サイト>
林陵平氏のTwitter(現X)
https://twitter.com/Ryohei_h11l
『林陵平のサッカー観戦術:試合がぐっと面白くなる極意』(林陵平著、平凡社新書)
https://www.heibonsha.co.jp/book/b639176.html
<参考サイト>
林陵平氏のTwitter(現X)
https://twitter.com/Ryohei_h11l
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