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なぜ冬場は浴室事故が多くなるのか
寒い季節、家庭内で増えてくる事故といえば「浴室事故」です。特に高齢者が入浴中に命を落とすケースが多発しており、近年では「交通事故」よりも死亡者数が増えているそうです。その背景には「ヒートショック」という健康被害が関係しています。
今回は、冬場における浴室事故の原因と、ヒートショックのリスクを減らすための対策について詳しく解説します。
日本の住宅は、欧米のような全館暖房(セントラルヒーティング)が普及していないため、部屋ごとの温度が極端に異なる場面が多くあります。特に冬場の脱衣所や浴室は、リビングや寝室などに比べて冷え込むことが多く、その温度差が10℃以上になることも珍しくありません。
冷たい脱衣所で衣類を脱ぎ、冷えた体のまま暖かい浴室、さらには熱い湯船へと移動することで、体温調節機能が追いつかず、血圧が急上昇・急下降します。これが「ヒートショック」と呼ばれる健康被害です。
血圧や体温が急変動するヒートショックにより、心筋梗塞や脳卒中といった重篤な症状が引き起こされ、失神や転倒、最悪の場合は死に至ることもあるのです。
・高齢者
体温調節機能が低下しやすく、血管の弾力性も衰えているため、血圧の変動に対応しにくいです。実は入浴関連事故による死者の約90%が、65歳以上の高齢者だといわれています。
・持病がある、既往歴がある人
特に高血圧、糖尿病、脂質異常症などの持病を持つ人、または脳梗塞や狭心症の既往歴がある人は、健康な人に比べて血管や心臓に負担がかかりやすくなっています。
・体力や免疫力が低下している人
体全体の調節機能が弱まっているため、環境の変化に対応しにくくなっています。
こうした人々は、特に冬場の入浴時に慎重な対策が必要です。
1.脱衣所の暖房
脱衣所に暖房器具を設置して、浴室との温度差をできる限り減らしましょう。浴室暖房乾燥機や、ヒーターを活用するのも有効です。寒冷地にお住まいの方は、床暖房や全館暖房の導入も検討するとよいでしょう。
2.浴室の暖房
入浴前に浴室全体を暖めておくことで、急激な温度変化を防ぐことができます。お湯をためる間に浴室内を蒸気で温めたり、浴室専用の暖房機を使用したりするのがおすすめです。
3.入浴時の工夫
「かけ湯をする」いきなり湯船に入るのではなく、手足や体にお湯をかけて体を慣らしましょう。「湯温を適度に保つ」湯船の温度は41℃以下を目安に。熱すぎるお湯は血圧の急上昇を招きます。「短時間で済ませる」長時間の入浴は体に負担をかけるため、10~15分程度で済ませましょう。ほかにも「湯船から急に立ち上がらない」「食事や飲酒、医薬品服用直後の入浴は控える」など、血圧の急変動のリスクが高まる行動は控えましょう。
4.家族の見守り
高齢者や体調がすぐれない人が入浴する際は、家族や同居人が近くで見守ることも大切です。万が一の事態に迅速に対応できるよう、声をかけながら様子を確認する習慣をつけましょう。本人が入浴する前に、同居人に一声かけるだけでも安心です。
温かいお風呂は、身も心もほっとする場所。家族全員が安心して入浴を楽しむためにも、早めのヒートショック対策を意識してみてくださいね。
今回は、冬場における浴室事故の原因と、ヒートショックのリスクを減らすための対策について詳しく解説します。
寒い時期に高齢者の入浴中の事故が多発する理由
寒い時期に浴室での事故が増える主な理由は、家の中で温度差が大きくなることです。日本の住宅は、欧米のような全館暖房(セントラルヒーティング)が普及していないため、部屋ごとの温度が極端に異なる場面が多くあります。特に冬場の脱衣所や浴室は、リビングや寝室などに比べて冷え込むことが多く、その温度差が10℃以上になることも珍しくありません。
冷たい脱衣所で衣類を脱ぎ、冷えた体のまま暖かい浴室、さらには熱い湯船へと移動することで、体温調節機能が追いつかず、血圧が急上昇・急下降します。これが「ヒートショック」と呼ばれる健康被害です。
血圧や体温が急変動するヒートショックにより、心筋梗塞や脳卒中といった重篤な症状が引き起こされ、失神や転倒、最悪の場合は死に至ることもあるのです。
ヒートショックを起こしやすい人の特徴
ヒートショックは誰にでも起こり得ますが、以下の条件を持つ人は特にリスクが高いとされています。・高齢者
体温調節機能が低下しやすく、血管の弾力性も衰えているため、血圧の変動に対応しにくいです。実は入浴関連事故による死者の約90%が、65歳以上の高齢者だといわれています。
・持病がある、既往歴がある人
特に高血圧、糖尿病、脂質異常症などの持病を持つ人、または脳梗塞や狭心症の既往歴がある人は、健康な人に比べて血管や心臓に負担がかかりやすくなっています。
・体力や免疫力が低下している人
体全体の調節機能が弱まっているため、環境の変化に対応しにくくなっています。
こうした人々は、特に冬場の入浴時に慎重な対策が必要です。
ヒートショックの対策
ヒートショックによる入浴事故を防ぐためにも、環境と入浴方法を見直すことが非常に大切です。以下に、具体的な対策を挙げていきます。1.脱衣所の暖房
脱衣所に暖房器具を設置して、浴室との温度差をできる限り減らしましょう。浴室暖房乾燥機や、ヒーターを活用するのも有効です。寒冷地にお住まいの方は、床暖房や全館暖房の導入も検討するとよいでしょう。
2.浴室の暖房
入浴前に浴室全体を暖めておくことで、急激な温度変化を防ぐことができます。お湯をためる間に浴室内を蒸気で温めたり、浴室専用の暖房機を使用したりするのがおすすめです。
3.入浴時の工夫
「かけ湯をする」いきなり湯船に入るのではなく、手足や体にお湯をかけて体を慣らしましょう。「湯温を適度に保つ」湯船の温度は41℃以下を目安に。熱すぎるお湯は血圧の急上昇を招きます。「短時間で済ませる」長時間の入浴は体に負担をかけるため、10~15分程度で済ませましょう。ほかにも「湯船から急に立ち上がらない」「食事や飲酒、医薬品服用直後の入浴は控える」など、血圧の急変動のリスクが高まる行動は控えましょう。
4.家族の見守り
高齢者や体調がすぐれない人が入浴する際は、家族や同居人が近くで見守ることも大切です。万が一の事態に迅速に対応できるよう、声をかけながら様子を確認する習慣をつけましょう。本人が入浴する前に、同居人に一声かけるだけでも安心です。
早めのヒートショック対策を
冬場の浴室事故は、寒暖差による「ヒートショック」が主な原因です。高齢者や持病がある人は特にリスクが高いため、脱衣所や浴室の温度管理を徹底し、安全な入浴方法を心がけることが何より大切です。温かいお風呂は、身も心もほっとする場所。家族全員が安心して入浴を楽しむためにも、早めのヒートショック対策を意識してみてくださいね。
<参考サイト>
・冬季に多発する高齢者の入浴中の事故に御注意ください! -自宅の浴槽内での不慮の溺水事故が増えています-(消費者庁)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/caution/caution_042
・冬場はヒートショックに注意を(秋葉原内科シンシアクリニック)
https://akihabara-sincere.com/column/column-im/20231220/7725/
・冬季に多発する高齢者の入浴中の事故に御注意ください! -自宅の浴槽内での不慮の溺水事故が増えています-(消費者庁)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/caution/caution_042
・冬場はヒートショックに注意を(秋葉原内科シンシアクリニック)
https://akihabara-sincere.com/column/column-im/20231220/7725/
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